今年の12月から来年の1月にかけて東京芸術劇場プレイハウスにて上演されるフレンチロックミュージカル『赤と黒』。三浦宏規さんが妖艶な美青年を演じる本作は、あの『SIX』の演出家が手掛けているというのも見どころの一つです。

野心に満ちた美青年が最後に染まる色とは?

『赤と黒』は、フランスの文豪スタンダールの同タイトルの小説を原作としたフレンチロックミュージカル。2016年のパリ初演版を手掛けたのは、『1789』『ロックオペラ モーツァルト』のプロデューサーとして知られているアルベール・コーエンです。

日本では宝塚歌劇団が1957年に菊田一夫脚色、1975年に柴田侑宏の脚本により舞台化し、今年3月には『Le Rouge et le Noir 〜赤と黒〜』のタイトルで星組による公演が行われました。

舞台は1820年代のフランス。

小都市ヴェリエールで製材屋の末息子として育ったジュリアン・ソレルは、出世への野心を抱く美青年です。元々はナポレオンのような軍人を目指していたジュリアンですが、王政復古の世の中になったため、聖職者を目指して勉強に励んでいました。

やがてジュリアンはその賢さを買われ、町長であるムッシュー・ド・レナールの家で子供たちの家庭教師として働くことに。ジュリアンは町長の妻であるルイーズ・ド・レナールに愛され、最初は出世の足掛かりとして応じていたものの、次第に禁断の恋に溺れていくようになります。

しかし2人のスキャンダルは、密告者によって暴かれてしまいました。ジュリアンは町を出てパリへ行き、大貴族であるラモール侯爵の秘書として、新しい暮らしを始めます。

そこで出会ったのは、ラモール侯爵の令嬢マチルド。この出会いが、ジュリアンの運命と、彼に魅了された2人の女性を狂わせてしまうのです・・・。

原作小説において、題名の『赤と黒』がそれぞれ何をさしているのかは、ハッキリとは明かされていません。軍人と聖職者のそれぞれの服の色、愛と死の色などさまざまな考察が飛び交いますが、果たしてジュリアンが最後に染まるのはどちらの色なのか。激しくロマンチックなフレンチロックの調べに酔いしれながら、ぜひその答えを劇場で探してみてください。

『SIX』の演出家、ジェイミー・アーミテージが日本初演出!

本作の演出を手掛けるのは、日本で初の演出を務めるジェイミー・アーミテージ。彼は昨年トニー賞作品賞を受賞したブロードウェイミュージカル『SIX』の演出を務め、トニー賞ミュージカル演出賞にノミネートされました。

『SIX』は、ヘンリー8世の6人の妻の半生をポップコンサート風に仕立てたコメディミュージカル。こちらも現代的な音楽を効果的に使い登場人物たちの心の叫びを表現した話題作で、軽快なロック・ミュージックで革命や野心を歌う『赤と黒』に通じるものを感じさせます。

三浦宏規が美青年ジュリアン役!日本のミュージカルスターが大集結

ジュリアン役を演じるのは、今秋は千秋真一役として『のだめカンタービレ』にも出演する三浦宏規さんです。親しみやすい好青年役が多い三浦さんが明晰な頭脳と妖艶な美貌を武器にする美青年ジュリアンになるというのですから、イメージとのギャップに注目せざるを得ません。

ジュリアンを愛してしまう町長夫人ルイーズ・ド・レナール役は、宝塚星組元トップ娘役の夢咲ねねさん。そしてもう一人、ジュリアンを愛する令嬢のマチルドは、まるで役に憑依するかのように様々な役柄をこなす田村芽実さんが演じます。

さらには町長ムッシュー・ド・レナール役に東山光明さん、マチルドの父でありジュリアンを秘書として雇うラモール侯爵には川口竜也さん、ストーリテラーであるジェロニモには東山義久さん、レナール町長に対抗心を燃やすブルジョワのムッシュー・ヴァルノ役に駒田一さんといった豪華キャストが終結!彼らが歌とダンスに乗せて叫ぶ愛と葛藤は、劇場で生で浴びたいものですね。

フレンチロックミュージカル『赤と黒』は、東京芸術劇場プレイハウスにて12月8日(金)から12月27日(水)まで東京公演、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて来年1月3日(水)から1月9日(火)まで大阪公演を上演します。一般チケットの発売開始は、10月7日(土)10時から。詳しくは公式HPにてご確認いただけます。

さきこ

『赤と黒』の時代背景は、『1789』と『レ・ミゼラブル』の間と言ったところでしょうか。 フランスを舞台にしたミュージカルがお好きな方には、ぜひ履修していただきたい本作。 抑圧的な社会で変化を起こそうとするジュリアンの物語は、現代の私たちにも勇気を与えてくれそうです。