3月9日よりシアタークリエで開幕するミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。演出に日澤雄介さんを迎え、数奇な運命をたどる双子の物語を描きます。開幕を前に囲み会見と公開ゲネプロが行われました。

「鮮度がずっと失われずにいる」「痛々しさを描いた作品」

囲み会見には、小林亮太さん、渡邉蒼さん、山田健登さん、島太星さん、小向なるさん、東山義久さん、瀬奈じゅんさん、安蘭けいさんが登壇しました。

本作ではミッキー役を小林さん、エディ役を山田健登さんが務めるペアと、ミッキー役を渡邉さん、エディ役を島さんが務めるペアでの上演。演出の日澤雄介さんの「W キャストというより2本の作品を創っている」という想いに基づき、4人が親交を深めながら作品づくりが行われてきました。

小林亮太さんは「男子中学生のような、作品を作るためにも良い意味で遠慮なくいられる4人」と語り、渡邉蒼さんも「同年代の友情が描かれるから、本当に笑えたり、本当に嫉妬し合ったりすることが大切な戯曲だと思うので、そういうのが育めている気がします」と語ります。

山田健登さんはペアである小林さんに対して、「すごく信頼しています。(舞台は)何が起こるか分からないけれど、亮ちゃんとなら大丈夫だろうという感情がすごく芽生えています」と信頼を寄せます。

島太星さんは、「蒼くんと最近はキャッチボールをしたり遊んだり、すごく楽しい毎日を過ごしています。その空気感をお届けできるかと思います」と意気込みます。

ミッキーとエディの2人に想いを寄せられるリンダを演じる小向なるさんは、ミッキー役、エディ役の4名について「4人とも全然タイプが違っていて、それぞれ愛おしいなと思うところがあります。エディの2人は本当に全力だから、稽古場では天井が低かったので、思いきり手とか頭をぶつけて、でも全然、何事もなかったかのように芝居を続けたりする。そういうの見ていると、頑張っているな、愛おしいなって応援したくなるというか。ミッキーの2人は真面目で繊細なところがすごく印象に残っていて、稽古の前後に細かく確認をしている姿を見て、本当にこの作品を大切にしているんだなっていうのが伝わってきて。ぜひ両チームとも観ていただきたい」と語ります。

ナレーター役を務める東山義久さんは、「時には牛乳配達員、時には産婦人科医、時には高校の先生。果たしてその実態は天使か悪魔か。キャストに寄り添い、そしてお客さんと橋を繋ぐようなストーリーテラーといいますか、この舞台の紙芝居のおじさんみたいな存在です」と役柄を語ります。

ミセス・ライオンズを演じる瀬奈じゅんさんは息子役の4名について「最初の稽古の時は7歳を演じるのを恥ずかしがっているように見受けられて、私も7歳に思えるのかしらと思ったんですけれど、抱きしめたりする時に、普通に大人の男性なんですけど、でもかわいい子供のように思えるように急になって」と語ります。

ミセス・ジョンストンを演じる安蘭けいさんも「今は本当に息子みたいに思える。苦労したでしょう」と4人を労います。また初共演となる瀬奈じゅんさんに対しては「初共演とは思えないくらい、息が合っている気がする。失敗しても助けてくれそう」とコメント。

瀬奈さんは「最近はカンパニーの中で女性で一番歳上ということも多くて、なかなかアドバイスをいただけない状況にあったりするんですけれど、とうこさん(安蘭さん)は気づいたことを言ってくださるので、本当にありがたいことだなと。この歳になって共演できることが奇跡だと感じております」と語りました。

そして本作の魅力について小林さんは「台本をいただいた日から鮮度がずっと失われずにいる感覚。描かれているのは1910年代、リヴァプールの物語ですが、僕ら俳優がどこまで自分ごととして捉えて、実感を持って演じられるか、深め甲斐のある戯曲だと思います。今の時代に響く作品になるよう、日澤さんと全員で模索してきました。音楽が紡いでくれる部分も情感深くて、二度目三度目と観ることでの発見もある。悲劇ではありますけれど、凄く心を豊かにしてくれる作品」とコメント。

