4月27日(日)から東急シアターオーブにて開幕したブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』。開幕前に囲み取材が行われ、チャーリー役の東啓介さん・有澤樟太郎さんと、ローラ役の甲斐翔真さん・松下優也さん、演出・振付のジェリー・ミッチェルさんが登壇しました。東啓介さん・甲斐翔真さん・田村芽実さんが出演した公開ゲネプロの様子と合わせてお届けします。
「必ず舞台上に自分自身を見出すことができる」
音楽・作詞をシンディ・ローパーさんが務め、トニー賞 ミュージカル作品賞、オリジナル楽曲賞を受賞するなど世界中で人気を集めるミュージカル『キンキーブーツ』。日本では4月27日(日)から4回目の上演が行われています。
開幕に先立って囲み取材が行われ、チャーリー役の東啓介さん・有澤樟太郎さんと、ローラ役の甲斐翔真さん・松下優也さん、演出・振付のジェリー・ミッチェルさんが登壇しました。

カンパニーの様子について「非常に自信が満ち溢れていて、それぞれ素敵です。私の大好きな言葉、“full out”です!」と表現したジェリー・ミッチェルさん。
東啓介さんは「台詞が結構な量なんです。『キンキーブーツ』は時間が必ず決まっていて、その中で台詞をどんどんどんどん喋って物語を動かしていかなきゃいけないというのは、稽古最初は慣れが必要でした」と明かします。

有澤樟太郎さんは「ジェリーに魔法をかけてもらった気分。カンパニーの士気が最上級に上がっている状態」と語り、「自分が夢に見ていた『キンキーブーツ』に出演することになって、お客様が熱狂する姿を想像しながら稽古をしてきました。お客様の期待を超える作品になったと思っています」と自信をのぞかせました。
甲斐翔真さんはご自身の姿に「120点です!プロの方々の手によってちゃんとローラ役になれている」と語り、「最後のピースであるお客様が入った瞬間に出来上がる作品だと思うので楽しみ」と意気込みます。

松下優也さんは「皆様ごきげんよう!」と明るくご挨拶され、「いつも松下優也さんは、舞台が始まる前は緊張がどちらかというと多いらしいですね。ですが、私ローラは、ライブ直前かのように高揚感が凄い状態です。凄く楽しみです!」とローラ役がバッチリ入り込んでいるご様子。
日本初演から観劇し続け、本作のファンを公言する甲斐さんは出演してみて「こんなにもローラって休憩がないんだと。袖にはけるたびに衣装を変えて、化粧も落としたり足したりして、幕間もメイクがあるので、始まると終わるのが一瞬。あれ、何をやっていたっけ?となるくらいスピード感がある役なので、それはそれで凄くやりがいがあって楽しいです。考える間もなくただローラを出来るというのは凄く貴重な体験」と語ります。

これにはジェリー・ミッチェルさんも「初めてニューヨークでこの作品を上演した時に、(ローラ役の)ビリー・ポーターに“今日どうだった?”と聞いたら“本番やりましたっけ?あまりに一瞬だったから本番やったか分からないくらいだった”と言ったんです」と明かし、松下さんも「本当に休憩する暇が驚くほどない。全てがギリギリの中で、スタッフさんたちが本当に素晴らしい」と語りました。
また本作が愛される理由についてジェリー・ミッチェルさんは「我々の物語だというところがあるからだと思います。『キンキーブーツ』という作品は、必ず舞台上に自分自身を見出すことができると思うんです。コミュニティの物語で、お互いを受け入れ合うことによって最高の自分になれるというメッセージが込められていることが、『キンキーブーツ』の成功に繋がっていると思います」と熱い想いを語りました。
「Ladies, Gentleman, They, Them,そして本当の自分を探し求めているあなた」
チャーリー役を東啓介さん、ローラ役を甲斐翔真さん、ローレン役を田村芽実さんが出演した公開ゲネプロの様子を届けします。

チャーリー・プライスはイギリスの田舎町ノーサンプトンの老舗の靴工場「プライス&サン」の次期社長として生まれますが、父の期待とは裏腹に工場は継がず、フィアンセのニコラ(熊谷彩春さん)と共にロンドンに出て生活することを選びます。ニコラは憧れの都会生活にうっとりしている様子。

しかし父が急死してしまい、突如チャーリーは工場を継ぐことになります。しかも工場は経営難に陥って倒産寸前であることを知り、幼い頃から知っている従業員たちを解雇しなければならない事態に。

従業員のひとり、ローレンに倒産を待つだけでなく、新しいニッチ市場を開発するべきだと言われたチャーリーは、ロンドンで出会ったドラァグクイーンのローラにヒントを得て、ドラァグクイーンのためのブーツ“キンキーブーツ”をつくる決意をします。華やかなブーツへのアイデアを次々に出すローラをデザイナーに迎え、「プライス&サン」の逆転劇が始まります。

東さん演じるチャーリーはキンキーブーツを作る前の“やりたいことがない”状態と、キンキーブーツを作り出してからの生き生きとした姿を別人のように演じ分け、生きがいを見つけた人の輝きを眩いほどに演じていきます。やりたいことが見つからない若者も多い昨今、チャーリーの姿に勇気をもらう人も多いのではないでしょうか。

ローラ役の甲斐さんは高身長を生かしたダイナミックなパフォーマンスが印象的。ローラのスター性、存在感を見せつけつつも、「Not My Father’s Son /〜息子じゃないの〜」では繊細かつエモーショナルな歌唱で魅了します。

父の理想の息子にはなれなくとも父への愛情は確かにあって、だからこそ父の期待に応えられない歯痒さ、切なさ。こういったローラ(サイモン)の内に秘めた傷がしっかりと描かれるからこそ、パフォーマンスでの美しさが増すのでしょう。

田村芽実さんはコミカルでキュートなローレンにぴったり!多彩な表現力でローレンの個性と魅力を作り上げます。歌唱力やダンスはもちろん、コメディエンヌとしても天賦の才を持つ田村さんの魅力が爆発しているキャラクターです。

また、本作の魅力といえばローラとエンジェルスが魅せる圧巻のパフォーマンスシーン!華やかな衣装・セットと、キレのあるダンス、キャッチーな音楽。夢の世界に入り込める、ミュージカルの魅力が詰まったシーンの数々をどうぞお楽しみに。

ローラは「立とうとしてもがくあなた、この手をどうぞ」と歌います。それは工場を、自分の未来を明るいものにしようともがくチャーリーへのメッセージであり、劇場を出て現実世界に戻る観客へのメッセージでもあります。ありのままの相手をただ受け入れる。自分が変われば、世界は変わる。ローラのくれる力強くポジティブなパワーが、私たちの背中を押してくれます。分断が進む今の世界にこそ、届いてほしい作品です。

ミュージカル『キンキーブーツ』は2025年4月27日(日)から5月18日(日)まで東急シアターオーブ、5月26日(月)から6月8日(日)までオリックス劇場にて上演。公式HPはこちら

最後の「Raise You Up/Just Be」は一緒に踊りたくなること間違いなし!『キンキーブーツ』はやっぱり最高です!!