ディズニー不朽の名作である『美女と野獣』。村娘ベルと醜い野獣に姿を変えられた王子が真実の愛の力で呪いを解く物語は、アニメ映画から始まり、舞台版ミュージカル、実写映画と形を変えて人々に愛され続けています。美しい音楽や豪華なキャスティングなどたくさんの魅力があるのですが、今回はアニメ・実写・舞台それぞれのベルと野獣の恋の過程にフォーカスしました。

【アニメ映画】互いを認めることで生まれた奇跡の恋

ディズニーがフランスの小説を元に制作した1991年公開のアニメ映画。アニメ史上初のアカデミー作品賞に選ばれ、幅広い世代に愛されるディズニー映画の金字塔です。

愛される理由の一つが、主人公のベルと野獣の恋が鮮明に描かれていて多くの共感を呼んだこと。父親思いの優しいベルと思いやりのないわがままな野獣はお互いに相いれない存在でしたが、野獣がオオカミに襲われたベルを助けたことで二人は次第に心を通わせます。

野獣は本が大好きなベルのために城の図書室を彼女にプレゼントし、ベルは身体の大きな野獣に合わせてスプーンを使わずにお皿からスープを飲みました。反発しながらも互いを認めることで、二人は見かけでは判断ができない相手の心の美しさを知っていきます。

【実写映画】野獣とベルに意外な共通点が

2017年公開の実写映画は、舞台が18世紀のフランスをベースにして作られ、アニメ版よりもリアリティのある世界を表現しています。ベルと野獣のそれぞれの生い立ちも明らかになり、アニメ映画のファンはより彼らを好きになったのではないでしょうか?

実写映画ではベルの大好きな本が二人の恋を育むきっかけとして活躍しました。ベルがシェイクスピアの小説の一部を暗唱すると、野獣がその続きを暗えるので彼女は思わず驚きます。実は野獣はお城の中で教養として読書を身につけていたのです。「本をたくさん読んでいる」という共通点が、二人の距離とグッと近づけます。

【舞台版ミュージカル】足りない部分を補い合って愛を育む

実写映画と対照的なのが、ブロードウェイから誕生した舞台版ミュージカル。『美女と野獣』はディズニーがシアターエンターテイメントに進出するきっかけとなった作品であり、日本国内では劇団四季がディズニーとタッグを組んだ第一号の作品です。

舞台版では、野獣は読み書きが十分にできないので本を読めないという設定になっています。アニメ映画でも実写映画でも印象的だった二人が本を読むシーンは、舞台版ではベルが野獣のために本を読み聞かせてあげるシーンとして描かれているのです。

野獣はベルのおかげで「本の世界は自分が誰なのかを忘れさせてくれる」ことに気づき、ベルはそんな野獣に対して「初めて自分と似ている人に出会った」と感じるようになるのでした。

さきこ

美しい町娘ベルと野獣に変身した王子のラブストーリーは遠いファンタジーのように思えますが、実は二人の恋は男女の心の結びつきによって芽生えたもの。そもそも、男性と女性は相いれない部分がある生き物同士。ベルと野獣が心を通わせる姿は、恋愛に悩む人の背中を押してくれます。 まるで恋に悩む男女の恋愛マニュアル。リアルな恋心を描いているからこそ、『美女と野獣』は時代を超えて愛される作品なのかもしれませんね。