蓬莱竜太さんが作・演出を務め、吉高由里子さんが主演を務める舞台『シャイニングな女たち』。社会人として働く現在と、大学時代の過去とを行き来しながら、人間関係のもつれや SNS 時代に生きる光と闇を浮き彫りにする女性たちの群像劇となっています。12月7日(日)開幕前にプレスコールと会見が行われました。
雪の降る金沢で静かに始まる、女性たちの群像劇
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』プレスコールでは本作の冒頭約30分間のシーンが披露されました。フットサルコートが描かれた白い舞台上に舞う、白い雪。そこに佇む吉高由里子さん演じる金田海は、社会人として働く傍ら、ひょんなきっかけで、ホテルで行われている他人の「お別れの会」に参加することに。

石川弁で静かに柔らかに、しかしどこか孤独感を感じさせながら語る海の姿に、一気に惹き込まれます。「住民税の支払い、毎回引き落としにしようと思って忘れてコンビニに行く羽目になる」など、日常のあるあるがそっと差し込まれるのが蓬莱作品の魅力の1つ。

他人の「お別れの会」に参加するという一見突飛な設定も、彼女が語る「知らない誰かの死がいつもそこにあって」「自分だけの時間を過ごすようになっていた」様はどこか共感を呼びます。

海はある日、入り込んだ「お別れの会」で大学時代の仲間たちと遭遇します。遺影には後輩の白澤喜美(桜井日奈子さん)の姿が。なぜ海は呼ばれていないのか。
そこから海と中学時代からの親友・山形圭子(さとうほなみさん)の過去と、大学時代に女子フットサル部を作るシーンまでが披露されました。海と圭子の関係性は、女性が「いるいる!」と頷きたくなるような腐れ縁の2人組。微妙なバランスで成り立つ2人には、時が経つにつれ不穏さも感じられます。

海がなでしこジャパンの活躍に感動したという至って単純な理由で始まった女子フットサル部。先に待つ結末を予感しながらも、そこへ至るまでの道のりに惹き込まれていきました。

「戦う姿を見届けて」
開幕前会見には吉高由里子さん、さとうほなみさん、桜井日奈子さん、山口紗弥加さんが登壇しました。

「11月1日から稽古が始まって、こんなにあっという間な1ヶ月はなかったんじゃないかと思って。まだ初日が始まる実感がないんですけれど、始まったらもう今度は終わりに向かってスタートするのかと思うと、稽古場の思い出がフラッシュバックしながら冒頭のシーンをやっていました。みんなが欠けることなく、走りきれたら良いなという気持ちで毎日お祈りしています」と心境を語った吉高由里子さん。

さとうほなみさんは「稽古が始まった当初はまだ台本が40ページくらいしかなくて」と明かすとすかさず吉高さんが「それ言った方が良い!全然なかった!」とアピールし、会場が笑いに包まれます。さとうさんは「(台本の)全部が私たちによって形になった時、やはり蓬莱山の作品は本当に面白いなと実感しました。皆さんに楽しんでいただけたら」と語ります。

桜井日奈子さんは「やる気満々です!蓬莱さんの作品に出演できるのが本当に嬉しくて、念願だったのでこんな幸せなことはないなと思っていますし、本当に素敵な先輩方とご一緒できるのが本当に幸せ。いっぱい技を盗みたいなと思っています!」と気合十分。

山口紗弥加さんは「舞台が終わる頃、毎回号泣してしまうくらい、胸を打たれる作品なので、それをお客様にきちんとお届けしたい。フットサル部のお話で身体を酷使するので、怪我なく、チーム力を見せつけたいなと思います」と意気込みます。

吉高さんは演じる金田海役について「不幸の連鎖が始まるきっかけを作ってしまった役なのかなと。明るい話ではないですし、最後に苦しくなると思うのですが」と語ります。海の親友・山形圭子を演じるさとうさんは、「関係性がすれ違っていく様が面白いです。1人1人に抱えているものがあって、共感できるところがあると思う」とコメント。
桜井さん演じる白澤喜美は海と圭子の大学時代の後輩で、現代では亡くなってしまっている役柄。「海とはどうしても交わらない、水と油のような関係で、意図せずそうなってしまって行くことで不幸の連鎖に拍車をかけてしまいます」と複雑な関係性を語りながら、「白澤は漫画を描いていて、その描写が劇中にも出てきます。みんなぶっ飛んだキャラを演じているのでそこも注目して見ていただけたら」と見どころを明かしました。
山口さんが演じるのは、女子フットサル部の顧問・川越瑞希。「鬼コーチで人を攻撃してばかりで、もしかしたら不幸の連鎖を生み出す海を、作ってしまった人なのかも。彼女の中にも抱えているものがあって、傷ついている人なので、痛みというのをしっかり感じながら演じたい」と語りました。
最後に吉高さんから「女子7人男子1人で、力一杯精一杯やっています。誰かが転びそうになったら誰かが救い上げるような、チームワークもできていると思います。フットサルも頑張っていますので、私たちの戦う姿を見届けてください」とメッセージが送られ、会見が締め括られました。

パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』は2025年12月7日(日)から12月28日(日)までPARCO劇場、2026年1月9日(金)から1月13日(火)まで森ノ宮ピロティホール、1月16日(金)から1月18日(日)まで福岡市民ホール 中ホール、1月24日(土)から1月25日(日)までサントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)大ホール、1月29日(木)から1月30日(金)までNiterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールにて上演。公式HPはこちら
会見ではとっても和やかな皆さんでしたが、作品では複雑な人間関係が描かれるよう。吉高さんの静かに、しかし確かに台詞が染み込んでくるお声に一気に惹き込まれ、冒頭でシーンが終了したのがとても名残惜しく感じるプレスコールでした。


















