合掌造りの劇場や野外劇場といった趣向を凝らした数々の劇場に、稽古場などの施設が備わった富山県利賀芸術公園。“演劇の聖地”といわれるこの場所で、毎年開催される『SCOTサマー・シーズン』。今年はどんな作品が上演されるのでしょうか?
名作から次世代舞台芸術家による作品まで 注目作品をピックアップ!
SCOTが創設から50年目の節目を迎える今年は、従来より開催期間を1週間延長して開催されます。多くの作品が上演されますが、その中から4つをご紹介します。
『世界の果てからこんにちはⅠ・Ⅱ・Ⅲ』
鈴木忠志さんの代表作の一つである『世界の果てからこんにちは』。昨年、東京・吉祥寺シアターにて上演された最新作『世界の果てからこんにちはⅢ』が初めて利賀にて上演されると同時に、シリーズ作品であるⅠ、Ⅱも観ることができ、シリーズ全ての作品を観劇することができる初の機会となります。特に『世界の果てからこんにちはⅠ』は上演中に花火が打ち上がるという利賀でしかみることができない特別な作品です。
『世界の果てからこんにちはⅠ』
◾️会場 野外劇場
◾️日程 8月23日(土)30日(土) 19:30〜
9月6日(土)、13日(土) 19:00〜
『世界の果てからこんにちはⅡ』
◾️会場 利賀大山房
◾️日程 8月24日(日)、31日(日)、9月7日(日) 14:00〜
9月14日(日)13:00〜
『世界の果てからこんにちはⅢ』
◾️会場 利賀大山房
◾️日程 8月22日(金)、29日(金)、9月5日(金)、12日(金) 19:00〜
『ディオニュソス』
こちらも鈴木忠志さんの代表作の一つで、宗教と政治権力の衝突に巻き込まれる人々を描いた作品です。今回はアメリカの女優エレン・ローレンさんと中国の俳優テン・チョンさん、インドネシアの俳優ジャマルディン・ラティフさんとSCOTの俳優たちが共演する国際版として上演されます。
◾️会場 新利賀山房
◾️日程 8月23日(土)、24日(日) 16:00〜
9月6日(土)16:00〜、21:30〜
また、次世代の舞台芸術家による舞台作品からも紹介します。
『熊野』
三島由紀夫が執筆した『近代能楽集』。その中の一つ、花見をめぐる権力者と愛人の駆け引きを描いた『熊野』を、鳥取県鹿野町を拠点に活動をする「鳥の劇場」が上演します。岩舞台公演は4回目という「鳥の劇場」。この岩舞台という大自然を背景に、どんな作品を観ることができるのでしょうか。
◾️場所 岩舞台
◾️日程 8月22日(金)21:00〜、24日(日)19:30〜
『火の鳥 異形編』
現在上演中の『ある男』の脚本・演出や、12月に上演が決定しているダンス演劇『マイフレンドジキル』の上演台本・演出を手がけるなど、いま勢いのある舞台芸術家の一人である瀬戸山美咲さん。数年前から『SCOTサマー・シーズン』にて、近代の文学作品を中心に上演を続けてきました。今回は、手塚治虫さんのライフワーク『火の鳥』の『異形編』を浜野まどかさん、鍛治本大樹さんの2人とともに描きます。
◾️場所 利賀山房
◾️日程 9月5日(金)21:00〜、9月6日(土)14:00〜、9月7日(日)16:00〜
『SCOTサマー・シーズン2025』は、8月22日(金)〜9月14日(日)まで、富山・利賀芸術公演内の各劇場にて上演されます。上演作品や上演日等、詳しくは公式ホームページをご覧ください。

未だに行ったことがなく、いつか行ってみたいと思う演劇の聖地・利賀。そして、類を見ない野外劇、花火劇を観ることができるこのイベントは演劇な好きな私にとっては、一度は行ってみたい劇場であり演劇祭です。なかなか行くことができないですが、今年行かれる方はぜひ演劇にどっぷり浸かる夏を楽しいでいただきたいなぁと思います。