空気が澄み、街がイルミネーションで飾られる季節。温かい飲み物と心躍るミュージカル映画といっしょに、おうち時間を過ごすのも楽しいですよね。そこで今回は、クリスマスシーズンにぴったりのミュージカル映画を3本厳選してご紹介します。
『天使にラブソングを…』(1992)
天使にラブソングを|予告編|Disney+ (ディズニープラス)
クリスマスシーズンにぴったりなミュージカル映画といえば『天使にラブソングを…』は欠かせません。
ネバダ州リノのクラブ歌手、デロリス・ヴァン・カーティスが、殺人事件を目撃したことから「証人保護プログラム」を受け、サンフランシスコの修道院に身を隠すことになるという、型破りなコメディミュージカルです。
厳格な修道院長に監視され、デロリスはシスター・メアリー・クラレンスとして生活を始めますが、規律だらけの日々は彼女にとってまさに苦行でした。しかし、とあるきっかけで、シスターたちが歌う聖歌隊の指導を任されることになります。
デロリスは聖歌隊の音楽に、ソウル、ゴスペル、ロックンロールといった音楽のエッセンスを大胆に取り込み、シスターたちと友情を深めていきます。そして、修道院の歌声が街全体に活気と喜びをもたらすのでした。
この映画の魅力は、何といってもデロリスの個性的なキャラクターと、彼女によって生み出される変化です。最初は戸惑い、反発し合っていたデロリスとシスターたちが、音楽を通して心を通わせ、お互いを認め合い、ひとつの家族のようになっていく過程は、観る者に大きな感動を与えてくれます。
特に注目してほしいのが『I Will Follow Him』という楽曲です。冒頭にデロリスが、クライマックスでは聖歌隊が歌唱します。聖歌隊版では歌詞の「him(彼)」が、「主(キリスト)」を意味する「Him」に置き換えられました。魂を揺さぶるミュージカルナンバーになっていて、寒い冬を温かく、陽気に彩ってくれることでしょう。
『8人の女たち』(2002)
8 FEMMES – Extrait #1 – Toi jamais (Catherine Deneuve)
『8人の女たち』は、ミステリー、コメディ、ミュージカルが融合したフランス映画です。フランソワ・オゾン監督が、ロベール・トマの戯曲を映画化しました。1950年代、雪に閉ざされた大邸宅を舞台に、一家の主人が殺害された事件をめぐる、8人の女性たちの愛憎と真実を描き出します。
容疑者は屋敷に集まった8人の女たち。外部に助けを求めることもできない状況で、手がかりと証言を突き合わせながら、疑念と嫉妬、そして秘密を次々と暴いていくストーリーになっています。
カトリーヌ・ドヌーヴ、イザベル・ユペール、ファニー・アルダンなど、フランス映画界を代表する名優たちが一堂に会し、火花を散らすような演技合戦を繰り広げました。ベルリン国際映画祭(2002年)にて、8人全員に銀熊賞が授与されたことからも、その名演技ぶりが伝わってきます。
さらに、フランスの有名曲のカバーも見どころです。たとえば、妻ギャビー(カトリーヌ・ドヌーヴ)による『Toi jamais(あなたは決して)』は、「Homme(男性)」への愛を悲しげに表現しました。舞台のようなセットと演出、レトロでゴージャスな衣装も相まって、美しい密室劇に観客はぐんぐん引き込まれます。
ミュージカルとしてのエンターテイメントと、ミステリーとしての奥深さを見事にまとめあげた本作は、華やかなクリスマスのお供におすすめですよ。
『ジングル・ジャングル 〜魔法のクリスマスギフト〜』(2020)
不可能なことなんてない!『ジングル・ジャングル ~魔法のクリスマスギフト~』予告編 – Netflix
『ジングル・ジャングル 〜魔法のクリスマスギフト〜』はNetflixで配信されており、クリスマスの魔法と、失われた情熱の再生をテーマにした、心躍るオリジナル・ミュージカル映画です。
主人公ジェロニカス・ジャングルは、かつて天才的な発明で人々を笑顔にしていましたが、ある発明品を弟子グスタフソンに盗まれ、人生が暗転します。孤独と絶望の中、細々と質屋を続けていた彼ですが、孫娘ジャーニーによって時計の針が再び動き始めるのでした。
カラフルで精巧な映像美が、本作最大の特徴です。発明品の演出にCG技術が駆使されており、現代のミュージカル映画ならではの楽しさが詰まっていました。CGやVFX、前段階のプリビジュアライゼーションに一流スタジオを起用していて、業界からも高い評価を受けています。
また、楽曲とダンスもファンタジーの世界を盛り上げます。
わたしが特に好きなのは、ジャーニーが歌う『Square Root of Possible』です。「Watch me become who I’m suppose to be(わたしがなりたい自分になるのを見ていて)」「I don’t need a hero to come and safe me(わたしを守ってくれるヒーローは必要ないよ)」といった歌詞が、彼女の無限の可能性を表現しています。きっと思わずワクワクした気持ちで明日を始めたくなりますよ。
家族の愛、信じる心、そして夢を諦めないことの素晴らしさを教えてくれる、まさに「魔法のクリスマスギフト」のような映画で、家族と過ごす時間にもぴったりだと思います!
今年の冬は、デロリスたちの歌声に身体を揺らし、フレンチミステリーにハラハラし、クリスマスの魔法にかかってみませんか?



















