新国立劇場主催公演史上初となる一人芝居『ガールズ&ボーイズ』が、2026年4月に上演されます。ミュージカル『マチルダ』の脚本を担当したデニス・ケリー氏が、現代社会の歪みを浮き彫りにした本作。真飛聖さん、増岡裕子さんのWキャストで日本初演を迎えます。

『マチルダ』の脚本デニス・ケリーが描く「わたし」の物語

2023年春に日本でも上演されたミュージカル『マチルダ』。ロアルド・ダールの児童文学『マチルダは小さな大天才』を原作に、英国のロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが製作し数多くの国際的な演劇賞を獲得した名作です。

この大ヒット作品の脚本家デニス・ケリー氏が執筆したのが『ガールズ&ボーイズ』です。

本作は2018年に誕生し、ロンドンのロイヤルコートシアターで初演を迎えました。その時の公演は高い評価を得て、ブロードウェイでも上演されています。

『ガールズ&ボーイズ』は、「わたし」という人物の愛や結婚、仕事、出会いと喪失を描いた作品です。

一見順調に見える「わたし」の人生から、現代社会の抱えるいびつさが浮き上がってくる『ガールズ&ボーイズ』。「わたし」の物語は、舞台の上から私たち観客に何を問いかけてくるのでしょうか。


【あらすじ】
人生、どうすればいいか分かんなくなった。
このままじゃだめだって思って。
だから、一人で旅に出たの。

そしたら、イタリアの空港で彼に出会った。まるで映画みたいに。
恋に落ちて、結婚して、二人の子どもも生まれて、仕事だって順調で……
すべてがうまく転がっていく気がしてた。

だけど、ほんのちょっとしたことで、少しずつズレ始めて。
気づいたときには――もう戻れない場所にいた。

これは、そんな「わたし」の話。

真飛聖、増岡裕子が挑むそれぞれの「わたし」

「わたし」を演じるのは、ミュージカルからストレートプレイ、そしてTVドラマなど数々の舞台で活躍する真飛聖さんです。元宝塚歌劇団の花組トップスターである真飛さんは、意外にも今回が初めての一人芝居出演となります。

そんな真飛さんとダブルキャストで「わたし」役を務めるのは、2025年9月より行われた公募オーディションで選出された増岡裕子さん。文学座所属の俳優で、数々の舞台はもちろんのこと、海外ドラマ・映画作品の吹き替えを多く担当されています。

世代もバックグラウンドも異なるおふたりですが、たったひとりで舞台を上演する大仕事に挑みます。それぞれの個性でどんな「わたし」を生み出すのか、必見です。

演出:稲葉賀恵×翻訳:小田島創志で描く物語

『ガールズ&ボーイズ』の繊細な劇世界を表現する、演出家と翻訳家の顔ぶれも魅力的です。

演出を務めるのは、2018年10月に新国立劇場小川絵梨子芸術監督第一シーズンで『誤解』(カミュ作)などを担当した稲葉賀恵さん。

鵜山仁さん、上村聡史さん、松本祐子さん、青木豪さんなど、多くの演出家の元で演出助手を務めた経歴を持ち、自身が演出した『加担者』(オフィスコットーネ)、『幽霊はここにいる』(PARCOプロデュース)で第30回読売演劇大賞優秀演出家賞(2023年)を受賞するなど、現在注目の演出家のひとりです。

繊細な心理描写と大胆な空間設計で観客を魅了し続けてきた稲葉さんの世界観は、『ガールズ&ボーイズ』の魅力をより輝かせてくれるのではないでしょうか。

そして翻訳を担当するのは、祖父に演劇評論家・翻訳家の小田島雄志さん、父に翻訳家で早稲田大学教授の小田島恒志さんを持つ、翻訳家の小田島創志さんです。

『ロミオとジュリエット』や『リチャード三世』など、シェイクスピア作品の新訳を次々と発表している小田島さん。出会いや決別、愛、結婚など、人生におけるリアルな言葉がたくさん登場しそうな本作ですが、小田島さんが紡ぎ出す日本語に期待が高まります。

新国立劇場2025/2026シーズン『ガールズ&ボーイズ』は、2026年4月9日(木)から26日(日)まで、新国立劇場小劇場にて上演されます。公式HPはこちら

糸崎 舞

「わたし」の語りから浮き上がってくる「現代社会の歪み」とは? 現代に生きる女性のひとりとして、非常に気になるテーマです。 真飛さんと増岡さん、そして演出の稲葉さんや翻訳の小田島さんがこの物語をどう表現するのか、注目しています。