安部公房の名作『砂の女』を知っていますか?現代日本文学を代表する傑作で、まさに「日本のレジェンド小説」です。文学作品と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、実は一度読み始めると止まらない極上のサスペンスでもあります。そんな不朽の名作が2026年、舞台作品として蘇ります!

安部公房の名作小説『砂の女』はどんな作品?

舞台の原作は、1962年に発表され、20以上の言語に翻訳されている安部公房の小説『砂の女』です。彼の代表作であり、現代日本文学を代表する傑作の1つといわれています。その濃密な世界観に魅了された人は少なくありません。

主人公・仁木順平は休暇中、昆虫採集のために訪れた砂丘で、奇妙な村に迷い込みます。村の老人に勧められて泊まったのは、深い穴の底にある一軒家。そこには、家が砂に埋もれないよう、ひたすら砂を掻き続ける女が暮らしていました。

翌朝、男が地上に戻ろうとすると、外へ出るための縄梯子が消えています。それは村人たちの仕業でした。村を守るための「砂掻きの人手」として、男は騙され、閉じ込められてしまったのです。脱出を試みる男と、それを引き留める女。砂の中で繰り広げられる、奇妙な同居生活の行方はどうなってしまうのでしょうか?

『砂の女』の魅力は「極限状態での人間ドラマ」だと思います。逃げられない閉ざされた空間で、男と女の感情がぶつかり合い、やがて孤独や欲望といった人間の本質を露わにしていく。サスペンスとしての面白さと、心に深く刺さるメッセージ性が同居する、ぜひ一生に一度は触れておきたい名作です。

<あらすじ>
教師の男・仁木順平は夏に休暇を取り、昆虫採集のために海際の砂丘に赴いた。

そこには、一風変わった村があった。家々がまるで蟻地獄の巣のように、砂丘に深く掘られた穴の中に建っており、どれもこれも今にも砂に埋もれてしまいそうなのだ。変わった村もあるものだと思いながら、男は村の老人に勧められ、そのうちの一軒に泊まることに決めた。家の中では、断続的に降り注ぐ砂に家が埋まってしまわないよう、家主の女がひとりせっせと砂掻きに精を出していた。

翌日男が目を覚まし、地上に出ようとすると、外に出るためにかけられていた縄梯子が無い。不思議に思う彼だったが、なんとそれは村の人々の仕業だった。ひっきりなしに穴から砂を運び出さなければこの村は埋まってしまうため、村人たちは砂掻きの人手を求めており、男を騙して村に引き留めようとしていたのだ。

男は困惑するが、砂を掻かずに逆らうと水が配給されなくなってしまうため、女と砂を掻き出しながら奇妙な同居生活をせざるを得なくなる。なんとか砂の穴から脱出しようと、思いつく限りのあらゆる方法を試みる男だが……

「これからの演劇界を担う気鋭」山西竜矢と「天才」森田剛のタッグ

舞台版の特徴と言えるのが、脚本・演出の山西竜矢さんと主演・森田剛さんの強力タッグです。

山西竜矢さんは、演劇ユニット「ピンク・リバティ」を主宰し、映画監督としても活躍する気鋭のクリエイター。初監督映画『彼女来来』が、北米最大の日本映画祭「JAPAN CUTS」で新人部門最高賞を受賞するなど、映像と演劇の垣根を超えた活動で高く評価されています。どこか奇妙かつ不穏でありながら、美しく感情に訴えかけてくる世界観が特徴です。安部公房のシュールレアリスム(超現実的)な世界を、現代的な感性でどう舞台上に立ち上げるのか、期待が高まります。

森田剛さんは、故・蜷川幸雄さんにも認められる演技力で「天才」と評されています。近年も『FORTUNE』や『ロスメルスホルム』、『台風23号』など数々の話題作に出演し、その圧倒的な存在感と、役が憑依したかのような演技で観客を震わせてきました。極限の渇きと欲望をどう演じるのか、想像するだけで鳥肌が立ってしまいそうです。

また、男を閉じ込める「女」役を務めるのは、日本舞踊家としても活躍する藤間爽子さん。連続テレビ小説『ブギウギ』やテレビドラマ『silent』などでの演技も記憶に新しいことでしょう。しなやかな身体性と自然体な演技を活かし、砂とともに生きる感情をどう表現するのか必見ですね。

さらに大石将弘さん、東野良平さん、永島敬三さん、福田転球さんも、閉ざされた世界で生まれる緊張と濃密な空気をつくりあげます。 舞台『砂の女』は、2026年3月19日(木)から4月5日(日)まで、東京の紀伊國屋ホールにて上演。4月8日(水)に仙台公演(電力ホール)、4月11日(土)に青森公演(SG GROUPホールはちのへ<八戸市公会堂>)、4月18日(土)から4月20日(月)に大阪公演(森ノ宮ピロティホール)が行われます。公式HPはこちら

さよ

はじめて『砂の女』を読んだとき、自分まで砂の中へ引きずり込まれるような気持ちになったのを覚えています。それまで触れてきたどんな作品とも違う、今でも忘れられない記憶です。「そんな作品が舞台化されるなんて、いったいどうなってしまうんだ!?」と、うれしい怖さを感じています。ぜひみなさんも一緒に、舞台『砂の女』の深淵に引き込まれてみませんか?