2023年にミュージカル化された『のだめカンタービレ』が、フルオーケストラによるシンフォニックコンサートとして帰ってきます。初演時のキャストとクリエイティブチームが再集結する注目のコンサートは、2025年9月に日本と台湾で上演される予定です。

大ヒットコミックはミュージカルでも話題に

写真提供:東宝演劇部

『のだめカンタービレ』は、二ノ宮知子先生によるクラシック音楽をテーマとした漫画です。音大のピアノ科に在籍する“のだめ”こと野田恵とその周囲を取り巻く人々が音楽を通じてつながり、成長していく姿をユーモアを交えながら描いて大ヒット。コミックのシリーズ累計発行部数は3900万部を超え、ドラマに映画、さらにアニメと多方面でメディアミックスが展開されました。

2023年10月には、ついにミュージカル界へ進出。テレビドラマと劇場版に続き、ミュージカルでも上野樹里さんがのだめ役を、そして竹中直人さんが世界的なドイツ人指揮者であるフランツ・フォン・シュトレーゼマン役を務めました。

写真提供:東宝演劇部

のだめと同じ音大に通う指揮者志望の千秋真一役には、俳優の三浦宏規さんがキャスティング。三浦さんは本作の千秋役を含めた演技が評価され、第49回菊田一夫演劇賞の演劇賞を獲得しています。

“のだめ”の世界がコンサートバージョンで帰ってくる!

それから2年の時を経て、2025年9月よりミュージカル『のだめカンタービレ』シンフォニックコンサート!が開幕します。

ミュージカル版のファンにとってうれしいことに、上野樹里さんと三浦宏規さん、竹中直人さんの配役は初演時と変わっていません。オーボエ奏者である黒木泰則役の竹内將人さんと音大の講師である江藤耕造役のなだぎ武さんも、同じ役での出演が決定しました。

また新たにティンパニー奏者の奥山真澄役として、俳優集団D-BOYSのメンバーで舞台やミュージカル、映像作品と幅広く活動する大久保祥太郎さんが出演します。

さらに今回、のだめや千秋の友人である峰龍太郎役とバイオリニストの三木清良役のキャストが日替わりで登場するところも注目ポイント。

峰龍太郎を演じる3人のうち、前回から続投するのは有澤樟太郎さんです。2025年はすでに『HERO THE MUSICAL』や『キンキーブーツ』に主演していて、目覚ましい活躍を見せています。残る2人は初参加となり、1人はミュージカル『刀剣乱舞』や演劇調異譚『xxxHOLiC -續-』など多彩な舞台に出演する松島勇之介さん。もう1人は、ミュージカル『GIRLFRIEND』で東宝ミュージカル初主演を果たし、2025年のミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』ではシャルル・アルトワ伯の演技が話題を呼んだ高橋健介さんです。

そして、新しい三木清良役の2人が舞台を華やかに盛り上げます。華優希さんは元宝塚歌劇団の花組トップ娘役を務め、2024年には舞台『千と千尋の神隠し』のリン役でロンドン公演に臨みました。歌手の清水美依紗さんは、2024年のミュージカル『レ・ミゼラブル』にてエポニーヌ役の好演が話題となるなど、ミュージカル俳優としても実力を発揮しています。

このほか、石津秀悟さん、稲葉廉さん、尾崎豪さん、小多桜子さん、柴野瞭さん、趙京來さん、露詰茉悠さん、友部柚里さん、松浪ゆのさん、栁沢明璃咲さんの名前が公式HP上に挙がっています。のだめをはじめ、個性豊かすぎるキャラクターたちと舞台で会えるのが楽しみになりますね。

楽しいコンサートの舞台を支えるスタッフも、ミュージカル版と同じです。

作詞・上演台本・演出を担当するのは、演出家の上田一豪さん。数々の話題作を手掛け、2024年にはミュージカル『この世界の片隅に』『HERO THE MUSICAL』における演出の成果に対して第50回菊田一夫演劇賞の演劇賞を受賞しました。

音楽は、ボーカル・ギターを務めていたTRICERATOPS(トライセラトップス)の活動休止後もソロで活動する和田唱さんが担当します。オリジナルの楽曲に加え、このコンサートのために書き下ろした新曲もあるそうなのでお楽しみに。

さらに、『のだめカンタービレ』の世界観を再現するのに欠かせないクラシック音楽監修には、音楽家の茂木大輔さんが続投します。茂木さんはNHK交響楽団で主席オーボエ奏者を務め、現在は指揮者として活動。原作漫画に取材協力していた縁から、自らの企画・指揮による「生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会」を全国各地で展開しています。

シンフォニックコンサートならではの魅力

今回の公演は東京と台湾の2か所で行われる、グローバルな一大イベントとなっています。東京公演の会場は、広大な空間に最先端の舞台機構と音響を備えた東京ガーデンシアターで、フルオーケストラによるコンサートにぴったりです。

演奏を担うのは、日本で最も古い歴史と伝統を誇る東京フィルハーモニー交響楽団。定期演奏会や自主公演を実施するだけでなく、『題名のない音楽会』『NHK紅白歌合戦』などの放送演奏にも携わることで、全国の音楽ファンに親しまれています。また、海外公演にも力を入れ、1911年の創立から100周年を迎えた2014年3月には記念事業としてアジア・欧米6か国を巡るワールド・ツアーを開催しました。

そんな日本屈指のオーケストラが、原作でも印象深いエピソードで使われていたクラシック音楽の名曲を生演奏。ベートーヴェンの「交響曲第7番」にガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」、ブラームスの「交響曲第1番」など、ファンにはたまらないレパートリーです。

さらに東京公演のみ、ウィーン在住のピアニストである石井琢磨さんがゲスト出演します。石井さんは国内外で演奏活動を行い、ドイツ・ベルリンのフィルハーモニーホールでベルリン交響楽団との共演も果たすなど、まるで『のだめカンタービレ』に登場していそうな経歴の持ち主。オーケストラはもちろん、ピアノの音からも耳が離せません。

ミュージカル『のだめカンタービレ』シンフォニックコンサート!は2025年9月6日(土)・7日(日)に台湾のTaipei Music Centerで海外公演を行った後、9月13日(土)から15日(月・祝)まで東京・東京ガーデンシアターで開催されます。詳細は公式HPをご確認ください。

もこ

『のだめカンタービレ』の原作も実写版も大好きな筆者。シンフォニックコンサートのメインビジュアルに書かれている「さあ、もっと楽しい音楽の時間デス!」というメッセージに、長く愛される作品の魅力が表れていると思います。