3月14日(土)に東京芸術劇場プレイハウスで開幕する『るつぼ The Crucible』。アーサー・ミラーの代表作を、上村聡史さん演出、上村さんと2度目のタッグとなる坂本昌行さん主演で描きます。開幕に先立ちプレスコールと初日前会見が行われ、会見には坂本昌行さん、前田亜季さん、松崎祐介さん、瀧七海さんが登壇しました。
セイラムをのし歩いているのは「復讐心」だよ

プレスコールでは2幕から約20分間のシーンが披露されました。円形舞台の中、坂本昌行さん演じるジョン・プロクターと、妻エリザベス(前田亜季さん)の元にヘイル牧師(松崎祐介さん)が現れます。少女アビゲイル(瀧 七海さん)によって村人たちが次々に“魔女”として告発されていく中、ついにエリザベスが告訴され−。

信心深いヘイル牧師は魔女の存在を信じ、何がこの村で起こっているのかを解明しようと試みます。プロクターはこの村で渦巻いているのは「復讐心」だと指摘しますが、大きな流れを止めることはできません。

不可思議なことでも、それが続けば不安に襲われ、時に真実に見えてしまう。“フェイク”が溢れる現代に強いメッセージを投げかける作品です。プロクターとエリザベスはどんな結末を迎えるのでしょうか。

「台本に書かれている言葉」を信じて

「アーサー・ミラーの名作の一つである『るつぼ』をやらせていただくことが非常に嬉しい」と心境を語った坂本昌行さん。「どの作品でも稽古でもがいてもがいて、もがききった上で初日で開き直って演じるというのをやってきたんですけれども、今回は最初に台本をいただいた時の台本の厚さ、重み、そして内容を見た時に感じた深さ。その時と同じくらいの不安というか、心配というか、そういうものがあります。ですがあとは目の前にいらっしゃるお客様の空気を感じながら、この円形のステージで、届けられるものを全てお届けしていきたい」と意気込みます。
演出の上村聡史さんについて坂本さんは「上村さんが作る作品は人間の奥底の醜さや弱さを描いた作品が多いなと感じます。今作もそうなんですけれども、我々がなかなか理解できないところを上村さんが深く理解されていて、その言葉を聞くと我々も演じやすかったです。何よりも我々と同じ歩幅で一緒に考えて進めてくださるというのが今回もありがたく、日々の稽古で理解度が毎日毎日上がっていった印象がありました」とコメント。

エリザベス・プロクター役を演じる前田亜季さんは、「みんなで稽古でたくさんもがき苦しんで、葛藤したので今は本当に早く初日を迎えたいなとわくわくした気持ちでいっぱい。1953年にアーサー・ミラーが書いた作品ですが、今でも心に響く台詞がたくさんあります。言葉の持つ力の強い作品なので、言葉を大切に伝えていけたら」と語ります。
上村さん演出作品への出演は6作目となり、「上村さんがすごくご自身も楽しそうに現場にいらっしゃって、稽古場でも本当に豊かな時間が続くんです。役者の声だったり色々なことを聞いてくださいますし、柔軟に取り入れてくださるので、本当に稽古場が楽しかったです。そしてちょっとした時に挟むブラックユーモアな一言が好きです」と稽古場での様子を明かします。

ジョン・ヘイル牧師役の松崎祐介さんは「これまでコメディ作品が多かったので、個人的に初めてのチャレンジになっています。悲劇で、実際に起きた事柄を物語で体現するということは、新たな引き出しが1個増えるんじゃないかと思います。この新しい気持ちをお客様にそのまま届けられたら」と意気込み、「上村さんは怖い方だという情報を色々なところから仕入れていたので、いざ本読みの時にお会いしたらなんてまろやかな方なんだろうと思いました。でも演劇に愛された方ですから、稽古場に入ると目の色が変わるんです。180度、僕たちの見えないところまで見る、僕には持っていない脳を持っている方」と語ります。

アビゲイル・ウィリアムズ役の瀧七海さんは「出来事で言えば約300年前、初演から73年経った今、上村さんの演出のもとで皆様にどういう形で届くのかすごく楽しみ」と語り、「舞台作品に出演するのは今回で2度目で、一から作り上げていく瞬間を目の当たりにしたのは初めてでした。上村さんの0.何秒までこだわる、妥協を許さない向き合い方を見て、私も全力で向き合いたいと強く思いました」と語ります。
“これだけは信じられるもの”を問われると坂本さんは「台本に書かれている言葉」、前田さんは「一緒に走り抜けてくれるカンパニーや家族」、松崎さんは「エンターテイメントの力」、瀧さんは「積み上げてきた時間」と答えました。
また後輩である松崎さんの印象について坂本さんは「初めはヘイル牧師というより、松崎が一生懸命台詞を喋っているという感じだったんですが、日を追うごとにどんどん松崎がやるヘイル牧師になっていって、その様を見るのが嬉しくもあり、頼もしかったです」と高評価。この言葉に松崎さんは「これは大きい記事になりますね!ありがとうございます!」と笑顔に。
松崎さんは「坂本さんがプロクターと向き合っている背中を稽古で見ていて、かっけえっす。僕もこんな大人になりたい」と尊敬の想いが語られました。
最後に坂本さんから「17世紀行われた魔女裁判を題材に、集団心理の恐ろしさ、怖さ、そして人間の良心を描いた作品となっております。テーマ的には重い作品だと思うのですが、現代も通ずるところがあると思いますので、ぜひ劇場でお待ちしております」とメッセージが送られ、会見が締めくくられました。

『るつぼ The Crucible』は2026年3月14日(土)から3月29日(日)まで東京芸術劇場プレイハウス、4月3日(金)から4月5日(日)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、4月11日(土)から4月12日(日)まで穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにて上演されます。公式HPはこちら
時に現代では真の言葉が埋もれていくような感覚を味わうことがあります。真実や良心より、刺激的で思惑的な言葉が残ってしまう。その恐怖の中で観る『るつぼ The Crucible』には大きな意義が生まれると思います。上村さんがどのように劇世界を演出されるのか、役者の皆さんがどう演じられるのか、楽しみです。


















