舞台『スカーレットプリンセス』は歌舞伎の超大作「桜姫東文章」をルーマニアの鬼才と呼ばれる演出家シルヴィウ・プルカレーテさんが大胆に演出した作品です。2020年に予定されていた公演がコロナ禍で叶わず、今年、念願の日本上演となります!

歌舞伎の傑作が、ルーマニア・カブキ『スカーレット・プリンセス』として蘇る 

歌舞伎の大傑作にして問題作と言われている、四代目鶴屋南北『桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)』を、ルーマニア出身の演出家シルヴィウ・プルカレーテが大胆に翻案。スペクタクルに生まれ変わった作品が『スカーレット・プリンセス』です。

歌舞伎のエッセンスや原作のストーリーラインには忠実でありながらも、男女逆転の配役や奇想天外な仕掛けを取り入れるなど、超次元の“カブキ・メタモルフォーゼ”が誕生しました。

ルーマニア・カブキの誕生の裏には、2008年のシビウ演劇祭でのルーマニアと日本の演劇人の出会いがありました。故・十八代目中村勘三郎さん主演、串田和美さん演出による『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』がシビウ演劇祭で上演され、大喝采を浴びたのです。

そして、日本の歌舞伎をシェイクスピア戯曲や、ギリシア悲劇と同じように世界と共有したいという中村勘三郎さんと串田和美さん2人の思いに、演劇祭のディレクターとルーマニアを代表する演出家シルヴィウ・プルカレーテが賛同してプロジェクトが始動。

『スカーレット・プリンセス』は2018年シビウ国際演劇祭にて、工場跡地に花道や回り舞台をしつらえた特設劇場で衝撃のワールド・プレミアを果たしました。

演出のプルカレーテさんは日本演劇界ともかねてから親交を持ち、東京芸術劇場では、2017年の佐々木蔵之介さん主演の『リチャード三世』と2020年『真夏の夜の夢』の2作品を演出。今回は、本作『スカーレット・プリンセス』に続き、再び佐々木蔵之介さんと組んで11月に『守銭奴ザ・マネー・クレイジー』を上演することでも話題となっています。

タイトルロールのスカーレット・プリンセス/桜姫は、ラドゥ・スタンカ国立劇場のホープであるユスティニアン・トゥルクさんが演じます。桜姫の前世・白菊丸に重なるジェンダーを超越した妖美さに、目が奪われること間違いなし。そして物語の要となる悪の魅力に溢れた盗賊・釣鐘権助を、同劇場の看板女優であるオフェリア・ポピが演じます。

また、世界的に活躍するトップクリエーターも揃い踏み!音楽のヴァシル・シリーさん、美術のドラゴッシュ・ブハジャールさんというプルカレーテ組・最強チームが集結しての連続上演は必見です!

恋路を描く、歌舞伎史上最もスキャンダラスでドラマティックな物語


『スカーレットプリンセス』の物語は、若き僧侶・自久坊(後の清玄)が、稚児の白菊丸と心中を図るも、自分だけ生き残ってしまうことから始まります。時は流れ、高僧の清玄は、寺でどうやら白菊丸の生まれ変わりらしい桜姫と出会います。

一方桜姫は盗賊の釣鐘権助に闇夜の中で犯され、赤ん坊を産み落とすことに。桜姫はその男の釣鐘の刺青が忘れられません。それは権助への捩れた愛の面影でもありましたが、権助が家宝を盗んだために家は没落し、桜姫は遊女となり苦しい生活を送ることに。 破戒堕落の罪で寺から追い出された清玄と桜姫に悪党の権助が絡んで、さらなる残酷非道の運命が彼らを待ち受けます。

舞台『スカーレットプリンセス』は10月8日(土)~11日(火)(10日休演日)東京芸術劇場プレイハウスで上演されます。公式HPはこちら

ミワ

原作の歌舞伎『桜姫東文章』を知らなくとも大いに楽しめそうです!海外から逆輸入された日本の伝統芸能。新たな解釈や表現でどのように生まれ変わっているのでしょうか。