英国ナショナル・シアターが厳選した舞台を、実際の公演時にこだわりのカメラワークで収録、各国の映画館で上映するプロジェクト「ナショナル・シアター・ライブ(NTLive)」。現在、大阪・宮崎・徳島・鹿児島などで選りすぐりの映画が公開中ですが……。シネ・リーブル池袋でも、12月6日(金)より6作品の上映が開始されます!週替りで2作品が公開される貴重な機会。この1年の終わりに、ぜひ観ておきたい作品をご紹介します。
12月6日(金)~12月12日(木)ローレンス・オリヴィエ賞を受賞した注目作品
12月6日(金)~12月12日(木)より公開されるのは、イギリスで最も権威があるといわれ、その年に上演された、優れた演劇・オペラ・ダンス・ミュージカルに与えられる「ローレンス・オリヴィエ賞」を受賞した2作品。
■『プレゼント・ラフター』(2020年、主演男優賞、助演女優賞)
スター俳優であるギャリー・エッセンダインは、海外ツアーに出かける準備をしていたところ、個性的な面々の訪問を受け、彼の生活はハチャメチャな状況に!現代の名声・欲望・孤独を見事に投影した作品と評価され、ドラマ「SHERLOCK」のジム・モリアーティ役など、映像分野でも活躍が目覚ましいアンドリュー・スコットさんが主演されています。
■『ディア・イングランド』(2024年、作品賞、助演男優賞)
『ベスト・オブ・エネミーズ』などイギリスを代表する劇作家・ジェームズ・グレアムさん作。サッカーのイングランド代表チームを描いた意欲作。世界にサッカーを広めたイングランドでしたが、近年手痛い敗戦パターンを繰り返し、低迷していました。なぜイングランド代表は自分たちの試合で勝てないのか?世界最低のペナルティ記録を持ち、2016年に代表監督に就任したガレス・サウスゲートは、チームと国の栄光を取り戻すため、長年抱えていた課題に直視することを決意します。
12月13日(金)~12月19日(木)ベネディクト・カンバーバッチ主演のNTLiveでも人気の高い2作品
12月13日(金)~12月19日(木)には、ベネディクト・カンバーバッチさんが主演された『ハムレット』と、『フランケンシュタイン』(ジョニー・リー・ミラーさんとのW主演)という、NTLiveでも人気を集める2作品が上映!
■『ハムレット』 ※12月15日(日)のみ休映
オンラインチケットは発売されるやいなや10万枚のチケットが即日完売した大人気舞台がスクリーンに!鬼才・ウィリアム・シェイクスピアによる、ハムレットの父親を毒殺して母親と結婚し王位についた叔父への復讐劇。「ローレンス・オリヴィエ賞」の演出賞にもノミネート歴を持つ女性演出家リンゼイ・ターナーさんの、舞台の奥行きを活かした演出は舞台でありながら、大作映画のような躍動感があふれる演出になっています。また、ハムレット役には、アカデミー賞ノミネート俳優ベネディクト・カンバーバッチさんが好演。ベネディクトさんの個性を評価されながら、歴代の『ハムレット』俳優に匹敵する名演が賞賛されている作品です。
■フランケンシュタイン
「ローレンス・オリヴィエ賞」主演男優賞を、主演2人ベネディクト・カンバーバッチさんとジョニー・リー・ミラーさんがW受賞する快挙を成し遂げた傑作。NTLive史上、最も人気作の1本となっています。今回は、主演2名入れ替わりバージョンを日替わりで上映。演出を『スラムドッグ$ミリオネア』『イエスタデイ』など、アカデミー賞監督のダニー・ボイルさんが手掛けたことでも注目を集めたぜひとも観ておきたい1作。
12月20日(金)~12月26日(木)年納めにピッタリな話題作が登場!
最後の週に上映されるのは、今年の「ローレンス・オリヴィエ賞」でリバイバル賞を受賞した『ワーニャ』。そして、2016年より放送されているイギリスの人気テレビドラマ『フリーバッグ』の元となった同名舞台が公開。
■ワーニャ
2024年「ローレンス・オリヴィエ賞」リバイバル賞受賞、アンドリュー・スコットさんは主演男優賞にノミネートされるなど注目の高い本作。ロシアを代表するアントン・チェーホフの古典『ワーニャ伯父さん』をなんと1人8役を演じるという話題作で、アンドリュー・スコットさんの熱演が高く評価されています。本作NTLive内の紹介ページでは、河合祥一郎教授による相関図が載っていますので、それを見てから本作を観劇してもよいかもしれません。(相関図はこちら)
■フリーバッグ
Amazonでも配信され、イギリス国内では主演の衣裳や小物の検索率が34~38%増加し、その人気は“フリーバッグ・エフェクト”とも呼ばれるほど大反響となったドラマシリーズ『フリーバッグ』。もともとは、脚本を担当している、フィービー・ウォーラー=ブリッジが2013年のエジンバラ・フェスティバル・フリッジで初演をし、ファースト・フリッジ・アワードを受賞した一人芝居。その後、数々の賞を受賞しドラマ化に繋がりました。
因みに、そんな彼女の才能に惚れ込み、『007』シリーズでジェームズ・ボンドを演じるダニエル・クレイグさんが彼女の脚本を望んだことから、『007』シリーズ初の女性脚本家に抜擢されるという話も。まさしく様々な歴史を変えるキッカケとなった本作。そんなドラマで知名度が上がった舞台版の映像上映は日本のNTLiveファンの中でも期待値の高い作品です。
ナショナル・シアター・ライブの公式HPはこちら
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NTLiveのために考え抜かれたカメラワークで収録されるため、まさに「特等席」で鑑賞できる、舞台好きには最高のプロジェクト。私もこの記事を書きながら「毎週行けないかな」と模索しています。こんなにレベルの高い舞台に数多く触れることのできる貴重な機会。ぜひ年納めに観に行ってみては?