イギリスの著名な劇作家、ピーター・シェーファーが生み出した戯曲『ブラック・コメディ』。1965年にロンドンで初演されて以降、世界各地で上演され、1970年には劇団四季で初演されました。そんな本作が2024年、新たなチームによって舞台化されることに!この記事では、舞台『ブラック・コメディ』のあらすじや実力派キャストについてご紹介していきます。

文字通り「明暗逆転」の異色作

『ブラック・コメディ』は、イギリスの有名な劇作家であり、『アマデウス』や『フォロー・ミー』といった映画化された作品も人気の高いピーター・シェーファーによる作品です。

物語の主人公は、売れない若手彫刻家。彼は、留守中の隣人宅から数々の調度品を無断で借用し、婚約者の父親と億万長者の美術蒐集家を招き、さも自らの作品かのように仕立てることで愛と富を手に入れようと画策します。しかし突然、予期せぬ停電がアパート全体を襲い、招かれざる客も次々と訪れ、暗闇の中でトラブルへと発展していくことに……。

実は本作は、「明暗が逆転した異色作」として知られています。

というのも、ピーター・シェーファーは劇中、室内の電灯がついている設定のときは舞台上を暗く、停電の設定のときは舞台上を明るくするという、明暗が逆転したユニークな手法で表現することで、停電中のパニックを視覚的に際立たせるとともに、登場人物たちの隠された本音や嘘を表出させるという手法を用いたからです。

そして今回、この風変わりな作品に、大歳倫弘さんが上演台本・演出として挑みます。

大歳さんは、2005年にヨーロッパ企画に参加して以降、同劇団の主宰である上田誠さんの演出助手を長年務める一方、自らも映像や舞台の話題作で作家、演出家として活動してきました。そんな大歳さんは異色作『ブラック・コメディ』にどう立ち向かうのでしょうか?

暗闇でトラブルを巻き起こす個性豊かな登場人物たち

今回の『ブラック・コメディ』は、キャストの豪華さも魅力の1つです。

まず、愛する女性と富を一挙に手に入れるため画策する、主人公の若手彫刻家ブリンズリーを、浜中文一さんが演じます。

浜中さんは、劇団☆新感線41周年春興行 Yellow⚡新感線『月影花之丞大逆転』、『シラノ・ド・ベルジュラック』、ミュージカル『ダブル・トラブル』など舞台を中心にドラマや映画、コンサートで活躍されている注目俳優のお1人です。

他にも、婚約者キャロルは市川美織さん、ブリンズリーの元彼女クレアには三倉佳奈さんがキャスティングされています。

また、ブリンズリーの隣人で東洋古美術商人のハロルドを山口森広さん、アパートの上階に住む女性ミス・ファーニヴァルを朝海ひかるさん、キャロルの父親で厳格な性格のメルケット大佐を渡辺いっけいさんが個性豊かに演じます。

突然の停電によって生まれた暗闇と、一筋縄ではいかなさそうな登場人物たち。主人公の大奮闘と、それを取り巻くトラブルの行方が、どんどん気になってきませんか?

演者と観客が共に暗闇に立ち向かう作品

『ブラック・コメディ』について、上演台本・演出の大歳倫弘さんは次のようにコメントされています。

「停電の暗闇が引き起こすトラブルによって、ブリンズリーの人生をひっくり返そうという計画は狂い、彼は窮地に陥っていきます。その様子は時に滑稽にも見えますが、どんな状況になっても『なんとかしよう!』と立ち向かう様に、僕はグッとくるものがありました。
僕は、人生で一度くらい、危険でヤバそうな暗闇に向かって突き進んでいい、と思うタイプです。
1969年に初演が行われてから、世界中で幾度となく再演を重ねられている今作品ですが、今の日本を生きる我々だからこそ、そのテーマや状況も理解しやすく、身近に感じられる部分が多いように思います。ぜひ、皆さんも共に暗闇に立ち向かいましょう。」

「皆さんも共に暗闇に立ち向かいましょう」……?この謎めいた言葉は一体なんだ……?と、気になってしまったあなたは、もう『ブラック・コメディ』の魔力に魅了されてしまっているかもしれませんよ。

舞台『ブラック・コメディ』は、2024年8月17日(土)〜9月1日(日)まで、東京のIMM THEATERにて上演されます。詳しくは公式サイトをご覧ください!

さよ

停電したアパート、招かざる客たち、次々と巻き起こるトラブル......視界を奪われた人々が繰り広げる「ブラックなコメディ」を私も体感したくなりました。