2025年夏、ミュージカル『ナイツ・テイル -騎士物語-』が、アリーナライブという新たな形で帰ってきます。騎士としての誇りと友情、そして愛を壮大に描き、2018年に帝国劇場で世界初演されて以来、演劇ファンに愛され続けてきた人気作です。

「舞台なのにアリーナライブ?」と感じた方もいるかもしれません。そこでこの記事では、『ナイツ・テイル』の過去公演を振り返りつつ、今回のアリーナライブでどう進化するのか、たっぷり解説したいと思います!

そもそも『ナイツ・テイル』はどんな物語?

ミュージカル『ナイツ・テイル -騎士物語-』は、ウィリアム・シェイクスピアの最後の作品として知られる戯曲『二人の貴公子』を原作にした舞台です。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクターであり、『レ・ミゼラブル』初演を演出した世界的演出家、ジョン・ケアードさんが脚本・演出を手掛け、2018年に帝国劇場(以下「帝劇」)で世界初演を果たしました。

敵国アテネに囚われたテーベの騎士、アーサイトとパラモンの2人は、牢の窓から美しい姫・エミーリアを見て、同時に恋に落ちてしまいます。深い友情で結ばれていた2人は、恋心と誇りの間で葛藤しながら、それぞれの想いを貫こうと決意するのでした。

騎士としての誇り、互いへの信頼、そして命をかけた恋。友情と愛が交錯する物語は、ユーモアと悲しみを交えながらダイナミックに展開していきます。

ジョン・ケアードさんは、数多くのシェイクスピア劇を演出してきましたが、『二人の貴公子』のミュージカル化は初でした。『ジェーン・エア』『ダディ・ロング・レッグズ』を共に手掛けた世界的に活躍する作曲家、ポール・ゴードンさんなど、日英米のスタッフとともに、全く新しいミュージカルを構想したのです。

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これまでの『ナイツ・テイル』公演を振り返る

初演(2018年)

アーサイトを演じたのは堂本光一さん。2000年に帝劇最年少座長として『MILLENNIUM SHOCK』に主演し、現在の『Endless SHOCK』を日本が誇るオリジナルミュージカルへ導きました。

そしてパラモン役は井上芳雄さん。同じく2000年に帝劇『エリザベート』ルドルフ役で鮮烈なデビューを飾り、瞬く間にミュージカル界のスターダムを駆け上がった俳優です。

「演劇の殿堂」である帝劇の主演俳優として実力を高め続け、2人はトップスターの座を獲得しました。アイドルと俳優、異なるジャンルに属しながらも、お互いを認めあい、友情を育んでいましたが、『ナイツ・テイル』でついにタッグが実現したのです。

シェイクスピアの世界観に深みを加え、音楽とともに描き出す「騎士たちの物語」は、観る者の心を強く揺さぶります。ほかにも音月桂さん、上白石萌音さん、島田歌穂さん、岸祐二さん、大澄賢也さんなど、最高のキャストが集結した初演は、劇場を熱狂に包み込み、演劇ファンからも大絶賛を集めました。

コンサートバージョン(2020年)

初演のメインキャスト7名がそのままに、2020年にはミュージカル『ナイツ・テイル』in シンフォニックコンサートが開催されました。

全ナンバーをリアレンジし、ファンにはたまらない新曲も登場。アーサイトがエミーリアへの愛を歌う『贈り物』、パラモン『悔やむ男』、そして全キャストによる『次は?』を披露し、観客を新たな形で名作の世界へと誘います。

新型コロナウイルス感染症に備えるため、入場者数は通常の半分になり、演出家はロンドンから、音楽監督はニューヨークからリモートで稽古に参加するなど、稽古場や舞台上も感染予防を徹底しました。3都市にまたがってクリエイターが力を合わせ、ナイツ・テイルの熱を再燃させた特別なバージョンです。

再演(2021年)

2021年、『ナイツ・テイル』は初演から3年ぶりに帝劇で再演されました。堂本光一さんと井上芳雄さんのダブル主演はそのままに、より深まった演技と緻密な演出で、作品にいっそうの厚みが加わりました。

コロナ禍での上演という困難な状況下ながらも、感染対策を徹底しつつ多くの観客を魅了。東京公演に加えて、梅田芸術劇場や博多座でも上演され、全国に『ナイツ・テイル』の完成形を届けました。多くのファンにとって記憶に残る公演になったことでしょう。

アリーナで体感する『ナイツ・テイル』

再演から4年の歳月が経ち、帝劇も再開発のために休館を迎えた2025年。『ナイツ・テイル』はこれまでの劇場空間を飛び出し、アリーナという大舞台で上演されます。これまで培ってきた舞台作品としての完成度はそのままに、音楽ライブのようなスケールと熱量で、ミュージカルを体感できる全く新しいスタイルです。

堂本さん、井上さん、音月さん、上白石さん、大澄さん、島田さんなど、お馴染みの豪華キャストに、新たに宮川浩さんが加わりました。宮川さんはアテネの大公・シーシアスを演じます。

最大の特徴は、アリーナならではの空間演出。東京ガーデンシアターは客席フロアを4層にすることでどの席からもステージが見やすい立体的な構成となっており、大空間ながらキャストの息遣いや迫力あるパフォーマンスを間近に感じられます。

舞台セットは生い茂る森をイメージして製作され、キャストは舞台からはけずに立ち続ける予定となっているため、観客とキャストが一体となって本作の世界観を体感できそうです。また、オーケストラによる生演奏が会場全体を包み込み、物語の感動をより立体的に伝えてくれることでしょう。

演奏はなんと、東京フィルハーモニー交響楽団のフルオーケストラ!初演から音楽監督を務めるブラッド・ハークさんが、自ら指揮棒を振ります。さらに堂本さんと『Endless SHOCK』をともにした石川直さんと日野一輝さん、4名の太鼓奏者、篠笛・能管、尺八、津軽三味線奏者が、新たに加わる予定です。

これまでの公演で培われた信頼と絆が、広大なアリーナでも変わらぬ熱量で物語を牽引します。音楽、照明、演出のすべてが進化し、アリーナという新しい舞台で再構築される『ナイツ・テイル』は、まさに一度きりの特別な体験となるでしょう。

森の中で演奏されるような荘厳な世界観で、ダンスとアクションも再現し、コンサートの枠を超えた、まさにARENA LIVEが実現します。かつてないスケールの『ナイツ・テイル』をお見逃しなく!

ミュージカル『ナイツ・テイル -騎士物語-』ARENA LIVEは、2025年8月2日(土)から10日(日)まで東京ガーデンシアターで上演予定です。詳しい情報は公式サイトをご覧ください。

さよ

大人気ミュージカルが、アリーナという新たなステージでどんな表情を見せてくれるのか、私自身もとても楽しみです。キャストの演技と生演奏の音楽が融合する空間は、まさに「体感するミュージカル」。気になる方は、ぜひ早めにチェックしてみてくださいね。