劇作家セルヒオ・ブランコが、自身の体験と虚構を織り交ぜたオートフィクションの傑作『ナルキッソスの怒り』が、2026年4月に待望の日本初上演を迎えます。ロンドンで最優秀新作賞に輝いた本作は、スロベニアのホテルを舞台に、男が官能と謎の深淵へ誘われるミステリーです。演出・藤田俊太郎さんと主演・成河さんという最強のタッグが、観客を未知なる演劇体験へと引き込みます!

オートフィクションミステリーの名作『ナルキッソスの怒り』が日本初上演!

モンテビデオ(ウルグアイ)出身の劇作家、セルヒオ・ブランコによる戯曲『ナルキッソスの怒り』は、作家自身の人生をベースにフィクションを融合させた「オートフィクション」の名作です。2015年にモンテビデオでセルヒオ演出にて初演した後、南米をはじめ世界各国で上演され、2020年のロンドン公演は「オフ・ウエスト・エンド・シアター・アワード」の2021年度最優秀新作賞を受賞しました。

日本でセルヒオ・ブランコの名前を知っている方はあまり多くないかもしれません。実はパリ在住の新進気鋭の劇作家として注目されており、国民演劇賞(ウルグアイ)やフロレンシオ最優秀劇作家賞(ウルグアイ)などを受賞しています。戯曲は15カ国語以上に翻訳され、20カ国以上で上演されてきました。

日本では『ナルキッソスの怒り』『テーバスランド』が翻訳出版され、リアルと虚構が交差する独自の世界観で読者を魅了しています。さらに『テーバスランド』は2022年に神奈川芸術劇場(KAAT)で初上演され、2025年に『カサンドラ』が千本桜ホールで上演されました。

そんな彼の代表作『ナルキッソスの怒り』が、2026年に待望の日本初上演を果たします!作者自身が滞在したスロベニアの首都、リュブリャナのホテルで体験したことに基づくそうです。いったいどんな舞台が待ち受けているのでしょうか……?

<ストーリー>
劇作家であり、大学で教鞭も取るセルヒオ。彼は学会に出席するため、スロベニアの首都リュブリャナを訪れる。そこで、イゴールという美しい青年と知り合い、彼との情事に溺れていく。そして滞在するホテルの部屋、228号室で発見したのは部屋のあちこちに点在する数々の、染み。この2つの事象が、セルヒオを戦慄の真実へと導いてゆく…!

「日本の演劇として形にして行く作業は並大抵ではない」

本公演で一人芝居に挑むのは、ミュージカルからストレートプレイまで、その確かな演技力で劇場空間を魅了してきた成河(そんは)さんです。文化庁芸術祭演劇部門新人賞(2008年)、紀伊國屋演劇賞個人賞(2022年)、読売演劇大賞優秀男優賞(2011年・2025年)を受賞するなど、広く実力が認められています。

舞台『フリー・コミティッド』(2018年・2020年)やミュージカル『ライオン』(2024年)にて、難易度の高い一人芝居を演じきってきた成河さん。どのジャンル、どの作品にも熱い想いを抱きながら、どこか冷静な視点で役を分析し、軽やかに役を生きてみせる姿が、本当にかっこいいんです……!

『ナルキッソスの怒り』上演にあたり、成河さんはこのようなコメントを寄せています。

初めて戯曲を読んだ時は真剣に断ろうと思ったくらい「上演」そのものが困難に思えた作品でした。この作品が持つ「オートフィクション」という表現様式、それを日本の演劇として形にして行く作業は並大抵ではないと感じました。幸いひとり芝居ということで翻訳に深く関わらせていただける、その事に背中を押され、僅かな光と無謀な好奇心だけを頼りに引き受けました。

半年ほど演出の藤田さんや翻訳の仮屋さんたちと作業を続けてきて、いま、足を踏み入れたことの無い危険な場所を彷徨うような感覚に震えています。これは得難い演劇体験になるだろうと今からワクワクしています。ぜひネタバレ厳禁で。皆さまにもこの新しい感覚を楽しんでいただけたらと思います。

百戦錬磨に見える彼ですら「上演困難かも」と感じてしまう舞台。演出するのは藤田俊太郎さんです。常に言葉と対話を大切にし、キャストの強みや独自性を最大限に引き出す手腕が、緻密で怪奇な世界に観客を誘います。成河さんとともに、オートフィクションミステリーの世界をどう立ち上げるのでしょうか?

舞台『ナルキッソスの怒り』は2026年4月18日(土)から30日(木)まで、東京芸術劇場 シアターウエストにて上演されます。21日(火)と25日(土)には、成河さんと藤田俊太郎さんによる公演終了後アフタートークも開催予定です。公式サイトから詳しい情報をご確認ください。

さよ

数々の一人芝居を成功させてきた成河さんですら「上演困難」と身震いするほどの難作。だからこそ生まれる「危険な場所を彷徨うような感覚」への期待は高まるばかりです。緻密な演出を誇る藤田さんとともに、言葉の迷宮をどう構築するのか。衝撃の瞬間を、ぜひ劇場で目撃してください!