画家ヒグチユウコさんの絵本を原作とした舞台版『せかいいちのねこ』が、2025年8月に東京・日生劇場にて2年ぶりに上演されます。今年の夏休みは、絵本をダンスと人形で表現した演劇の世界に飛び込んでみませんか。
絵本原作の舞台が再演決定!
『せかいいちのねこ』は画家ヒグチユウコさんによる絵本シリーズの1作目であり、代表作のひとつでもあります。主人公のニャンコは、ぼっちゃんという男の子が持っている猫のぬいぐるみ。ぼっちゃんにいつまでも愛されるために本物の猫になりたいニャンコが、さまざまな猫たちと出会うなかで“本当の幸せ”を見つける物語です。
2023年に日生劇場開場60周年記念公演のひとつとして世界で初めて舞台化されると、好評のまま幕を閉じました。そして今回、2025年の7月から8月にかけて開催される「日生劇場ファミリーフェスティヴァル 2025」にて舞台版『せかいいちのねこ』が再演を果たします。
「日生劇場ファミリーフェスティヴァル」とは、家族で本格的な舞台芸術に触れる機会を作ることを目的に、1993年より始まったイベントです。演劇からミュージカル、バレエに至るまで幅広いジャンルの作品を上演し、子どもはもちろん大人も楽しめる内容となっています。日生劇場周辺には日比谷公園をはじめお出かけスポットも多いので、きっと夏休みの素敵な思い出になりますよ。
<あらすじ>
猫のぬいぐるみ・ニャンコは持ち主のぼっちゃんからとても愛されています。ただ、赤ちゃんの時から一緒にいたぼっちゃんはもう7歳、皆からぼっちゃんがぬいぐるみに飽きるのは、そろそろだと言われ、ニャンコは不安を抱えます。 そんな中、ニャンコは、仲間のぬいぐるみから「猫のヒゲ」を集めて身体に入れれば本物のねこになれる、という話を聞き、ヒゲ集めの旅に出ることになるのですが…果たしてニャンコは本物のねこになれるのでしょうか。
ダンサーと人形が紡ぐ切なくも優しい物語
ヒグチユウコ作品といえば、繊細なタッチでリアルに描かれるキャラクターが印象的。愛らしくもどこかダークな雰囲気が漂う唯一無二の世界観に、多くのファンが魅了されています。
そんな絵本の持つ魅力をステージから観客へ届けるべく、舞台版『せかいいちのねこ』ではダンスと人形のプロフェッショナルが集結。2023年の初演時に尽力したキャスト・スタッフが、2025年版にも引き続き参加します。
脚本と演出、振付、作詞を手掛けるのは、ダンサーかつ振付家の山田うんさんです。そして、彼女の率いるダンスカンパニー「Co.山田うん」のダンサーが個性溢れる猫たちに扮し、ニャンコに大切な気付きを与えていきます。「Co.山田うん」にはダンサーだけでなく、俳優やモデル、振付家、演出家など多彩なメンバーが在籍。国内外でのダンスパフォーマンスを中心に自由な芸術活動を展開しながら、全国の劇場における子ども向けダンスプログラムや福祉施設・学校でのワークショップなどを通じて心身の育成にも取り組んでいます。
一方で、舞台に登場するニャンコたち人形の動作を担うのは、人形劇団ひとみ座の団員。1948年の発足以来、人形劇の専門劇団として『ひょっこりひょうたん島』を含む多数の代表作を生み出してきました。近年人気の『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』や絵本『おしいれのぼうけん』など、世代を超えて愛される作品を上演してきた彼らの経験値で、人形たちに命が吹き込まれます。
ちなみに2025年公演のメインビジュアルは、ヒグチユウコさんの書き下ろし。主人公のニャンコと友達のアノマロを、本物の猫であるいじわるねこがじっと見つめています。「愛されるってなんだろう」「自分らしさってなんだろう」というキャッチコピーの答えについて、ニャンコと一緒に親子で考えてみてはいかがでしょう。
舞台版『せかいいちのねこ』は、東京・日生劇場にて2025年8月2日(土)と3日(日)に上演されます。チケットの一般発売は5月23日(金)より開始。また、全国ツアーとして9月14日(日)に鹿児島公演、2026年2月22日(日)に熊谷公演が行われます。さらに、小学生を無償で招待する「ニッセイ名作シリーズ公演」として札幌、名古屋、福岡、那覇でも公演を実施予定です。
なお、本作は3歳未満の子どもは入場不可であり、公演を楽しめる推奨年齢は5歳より上に設定されています。そのほか舞台に関する詳細は、公式HPをご確認ください。

早くも再演が決まった舞台版『せかいいちのねこ』。ヒグチユウコさんの独特な世界観が絵本を飛び出し、ステージでどうやって表現されるのか筆者もとても気になります。この機会に、家族で観劇を体験してみるのもおすすめです!