チャールズ・ディケンズの小説を原作としたミュージカル『二都物語』。日本での初演から12年後となる2025年5月、東京・明治座を皮切りに全国各地の劇場で再演されます。

ミュージカル化された不朽の名作が日本で再演

『二都物語』は、19世紀イギリスを代表する文豪チャールズ・ディケンズの小説です。18世紀のイギリスとフランスを舞台に美しく壮大なロマンスが展開する本作は、これまでに全世界で2億冊以上発行されています。

ディケンズは物語の登場人物に厳しい試練を与える一方で、精一杯生きていく中で得られる喜びや幸せも描き出しました。人生に真摯に向き合う作家の意思を感じるからこそ、時代を超えて人々に読み継がれているのかもしれません。そんなディケンズの作品は、『オリバー・ツイスト』や『クリスマス・キャロル』をはじめとして世界各国で舞台化されてきました。

『二都物語』もそのひとつであり、2007年にアメリカで初めてミュージカル化。翌2008年にブロードウェイに進出すると、さらに2012年には韓国で上演されて好評を博しました。日本では2013年の夏に帝国劇場で初演を果たし、今回12年ぶりに明治座で再演されます。

<あらすじ>
18世紀後半、イギリスに住むルーシー・マネットは、17年間バスティーユに投獄されていた父ドクター・マネットが酒屋の経営者ドファルジュ夫妻に保護されていると知り、パリへ向かう。無事に再会した父娘がロンドンへと帰る途中、フランスの亡命貴族チャールズ・ダーニーと出会うが、彼はスパイ容疑で裁判に掛けられてしまう。そのピンチを救ったのは、ダーニーと瓜二つながら酒浸りの弁護士、シドニー・カートン。3人は親交を深め、やがてダーニーとルーシーは結婚を誓い合う仲になる。カートンもまた密かにルーシーを愛していたが、2人を想い身を引く。穏やかな暮らしが続くかに見えたが、ダーニーは昔の使用人の危機を救おうと祖国フランスに戻り、フランス革命により蜂起した民衆たちに捕えられてしまう。再び裁判に掛けられたダーニーだったが、そこで驚くべき罪が判明し、下された判決は死刑。ダーニーとルーシーの幸せを願うカートンはある決心をし、ダーニーが捕えられている牢獄へと向かう――。

待望の再演に実力派キャストが集結!

ミュージカル『二都物語』の2025年版では、初演に続いて出演するメンバーと新しく加わるメンバーとの共演が見どころです。

物語の核となる3人のうち、主人公の弁護士シドニー・カートンを演じるのは、初演と同じく井上芳雄さん。抜群の歌唱力と演技力を活かして数々の作品で主演を務め、今やミュージカル界を代表する存在に。近年ではテレビのドラマや音楽・バラエティ番組に出演したり、番組MCを担当したりと、活動の場をどんどん広げています。

もう1人の主人公といえるチャールズ・ダーニーも、初演から変わらず浦井健治さんが演じます。話題作への出演が続き、ミュージカル界でも年々その存在感を増している浦井さん。12年の時を経て、井上さんとともにどんなドラマを紡ぎ出すのか、期待せずにはいられません。

そして、2人の男性から思いを寄せられる心優しき女性、ルーシー役に元宝塚歌劇団の潤花さんが抜擢。宙組のトップ娘役として華やかなダンスでも注目された潤さんにとって、今作が退団後初のミュージカル出演となります。

さらに、ルーシーの父親であるドクター・マネット役には、劇団四季出身の福井晶一さんを新たにキャスティング。あの名作ミュージカル『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャン役を10年近く演じ続けるなど、多くの舞台やミュージカルで実力を発揮しています。

そのドクター・マネットの元使用人で貴族を恨むドファルジュ役には、舞台から映像作品、ナレーションまでマルチに活動する橋本さとしさんが続投。直近では、ミュージカル『カム フロム アウェイ』や『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』への出演が記憶に新しいですね。一方で妻のマダム・ドファルジュ役として、宝塚歌劇団出身であり現在はミュージカルを中心に活躍する未来優希さんが初登場します。

この他、初演から続投する頼もしいキャストが脇を固めます。ダーニーの叔父で市民を酷く虐げるサン・テヴレモンド侯爵役は、ミュージカルやストレートプレイ、テレビドラマなど演技経験の豊富な岡幸二郎さん。小悪党のバーサッド役である福井貴一さんと墓掘りのジェリー・クランチャー役である宮川浩さんも、それぞれ多くの舞台で経験を積んできた実力派です。

本作の脚本・作詞・作曲は、ジル・サントリエロによるもの。ブロードウェイミュージカルの作曲家として日本でも有名なフランク・ワイルドホーンが追加音楽を担当しました。また、演出家として高く評価されている鵜山仁さんが翻訳・演出を手掛けています。

ミュージカル『二都物語』は2025年5月7日(水)から31日(土)まで、東京・明治座にて上演されます。その後、6月7日(土)から12日(木)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、6月21日(土)から29日(日)まで愛知・御園座、7月5日(土)から13日(日)まで福岡・博多座に巡演予定。なお東京公演分のチケットについては、3月1日(土)より一般発売が始まります。詳細は公式HPをご確認ください。

もこ

イギリスの名文学を原作とするミュージカルが12年越しに再演されるとあって、気になっている方も多いのでは。続投するメインキャストの2人を中心に、新しいカンパニーで紡がれる『二都物語』に注目です!