度々話題となる演劇・ミュージカルを観劇中のマナー違反。観劇慣れしている方からするとありえないような行動でも、初心者の方はわからずにやってしまうことがあるかもしれません。今回は演劇やミュージカルを観劇する方に向けて最低限の観劇マナーを紹介します。初めて観劇予定の方も、すでに理解されている方も、今一度確認しましょう!

スマホや携帯電話の電源は必ずオフ!スマートウォッチはシアターモードに!

開演前にスマホや携帯電話の電源は必ず切りましょう!上演中の呼び出し音や液晶画面の光は観劇の妨げになります。マナーモードやサイレントモード、機内モードではなく必ず電源オフにしてください。マナーモードの振動も静寂な劇場内では響きますし、電源を切る以外の選択をすると設定したアラームが鳴る可能性もあるからです。

スマホの機種によっては、電源を切ってもアラームの設定時刻になると自動的に電源が入りアラーム音が鳴ってしまうものもあるため、アラームの解除もしておくと確実ですね。開演直前にパニックにならないよう、スマホの電源の切り方を事前に確認しておくのも観劇マナーとして大切です。

またスマートウォッチ着用での観劇時もスマホと同様に注意が必要。シアターモードに設定することにより、手首を上げた際に画面が光るのを防ぎ、消音モードも有効になります。シアターモードのないスマートウォッチの場合は電源を切り、開演前にかばんにしまいましょう。

博多座が検証したこちらの動画も参考にしてみてください。

上演中は喋らない!感想を話すのは休憩時間か終演後に

演劇・ミュージカルの上演中は私語厳禁!例え小声でも会話をされてしまうと、役者のセリフが聞き取りづらくなり他の観客がお芝居に集中できなくなってしまうからです。それだけでなく、ステージ上で演じている役者の集中力を散漫させる原因にもなります。

友だちと一緒に観劇していると、感動を共有したくなる瞬間もあるかもしれません。しかし劇場内の観客はみんな役者のセリフを真剣に聞き、物語の世界に浸っています。感想を言い合うのは休憩時間や終演後まで我慢しましょう。観劇前のネタバレありの会話も注意!周りに気遣いながら上演中は作品を楽しみ、終演後に感想を共有するのが演劇やミュージカルを観劇する醍醐味でもあります。

劇場の客席内では飲食禁止!上演中にお弁当を食べるのは言語道断

劇場の客席内は、基本的に上演前・上演中に関係なく飲食禁止です!どうしてもお腹がすくのであれば、観劇前に外食する、ロビーの指定された場所で食べるなどして事前に済ませておきましょう。上演中は目の前のステージで展開される芝居や歌、作品の世界観に浸る時間です。

自宅のリビングで食事しながらテレビを見たり、映画館でポップコーンを食べながら鑑賞したりする感覚は、演劇やミュージカルの観劇中には忘れましょう。例外として歌舞伎座・御園座・博多座など歌舞伎作品を扱う劇場では、公演の幕間中にお弁当を食べられるところもあります。また、休憩中にロビーの売店で飲み物や軽食を販売している劇場もあります。劇場・作品によってルールが違うため、観劇前にホームページで確認して行きましょう。

ビニール袋をガサガサしない!必要なものは先に取り出しておく

上演中に手荷物のビニール袋を触り、ガサガサと音を立てるのはやめましょう!触っている本人は気付かないかもしれませんが、ビニール袋のガサガサ音はかなり響きます。筆者も過去に経験済み。ビニール袋をガサガサしている観客とは席が少し離れていたのですが、響き渡っていたためセリフが聞き取れず悔しい思いをしました。それも上演中に何度もガサガサしていたのです。

役者も気付いており、お芝居のラストの暗転時にポケットに忍ばせていたビニール袋を取り出して見せ、マナー違反の観客に無言でメッセージを送っていました。そのアドリブに少し救われた気がします。ビニール袋を意識的に触らないのはもちろん座席周辺の体が触れる位置には置かない、ハンカチや双眼鏡など必要なものはあらかじめ膝の上に置いておくという気遣いも大切です。

前のめりでの観劇はNG!推しを視界から消される悲しさ

初心者が知らずにやりがちなマナー違反が、前のめりになっての観劇です。前のめりになると、後ろの座席からの視界を見事に遮ってしまいます。特に2階や3階などの後方席で起こりがち。楽しみにしていたのに推しが突然視界から消えるなんて、自分に置き換えてみたら悲しいですよね。

少しでも前に乗り出して観たい気持ちはわかりますが、後ろの座席の方から楽しみを奪わないよう背中はしっかり背もたれにつけて観劇しましょう。博多座の検証動画と共に前のめりでの観劇について解説したこちらの記事も参考にしてみてください。

カーテンコールでの応援グッズ使用や名前を叫んでのアピールはNG!感動は拍手で伝える

カーテンコールでコンサートグッズを使用したり、役者の名前を叫んだりするアピール行為もNGです。カーテンコールは本編終了後に役者がステージに現れ、観客に感謝を伝えるもの。観客側も作品やお芝居の感動を拍手や歓声で伝えられますが、ファンサービス目的のアピールの場所ではありません。演劇やミュージカルはお芝居を楽しんでもらうために上演されており、自分の推し以外にも役者が出演しているのです。

近年はアイドルのぬいぐるみグッズを膝に乗せて観劇し、それをカーテンコールで振って推しにアピールする観客もいるようです。ある舞台に出演されたアイドルの方は、ぬいぐるみを膝に乗せての観劇について、「他の役者さんがどう思うかを考えて行動して欲しい」とラジオ番組内で注意喚起。自分本位な行動でのアピールによって、大好きな推しに恥ずかしい思いをさせてしまうことを心に留めましょう。

同じく最近SNSで見かけるのが、カーテンコールでキャラクター名や役者の名前を激しく叫ぶ観客がいて気分を害したというエピソード。この行動も自分の存在に気付いてもらいたい一心で、周りの観客のことを考えていませんよね。アピールすることにより誰のファンかわかってしまうため、「あの人のファンはマナーが守れない」という印象がついてしまいます。観劇の興奮や熱い想いは、目一杯の拍手で伝えましょう。

かずちぃ

演劇やミュージカルを観に来る方々は高いチケット代を払い、公演当日を楽しみにしています。また役者も最高のパフォーマンスを届けるため、何か月も前から稽古に励んでいるのです。大勢の方の大切な時間を奪わないよう、また自分自身が恥ずかしい思いをしないためにも観劇マナーは必ず守りましょう。