読売新聞創刊150周年記念・よみうり大手町ホール開場10周年記念舞台『罠』が10月4日よりよみうり大手町ホールにて上演されます。登場人物たちによって繰り広げられる衝撃のスリラーサスペンス劇。演劇界のヒッチコックと呼ばれたロベール・トマの名作舞台『罠』についてご紹介します。
ロベール・トマ原作!衝撃的なラストを迎える推理劇
『罠』は1960年にフランスの劇作家ロベール・トマが発表し、パリで初演されたスリラーサスペンス劇。日本でも1961年に初演されて以降、幾度となく再演されてきました。男女の騙し合い、駆け引き、伏線が張り巡らされたストーリーは、台詞劇・心理劇としても見応えのある作品です。
<あらすじ>
とある山荘での出来事。バカンスに訪れていた新婚3ヶ月のカップル、夫のダニエルと妻のエリザベート。二人は些細な夫婦喧嘩をし、妻エリザベートが行方不明になってしまいます。ダニエルはカンタン警部に捜査を依頼しますが、なかなか見つかりません。そこへマクシマン神父に付き添われエリザベートが戻って来ますが、全くの別人でした。ダニエルは妻ではないと主張しますが、状況証拠は現れた女性が妻に違いないというものばかり。さまざまな証人が登場し、殺人事件にまで発展する中でついに明らかになった真実とは。
嘘をついているのは一体誰で、誰が誰の協力者なのか。想像の上を行く結末に衝撃を受け、心を奪われるのではないでしょうか。
上川隆也・藤原紀香など豪華キャストが集結
舞台『罠』でカンタン警部役を務めるのは、数多くのドラマや舞台作品で活躍する上川隆也さん。本作の出演に当たって、以下のようにコメントしています。
「したたか〈強か〉
中々手強い事。一筋縄では相手に出来ない事。
この作品を前にして言い表せる言葉はこの『強か』に尽きるのではないでしょうか。
観劇なさった方々が口を揃えて『記憶を失ってもう一度観たい』と評する『罠』。
ミステリー作品の常道『フーダニット(犯人捜し)』や『ホワイダニット(動機の解明)』は見せ場であるが故に、明らかになった途端、作品の持つ魅力を大きく下げかねません。
にも関わらず、初演から60余年の歳月、繰り返される上演。
作品が持つ、底知れない魅力・『強かさ』が、今回、読売新聞創刊150周年記念・よみ うり大手町ホール10周年記念公演にまで選ばれた大きな理由なのでしょう」
行方不明になった妻のエリザベート役には、舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』での記憶が新しい藤原紀香さん。夫のダニエル役にはドラマ『臨場』や映画『男たちの大和』など多くの作品に出演し、父親に渡辺謙さん、実妹に杏さんを持つ渡辺大さん。現在放送中のドラマ『笑うマトリョーシカ』では主人公・清家の同級生・佐々木役を演じています。
マクシマン役にはミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンで舞台デビューし、『アニー』にも出演経験のある財木琢磨さん。絵描きのメルルーシュ役には元競泳選手でミュージカル俳優に転身後劇団四季で活躍、ミュージカル『エリザベート』や『アニー』に出演していた藤本隆宏さん。
看護師のベルトン役には元宝塚歌劇団宙組トップスターで、退団後は『1789‐バスティーユの恋人たち-』『屋根の上のバイオリン弾き』などに出演した凰稀かなめさん。そして警察官役には、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』シリーズに出演した赤名竜乃介さん。さまざまな分野から豪華で実力のある俳優陣が集結し、この推理劇を一層盛り上げます。
2017年以来7年ぶりに演出を手がける深作健太
演出を手がけるのは、映画『バトル・ロワイアル』シリーズの脚本や、『同じ月を見ている』の監督を務めた深作健太さん。深作さんの父親は2003年に亡くなった映画監督・脚本化の深作欣二さんで、健太さんは2000年に上映された『バトル・ロワイアル』から脚本とプロデュースを担当していましたが、欣二さんが亡くなったため『バトル・ロワイアルⅡ【鎮魂歌】』から映画監督デビューを果たしています。
健太さんの舞台演出のデビュー作は2010年に上演された『罠』。2017年に続き、今回は7年ぶりの演出担当となります。演出家としての原点となった作品だと話す健太さんが、今回新解釈の演出でどのように表現するのかも必見です。
舞台『罠』は10月4日から20日まで東京のよみうり大手町ホールにて上演。その後、大阪、北九州、高松、岡山、愛知、富山と全国6ヵ所をツアーで周ります。公演の詳細については公式HPをご覧ください。
罠と言うタイトルが誰に向けての言葉なのか、何を表しているのか会話劇を考察しながら観るのもおもしろいのではないでしょうか。