今年、初めて『レ・ミゼラブル』を観に行く。ずっと気になっていて、今年こそは行きたいと思っている。そんな方も多いのではないでしょうか?私自身、今度『レ・ミゼラブル』をまだ一度も観たことがない方々をお連れすることになりました。「どこを観たらいい?」「予習はどのくらいしたらいい?」などの質問に答えるべく、“初めてのレミゼ”で観るべきポイントをまとめました!

ストーリーを軽く頭に入れておこう

ネタバレは嫌だ!という方はもちろん予習なしで良いと思うのですが、個人的には軽くストーリーを知っておくとより作品を楽しめると考えています。なぜなら、『レ・ミゼラブル』には重要な登場人物がたくさん登場するから。ここで、軽くストーリーをご紹介しますね。

本作の主人公は、貧しさゆえ1つのパンを盗んだ罪で19年間も投獄されていた男ジャン・バルジャン。仮出獄するも世間からの厳しい視線にまた盗みを働こうとしますが、司教との出会いが彼の人生を変えます。名前を変え市長となった彼が出会ったのは、娘コゼットを1人で育てるため働くファンテーヌ。彼女の死後コゼットを引き取り育てることを決意しますが、バルジャンを追いかける警官ジャベールや悪事を働くテナルディエ夫婦、そして若者たちの革命の波が2人の人生を翻弄していきます。

ファンテーヌ&エポニーヌ2人の切ない名曲に注目!

『レ・ミゼラブル』の魅力といえば、なんと言っても楽曲の素晴らしさ。各登場人物たちにそれぞれ見所となる楽曲があり、それぞれに感情移入してしまいます。ストーリー前半で亡くなってしまうファンテーヌですが、貧しく報われない人生を嘆く「夢やぶれて」は楽曲単体としても有名。『レ・ミゼラブル』は観たことがなくとも、この楽曲は聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

また、エポニーヌという少女がマリウスという青年に対する届かない恋心を歌う「オン・マイ・オウン」も人気の高い楽曲。恋心ゆえにマリウスの頼みを断れず、マリウスが一目惚れしたコゼットの居場所を突き止めるエポニーヌ。そのやるせなさを嘆きながらも力強く生きようとするこの楽曲は、ミュージカル俳優の登竜門とも言える楽曲でしょう。

貧しさや苦悩の中にある“明日への希望”

バルジャンの投獄生活から始まり、ファンテーヌの死、エポニーヌの片想い、若者たちの革命による死など暗いテーマが多い『レ・ミゼラブル』。その中で、悪どい宿屋を営むテナルディエ夫婦が歌う「宿屋の主人の歌」は観客の心に笑いと安堵の時間を与えてくれます。

また、貧しさの中で戦う登場人物たちが求めるのは、自由や希望に満ち溢れる「明日」。『レ・ミゼラブル』の原作者であるビクトル・ユゴーは、「この世に無知と貧困がある限り、この種の物語は、必要であろう」と述べています。

革命を志す若者たちが歌う「民衆の歌」は、コロナ禍にエンターテイメントを届けようと上山竜治さんが企画者となりミュージカルスターたちがリモートで披露したことでも知られています。香港の空港でも歌われるなど、世界中で希望や自由を求める象徴となっている楽曲です。

未曾有のウイルスに世界中が苦しむ今、私たちが進むべき「明日」はどこにあるのか。エンターテイメントの存続すら危うい今だからこそ、明日を生きていく力強さをもらえる作品ではないでしょうか。

写真提供/東宝演劇部
Yurika

『レ・ミゼラブル』は東京公演が7月まで、その後福岡・大阪・松本の全国ツアーが予定されています。日程によっては東京公演もまだ取れる場合がありますので、公式サイトをチェックしてみてくださいね。