6月14日から開幕するミュージカル『GIRLFRIEND』。マシュー・スウィートの楽曲を使用したジュークボックスミュージカルの日本初演で、高橋健介さん/島太星さん/井澤巧麻さん(トリプルキャスト)、萩谷慧悟さん/吉高志音さん/木原瑠生さん(トリプルキャスト)とフレッシュなキャストが2人ミュージカル、初東宝ミュージカルに挑みます。本作の公開稽古のリポートをお届けします。
「覗き見しに来てください」
本作は、90年代のパワーポップ(ロックの形態の1つ)シーンの中で最も輝いたアメリカのシンガーソングライター、マシュー・スウィートのアルバム『GIRLFRIEND』をベースにしたジュークボックスミュージカル。
ネブラスカ州の小さな町を舞台に、ウィルとマイク、2人の青年が音楽を通して心を通わせる、甘酸っぱい恋愛を描いた作品です。
本作の公開稽古でまず披露されたのは、ウィル:井澤巧麻さん&マイク:木原瑠生さんによる「Reaching Out」。2人が初めて一緒にドライブインシアターに映画を見に出かけた帰り道、それぞれが同じ楽曲を通して今の想いを歌うナンバーです。井澤さんと木原さんは繊細なハーモニーが魅力的で、ウィルとマイクのまだぎこちない距離感が垣間見えます。
次にウィル:高橋健介さん&マイク:萩谷慧悟さんにて、表題曲でもある「GIRLFRIEND」が披露されました。父親と喧嘩したマイクを励まそうとするウィル。車のラジオから流れてきた「GIRLFRIEND」を2人が歌い始めると、テンションがぐんぐんと上がっていき、一気に日頃の鬱憤を発散していきます。
高橋さん演じるウィルはとても真っ直ぐにマイクを見つめ、2人の間に絆が芽生え始めているのを感じます。萩谷さんのダンスはしなやかで、強くエネルギッシュなコンビです。
最後に、ウィル:島太星さん&マイク:吉高志音さんによって2人の距離がグッと縮まる楽曲「We’re the Same」が披露されました。吉高さんはギターを奏でながら高音を綺麗に響かせ、佇まいが落ち着いた印象。一方島さんはキャラクター像も歌声も柔らかで、対照的だからこそ相性の良いことを感じさせる2人です。
楽曲披露の後、6人と演出家・小山ゆうなさんによる質疑応答が行われました。本作は出演者6名全員が東宝ミュージカル初登場というフレッシュな面々。本作への出演が決まった時のことについて高橋健介さんは「東宝ミュージカルやシアタークリエはベテランの方が出ているというイメージだったので、全員が初出演ということに驚きました。チャレンジングだし、これをしっかり成功させて次に繋げたい」と意気込みます。
萩谷慧悟さんはミュージカルを「役者人生の中でどこかでやりたいと思っていた」そうで、新たな挑戦を嬉しく受け止めたと言います。また「シアタークリエは自分の中で特別な会場でして、そこで出来るというのも1つの感動があります」と想いを噛み締めます。
島太星さんは「北海道に在住していて、東宝さんから連絡が来るなんて、電波通ってたんだって…」と島さんらしいコメントで会場を和ませます。「素晴らしいキャストと演出の小山さんと、1つの作品を作れるということに対しても夢のような体験をさせていただいているなと。同性愛というのも僕はこれまで感じることも出来なかった人間だったから、今回新しい発見もあって、恋について深みをいっぱい知れて、まだまだ人生って色々な楽しいことがあるんだなと、希望が持てました」と稽古での体験を語ると、萩谷さんから「今まで絶望してた人みたいになってるけど大丈夫?(笑)」とツッコミが入ります。
吉高志音さんは、シアタークリエは何度も観劇したことのある劇場だそうで、「そんな劇場に立てることが凄く嬉しいです。お客様にも甘酸っぱい青春の中で生きている高校生の生っぽい空気感をぜひ劇場で体験してほしい」と意気込みました。
井澤巧麻さんは本作の出演が決まった際、「信じられなくて、本当に舞い上がって嬉しかったのと、ここは勝負だぞというプレッシャーも感じていました。元々バンドをやっていたり、音楽が好きだったりするので、ロックな楽曲やポップな楽曲がいっぱいあって、自分が挑戦するのに合う作品だなと。今は毎日頭がパンクしそうで、稽古から帰って家でも台本を読んでいるんですけれど、絶対に自分の今後の人生、俳優としての人生、どちらにも財産になる時間になると思っているので、必ず良い形で成し遂げたいと思っています」と強い決意が語られます。
木原瑠生さんは本作の出演が決まる直前にちょうどシアタークリエにて観劇していたため、「そこでやれるのかという嬉しさと、逆に不安になる気持ちがありましたけれども、今後の人生を左右する作品になるじゃないかなと思うので頑張りたい」と素直な気持ちを明かしました。
小山ゆうなさんは本作の翻訳・演出について、「訳詞が上田一豪さんで、原曲はポップスなので同じ歌詞の繰り返しが多いんですけれど、全てではないけれど、ある程度繰り返しの要素を活かそうと判断してくださって。だから翻訳の中でも、青年たちの語彙の多くなさ、シンプルな言葉しか持たないようにしていて、流暢に喋れないから間も出来ちゃうし、その中でも一生懸命に伝えたいというのを意識しています。だからその言葉の裏にある本当の意味は何だろうねというのをみんなで考える作業をやっている状態です」とこだわりが明かされました。
今回稽古場取材で初めて人前でシーンを披露したことで、「僕たち2人で楽しんでいるんだから、見るなよ、という気持ちになりました」と役柄として初めて感じた気持ちをお話ししてくれた高橋さん。これには萩谷さんも「本当に2人の物語だね」と頷きます。高橋さんは「見に来てくださいというよりは、覗き見しに来てください」とアピールされ、本作ならではの観劇体験が待っていそうです。
ミュージカル『GIRLFRIEND』は6月14日(金)から7月3日(水)までシアタークリエにて上演が行われます。公式HPはこちら
楽曲披露前には皆さんで声を掛け合う姿が。チームワークがよく、エネルギッシュな現場であることが伝わってきました。マシュー・スウィートの楽曲はサブスク等でも聴くことが出来ます。ぜひ楽曲を聴いて本作の世界観を想像してみてください。