2022年にイギリスのハロルド・ピンター劇場で上演され、その後NT Liveとして全世界に公開された『プライマ・フェイシィ』。多くの方のラブコールを経て、権利切れ前に大阪府・宮崎県・鹿児島県・徳島県での上映が決定しました。人々の心を打つこの作品の魅力について迫っていきたいと思います。
女性弁護士が性犯罪に立ち向かう一人芝居 スージー・ミラー×ジョディー・カマー
『プライマ・フェイシィ』は、オーストラリア出身の劇作家スージー・ミラーが手掛け、2019年に彼女の出身地であるオーストラリアで上演されたのち、2022年にイギリス・ウエストエンドで、ジョディ・カマーのウエストエンドデビュー作として上演されました。
翌年、イギリスで最も権威のある賞とされるローレンス・オリヴィエ賞に最優秀新作演劇賞や最優秀主演女優賞などの賞を受賞し、同年にアメリカ・ブロードウェイに進出。そこでも話題を呼び、同年にトニー賞の最優秀主演女優賞を受賞するなど、作品として大きな評価を得ました。特にジョディー・カマーはこの舞台出演を機に、ますます注目される存在の女優となりました。
〈あらすじ〉
積極的にキャリアを重ねる弁護士テッサは、依頼がくる仕事をどんどんこなし、時にはレイプ事件の加害者の弁護も扱ってきた。しかし、ある日、自らも性的暴行の被害者となってしまい、自身の訴えを起こしたことから、それまで気づきもしなかった法律で守れるものの壁にぶち当たることになる。
性犯罪というセンシティブなテーマを取り扱っているこの作品。主人公である女性弁護士のテッサが、弁護士としての役割を全うし、時には批判されるべき立場にある性犯罪の加害者を弁護するという立場から一転、自分自身が性犯罪の被害者になったことで、今まで見えてこなかったさまざまなことに直面します。当事者になったことによって見えてくるもの、そのことに気づき、そして壁にぶつかりながら立ち向かっていく姿は、観る人の心に響くのではないでしょうか。
話題作が権利切れ前の緊急上映!
『プライマ・フェイシィ』は2022年にNT Liveの新作として世界で上演されると、瞬く間に絶賛の口コミが広がったことにより、全世界で50万人を超える人たちが映画館に足を運んで鑑賞したといいます。
大盛況っぷりは日本でも同じで、最終日も満席となり、急遽追加上映が決定するほどだったということです。アンコール上映を求める声も多かったこの作品が、再び日本のスクリーンに戻ってくることになりました。話題となった作品とはいえ、海外作品は現地に足を運んで観劇することがとても難しいですが、このように日本の映画館で気軽に観劇できることで、海外作品がより身近で体感することができる一つの機会なのだと思います。
NT Liveによる最先端の設営技術により、舞台上の空気感や俳優たちの演技を、より臨場感があふれる映像をスクリーンで鑑賞できる『プライマ・フェイシイ』。ぜひ、映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか。
『プライマ・フェイシィ』は東京での上演は終わりましたが、12月5日に上映権利が切れる前に、大阪府・宮崎県・鹿児島県・徳島県での上映が行われます。
大阪府・扇町キネマ 11/9(土)、11/11(月)、11/13(水)*3回限定
宮崎県・宮崎キネマ館 11/15(金)〜11/21(木)
https://bunkahonpo.or.jp/cinema
鹿児島県・ガーデンズシネマ 11/17(日)、11/30(土)*2日限定
徳島県・ ufotable CINEMA 11/30(土)、12/1(日)*2日限定
http://www.ufotable.com/cinema/
恥ずかしながら、実は今回初めてNT Liveの存在を知りました。海外に行かずとも、映画館で海外上演作品を観ることができるのは、良い取り組みだと思いました。この取り組みが日本でも盛んに行われ、日本作品が気軽に世界で上演されるきっかけにならないかなと思っています。