2019年に『騎士竜戦隊 リュウソウジャー』でデビュー後、近年ではドラマ『若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私-』『119エマージェンシーコール』などに出演、『王様のブランチ』でも活躍する一ノ瀬颯さん。2025年5月から開幕する劇団☆新感線45周年興行・初夏公演 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』で、初舞台に挑みます。念願だったという舞台出演への意気込みと期待を伺いました。

子どもたちの声援がやりがいに繋がっていた

−舞台には「いつかやりたい」という想いを抱かれていたそうですね。
「これまで映像作品のお仕事をさせていただく中で、舞台出身、劇団出身の方と共演すると、もの凄くお芝居にパワーを感じることが多くて。お話を聞いてみると舞台で得られるものが多いと皆さんおっしゃるので、舞台を経験することは自分にとって大きな変化になったり、得られるものが多かったりするんじゃないかという想いがありました。またデビュー作『騎士竜戦隊 リュウソウジャー』ではヒーローショーにも出演させて頂いて、子どもたちの声援を聞けることが自分のやりがいに繋がっていたので、生の反応が得られる舞台に今回挑戦できるのが楽しみです。反応を目の前で見ることで自分の芝居が変化していくこともあるでしょうし、表現の幅を広げるためにもやらせて頂きたいと思っていたので、今回出演させて頂けて本当に光栄に思っています」

−ヒーローショーでの経験がやりがいに繋がっていたのであれば、きっと舞台も楽しめそうですね。
「そうですね。高校生の時は文化祭で歌と芝居のショーのようなものに出演したことがあるのですが、それも凄く楽しかったんです。出演する前のドキドキをみんなで共有している瞬間も含めて楽しいなと感じていたので、舞台作品はやってみたいなと思っていました」

−本作の演出を手がけるいのうえひでのりさんのワークショップに参加された経験があると伺いましたが、いかがでしたか。
「2年ほど前に参加させて頂きました。いのうえさんが動きを付けてくださって芝居をしていくというワークショップで、劇団員の粟根まことさんが“塗り絵に例えると、普段のお芝居は自分が中から色を塗っていって最終的に枠が出来上がるけれど、新感線はいのうえさんが縁取りをくれて、その中を自分で塗っていくイメージ”とおっしゃっていて、とても腑に落ちました。映像作品だと画角に収まることを気にして身体を大きく動かすことが減ってしまうこともあるので、そういった自分の固定概念を外してもらえたワークショップでした」

“ジャンル=新感線”への挑戦は「贅沢な経験」

−劇団☆新感線の作品を観劇してみてどのような印象を受けられましたか。
「今まで観劇してきた舞台作品とは全く違う、“ジャンル=新感線”だなと感じました。派手で、歌があったり殺陣があったりとエンターテイメント性が高く、普段舞台を観ない方も楽しめる魅力的なコンテンツだなと感じました。まさか自分にご縁があるとは思っていなかったので、初舞台で多くのファンがいる劇団☆新感線の作品に挑めるなんて贅沢な経験だなと思います」

−アクションや殺陣は挑戦してみたかったそうですね。
「『騎士竜戦隊 リュウソウジャー』でお世話になったアクターの方々の練習にたまに混ぜて頂いてアクロバットを練習していて、アクションや殺陣はいつかやってみたいなと思っていました。今回はしっかりと稽古期間を頂いて教えて頂けるので嬉しいです。早乙女友貴さんとも殺陣で対峙する機会があると思うので、色々と教えて頂きつつ、引けを取らないように仕上げられたら良いなと思います」

−一ノ瀬さんは殺陣になぜ惹かれるのだと思われますか。
「男の子だから…?(笑)殺陣はただ戦えば良いだけでなく、戦いの激しさと、綺麗に魅せることの両方が求められると思うので、自分の身体表現を極める勉強にもなると思います。単純に体を動かすのが好きなのでそういった意味でも楽しみです」

−歌についても初挑戦になります。
「歌は元々好きで、習ったことはないんですけど、YouTubeでボイトレの先生の動画を観て家で練習していることもあるんです。いずれお仕事として挑戦してみたいなと思っていたので、嬉しいですし凄くありがたい機会だなと思います」

『王様のブランチ』での経験が言葉への意識を変えてくれた

−まだ本読みを終えた段階だと思いますが、演じる桃千代はどのようなキャラクターだと捉えていますか。
「基本的には凄く忠誠心に溢れている人物なのかなと思います。鈴木拡樹さん演じる源蒼の家臣でありながら、正しくないと感じることはキッパリと言い切り、突き進むことができる芯を持っています。自分なりに考えたり、感じた違和感を無視できなかったりする部分は自分に似ていると感じました」

−役作りの中で普段心がけていることや、大事にされていることはありますか。
「自分の体を通して表現するにあたって、少しでも役柄に対して“理解できない、おかしい”と感じていると説得力のない芝居になってしまうと思うんです。なので、その人物が良いか悪いかを勝手に判断せず、まずは受容して、その役と向き合うということを常にするようにしています」

−舞台作品にあたって、稽古期間に役を作り込むことへの期待はありますか。
「そうですね。映像作品では撮影するシーンが前後することももちろんありますし、瞬発力が求められます。今回、稽古期間に役と対話する時間をたくさん持つことで、役作りの深さの基準を上げることが出来れば、今回の作品が成功することはもちろん、映像作品でも今まで以上に深く役作りをするきっかけになると思います。デビュー作では1年間1つの役に向き合う経験をさせて頂いて、それが自分にとって大きかったと思っているのですが、それから5年経って、1つの役柄、1つの台詞に向き合う機会を頂けることで成長できたらと期待しています」

−『王様のブランチ』やバラエティでもご活躍ですが、そういった経験が役者に活きていると感じることはありますか。
「特に『王様のブランチ』は生放送ですしロケも基本的には一発勝負なので、瞬発力が培われたと思いますし、考え方の幅が広がってお芝居が変化したという実感が凄くあります。芸人さんとご一緒させて頂く機会も多いので、ワードチョイスや、言葉の抑揚の付け方を変えることで面白くさせる姿を目の当たりにすると、話すトーンや抑揚、流れ、スピードを変えることでいかに印象が変わるかを勉強させてもらいました。また、自分の中でアドリブに苦手意識があったのですが、バラエティでは基本的に台詞はないので、言われたことにパッと返すというのは鍛えられたと思います」

撮影:鈴木文彦、ヘアメイク/池上豪(NICOLASHKA)、スタイリスト/檜垣健太郎(tsujimanagement)

−最後に、本作を楽しみに待つ方へメッセージをお願いします。
「僕にとっては初舞台になりますし、歌や殺陣もしっかりと稽古時間を取って挑むのは初めてです。今までにない自分をたくさん見せられる機会だと思いますし、皆さんに直接お芝居を観て頂く貴重な機会なので、ぜひ観にきて頂き、楽しい時間や気持ちを共有できると嬉しいです」

2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』は、2025年5月13日(火)から6月1日(日)まで大阪・SkyシアターMBS、6月24日(火)から7月17日(木)まで東京・シアターHにて上演。公式HPはこちら

Yurika

一ノ瀬さんのたくさんの新しい挑戦が詰まった本作。劇団☆新感線の世界観で、一ノ瀬さんがどのように躍動するのか、楽しみです!