「White Christmas」をはじめ、アーヴィング・バーリンの珠玉の名曲と華やかなレビューシーンが彩るミュージカル『ホリデイ・イン』。1942年公開の映画をもとに2014年に舞台化された作品で、今回は2013年に『TOP HAT』でローレンス・オリヴィエ賞の最優秀振付賞を受賞したビル・ディーマーさんが演出・振付を務め、新演出版として日本初演を迎えます。坂本昌行さん、増田貴久さん、柚希礼音さん、夢咲ねねさん、保坂知寿さんらが開幕前に行われたプレスコールと取材会に臨みました。
「White Christmas」など名曲で彩られるミュージカル『ホリデイ・イン』
まずプレスコールでは「Overture」と「Steppin’out with My Baby/I’ll Capture Your Heart」が披露されました。

ニューヨークのショーで活躍するステージ・パフォーマーであるジム・ハーディ(坂本昌行さん)、テッド・ハノーバー(増田貴久さん)とライラ・ディクソン(夢咲ねねさん)。

坂本さん演じるジムが深みある歌声で魅せれば、増田さん演じるテッドが軽やかなステップで応え、夢咲さん演じるライラは華やかな笑顔で魅了。抜群のコンビネーションを魅せます。彼らがいかに観客を楽しませているかが想像できる煌びやかなシーンです。
続いて、ジムとリンダ(柚希礼音さん)の距離がぐっと縮まるロマンティックなナンバー「White Christmas」、

ジムが農場の管理者ルイーズ(保坂知寿さん)とコネチカットの田舎でショーを上演するホテル【ホリデイ・イン】をオープンする「Holiday Inn/Happy Holiday」、

リンダが美しい歌声を響かせるも、酔っ払ったテッドが乱入してリンダと踊りだしてしまう「Let’s Start The New Year Right」が披露されました。

「心豊かになれる作品」「幸せになって帰ってもらえたら」
開幕を前にした取材会には、演出のビル・ディーマーさんと、本作に出演する坂本昌行さん、増田貴久さん、柚希礼音さん、夢咲ねねさん、保坂知寿さんが登壇しました。

坂本さんは「所作やポーズが非常に難しい作品なので、優雅に流れるように踊りたい。お客様が心豊かになれる作品だと思っていますので、それをお届けしたい」と意気込みます。
振付・演出のビル・ディーマーさんとは『TOP HAT』振付に続いて二度目のタッグとなり、「ミュージカルはリアルでないといけないという考え方が僕と非常に似ています。そして『TOP HAT』では色々とアクシデントがあったにも関わらずスマートなケアをして頂き、心までリラックスして千秋楽の幕が降りたのを覚えていました。なので、今回やるにあたってワクワクが多くて、早くビルの頭の中を知りたいという思いでしたし、毎日1日の終わりが“あぁ、楽しかった”で終えられたことが自分でも印象的でした。今も早く幕が開かないかなと思っています」と笑顔で語りました。

本作はビル・ディーマーさんが新演出版として演出・振付を手がけており、「今日(こんにち)のミュージカルらしい作り方にこだわりました」と明かしたビルさん。「リアルなシチュエーションの、リアルな人々のお話だと思っています」と考えを語り、「この作品をきちっと魅せるためにはかなりハードルが高いですが、キャストの皆さんが素晴らしい卓越した才能のお持ちの方々で、とても嬉しく思っております」と話すと、いち早く増田さんが「ありがとうございます!」と答え場を和ませました。

「ただただ、楽しい作品なので、来てくださるお客様が幸せになって帰ってもらえたら」と語った増田さん。
先輩である坂本さんとの共演については、「『TOP HAT』をはじめ、坂本くんのミュージカルをたくさん観させてもらってきて、V6や坂本くんの後ろで踊らせてもらった機会も多いので、一緒のステージに立つのは不思議な気持ちだったんですけれど、坂本くんたちに教えてもらった後輩がこのくらい育っているんだと感じてもらえるよう、恩返しできるようにと頑張ってきました。でも稽古場では坂本くんはずっと鏡の前で練習されていますし、台詞も反復されていますし、何度か僕の方が先に帰ることもあって、バレないように帰ったりするくらい(笑)、全然追いつけない先輩だなと。努力もそうですし、裏での稽古場での居方も勉強させてもらいました」と思いを語ります。

これには坂本さんが「もう失敗できないじゃん」と言うと、増田さんは「完璧です!」と返され、「やめてくれよ」と照れながらも困る坂本さんでした。
「自分の近くにある幸せを感じていただけるような舞台をお届けできたら」と意気込みを語った柚希さん。クラシックなミュージカル作品でのダンスの独特な足の角度に苦戦したと振り返ります。
夢咲さんは宝塚歌劇団で共に過ごした柚希さんとの共演に、「退団されてからもかっこいい女性を演じているのを拝見することが多かったので、今回のように乙女な部分のある女性を演じるというのは、最初は稽古場で直視できなかったんですけれども、最近はこんな表情もされるんだ、可愛いなと思いながら見させていただいていました」とトップコンビでご活躍されたお二人ならではのエピソードを。

柚希さんも「最初は夢咲ねねの視線が気になりすぎて、どんな表情をしているのか稽古場の映像を拡大して見てしまうくらい意識していました(笑)。でもその時は下を向いていて、直視できていなかったみたいです」と明かしました。
保坂さんは稽古場について「アンサンブルのみんなはナンバーが多くて。もちろんお稽古をいっぱいしているのに、それに輪をかけて、みんなで自分たちをブラッシュアップしている姿をずっと見ていて、微笑ましい、嬉しくなる稽古場でした。清々しかったです」と語りました。
最後に坂本さんから「アーヴィング・バーリンの名曲と共に、スマートで優雅で楽しい作品です。我々も本当に愛している作品ですので、皆さんも劇場でご覧になってこの作品を愛してほしいと思います」とメッセージが贈られ、会見が締め括られました。

ミュージカル『ホリデイ・イン』は2025年4月1日(火)から16日(水)まで東急シアターオーブ、4月22日(火)から5月1日(木)までSkyシアターMBSにて上演が行われます。公式HPはこちら

松竹ブロードウェイシネマで『ホリデイ・イン』の公演映像を観て、なんて華やかで幸福感に包まれる作品なんだと心躍ったことを覚えています。日本初演ではどんな演出、ステージになっているのか楽しみです。増田さんは稽古に参加するのが遅れたため、皆さんが完璧にやられている中、「路頭に迷っている状態」になったこともあったそう。ただ坂本さんから「僕らは器をしっかり先に作っておこう、というビルのアイデアだったから」と明かされると、「助かりました」と感謝し、ご多忙だった増田さんに柚希さんからも「大変だったね」と労いの言葉がかけられました。