「Dramatic Dining」は、観客自身が会場内を歩き、様々な視点で各シーンを鑑賞するイマーシブシアターという形のパフォーマンスを行う集団。ダンスや空間演出を通じ、あらゆる「没入体験」をつくりだすクリエイティブチームです。
そんなDramatic Diningの新作公演『Dancingin theNightmare-ユメとウツツのハザマ-』を体験してきました。
作品について詳しくはこちら。(2022年11月27日・BnA_WALL)

アートホテル「BnA_WALL」を存分に生かした没入体験

今回舞台となるのは、日本橋にあるアートホテル「BnA_WALL」。

まずはホテル外で受付。上着と荷物を預かって頂けます。貴重品が入る小さなバッグを持っていって、大きな荷物は預けてしまうのがおすすめ。
案内される部屋によっては、とても冷房が効いていることもあるので、温度調節のできる動きやすい格好で行くのが好ましいと思いました。また、館内ではスリッパに履き替えるので、靴も脱ぎ履きしやすいものを履いていきましょう。

ホテル内に案内されると、注意事項の説明を受け、初めに入る部屋番号と物語のあらすじ・登場人物紹介の書かれた冊子が渡されます。

写真:Momoko Maruyama


「チェックイン」(公演開始)の時間まではホテルのラウンジエリアでくつろげます。
公演時間は120分。あらかじめお手洗いは済ませておきましょう。この時間に物語のあらすじと登場人物の関係性をチェックしておくと、作品がより楽しめると感じました。Dramatic Diningの公式SNSも要チェックです!

バーカウンターでは、公演コラボのオリジナルカクテルが2種類販売されているので、是非飲んでみて下さい。

「チェックイン」の時間になると、各々貰った冊子に書いてある番号の部屋に向かいます。友人や家族と一緒に参加していても、貰う部屋番号が異なるので、ここからは別行動に。

また、作品中、観客は私語厳禁となります。パフォーマーたちもバーテンダー役以外は話さずに、ダンスなどの身体表現のみ。

写真:Momoko Maruyama

部屋に入ると、物語の世界へと誘われます。キャストに「こっちへきて」とジェスチャーされたら別の場所へと移動し、観客は、次々繰り広げられるパフォーマンスを断片的に追っていきます。

写真:Momoko Maruyama

ホテルの部屋のイメージと役のキャラクターのイメージが合っているのも楽しいポイント。部屋の中だけでなく、廊下や螺旋階段など存分に使った演出がとても印象的でした。

写真:Momoko Maruyama

15パターンのルート!観客一人一人が自分の物語を作り上げるという魅力

演出(ルート)はなんと、15パターン!人によって違うシーンを観ているので、友人や家族で参加する方は、終演後にどんなシーンを観たか共有するとより理解が深まることでしょう。

私も友人と参加したのですが、たまに同じ部屋で遭遇することはあったものの、ほとんど別行動で過ごしました。

写真:Momoko Maruyama


私は「珊瑚の踊り子」と「乙姫」のシーンを多く観ましたが、友人は「ベルボーイ」と「バーテンダー」を多く観たんだそう。ほとんど遭遇しなかったキャラクターもいたので、リピートして何パターンも観たくなってしまいました!

写真:Momoko Maruyama

また、たまたま私は、「夢の世界へと入り込む」最初に案内された部屋と、「夢から醒める」最後に案内された部屋が同じだったため、作品タイトルにもある「ユメとウツツのハザマ」のような体験となりました。

断片的にシーンを観るという作りのため、多くが観客の解釈に委ねられていて、観客それぞれに物語が出来あがっていくというイマーシブシアターの魅力を体感しました。
作品の考察をするのが好きな方や、演劇はあまり観たことがないけれどダンスが好きな方、テーマパークが好きな方など、幅広く楽しめる作品だと感じました。

写真:Momoko Maruyama

イマーシブシアター『Dancingin theNightmare-ユメとウツツのハザマ-』は、アートホテル「BnA_WALL」にて次回12月3日(土)と12月4日(日)に上演です。1日に、13時・15時半・18時・20時半の4回公演となっています。現在は当日チケットの販売のみとなっていますので、ご注意ください。詳しくは公式サイトから。

ミワ

初めての体験に最初こそソワソワしていましたが、どんどん世界に入り込んでいき、新感覚の楽しい体験となりました。いつか日本版「Sleep No More」のような作品ができることを夢見ています。