渡邉さんは「各年代で、痛々しさが描かれている。14歳の頃にはそんなに悩まなくても良いことを必死で悩んでいて、20代になると悩んでもどうしようもなくなってくる。一貫して痛みがありながらもどんどん変わっていくのが面白いし、演じる人、演出する人の国籍によって、価値観によって全然変わると思うんです。だから今回も間違いなく、シアタークリエだけの『ブラッド・ブラザーズ』ができていると思う」と語ります。

山田さんは「子どもの頃から大人になるまでを描いているので、どこかしら、どこかのキャラクターに、お客さんが共感できる部分がある。だから今まで続いてきたと思うし、これからも続いていくんだろうなと思う。双子の生き別れと言うと現実離れして見えますが、双子ではなく友達であればよくある話で、それぞれの人生の中で重なる部分がある」と語ります。

島さんは「主人公は誰なんだろうというくらい、1人1人にスポットライトがパンパン当たって、カンパニー全員が凄く輝いています。観ている皆様も、一つの目じゃ足りないと思うからたくさん観に来ていただきたいなと思える作品」と魅力を語りました。

小林亮太×山田健登 ゲネプロリポート

ここからはミッキー役を小林亮太さん、エディ役を山田健登さんが務めたゲネプロ回の様子をお届けします。

1幕では双子のマイケル(ミッキー)とエドワード(エディ)が離れ離れで育つことになった経緯と、2人が運命的に再会し<ブラッド・ブラザーズ(親友)>を誓い合う7歳の幼少時代が描かれます。

ミッキーとエディが互いの育つ環境の違いに面白さを感じ、親交を深めていく一方で、双子の一方を引き渡した秘密を抱える母親2人は不安を抱えます。特にエディを引き取ったミセス・ライオンズ(瀬奈じゅんさん)は、エディが再び奪われるのではないかという恐怖に取り憑かれていきます。裕福な家庭で、“持てる者”でありながら、彼女はいつも喪失感を抱えているのが印象的です。

一方、安蘭けいさん演じるミセス・ジョンストンは双子の運命を変える重大な決断をしながらも、そして貧しい生活の中でも、前向きに人生を歩み続けようとする明るさと、子どもたちへの愛情深さが溢れる母親に。ミセス・ジョンストンの愛情を確かにミッキーが感じているのが伺えます。

2幕では、ミッキーとエディの成長につれ、徐々に関係性に変化が訪れます。格差社会、不況によって職を失うミッキーと、大学生活を満喫するエディ。先に大人になってしまったミッキーは現実の厳しさ、惨さを知ると共に、幼少期のヤンチャで愛らしい輝きが失われていきます。

小林亮太さんはミッキーの変化を繊細に、切実に描きますが、どんなに成長しても、母やリンダ、エディへの愛情を根本に感じられます。

山田健登さんはエディの恵まれた環境にいたからこそ生まれるピュアさを嫌味なく描き出し、2人の対比を印象づけます。小林さん、山田さんともに安定した伸びやかな歌声が魅力で、本作の世界観に惹き込まれます。

ミッキーとエディの幼なじみで、ミッキーの妻となるリンダを演じる小向なるさんは、幼少期のヤンチャさと、ミッキーが非行に走らないよう引き留め続ける芯の強さが魅力です。

そしてナレーター役の東山義久さんが妖艶な雰囲気を持って、物語世界へと誘ってくれます。2人の母親に「過去は付いてくるぞ」と囁く、悪魔的一面も。

子どもの頃は、何もかもが“遊び”で、何度だってやり直すことができた。でも大人になると、何もかもがやり直せなくて、現実は続いていく。不況が続く今、“ただの物語だったら良いのに”という言葉が私たちに重なります。本当の豊かさとは何か。何を持てば、私たちは幸せになれるのか。双子と2人の母親の生き様が、問いかけてくるようです。

撮影:蓮見徹

ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』は3月9日(月)から4月2日(土)までシアタークリエ、4月10日(金)から4月12日(日)までサンケイホールブリーゼにて上演。公式HPはこちら

Yurika

1幕の何気ない遊びややり取りが2幕で皮肉的に効いてくるのがたまりません…!