Netflixでは、ティーンエイジャーが活躍するミュージカル映画『13:ザ・ ミュージカル』が配信されています。今年は日本国内でも子役メインのミュージカルが話題となっていますが、本作はティーンエイジャーが活躍するブロードウェイミュージカルの映画版。10代ならではの豊かな感受性を、大人顔負けのミュージカルシーンで表現する注目作品です。

13歳手前の少年がバル・ミツバーを迎えるまでの物語

主人公は、もうすぐユダヤ教の成人式「バル・ ミツバー」を迎える12歳の少年エヴァン。両親の離婚を機に、ニューヨークから母の実家があるインディアナ州に引っ越してきました。

母にも父にも心を開くことができず悩むエヴァンですが、近所に住む少女パトリスの案内で、新しい町での夏休みを堪能します。新学期、転校生となったエヴァンは友達をバル・ミツバーのパーティーに招待しようと奮闘することに。

Alan Markfield/Netflix

人気者グループに声をかけるも、その中にはブレットとケンドラ、ルーシーの複雑な三角関係がありました。エヴァンはパーティーを成功させるため、ケンドラとキスしたいブレットと、それに対抗しブレットとのキスを狙うルーシーの双方に協力してしまいます。

友人までも巻き込んでファーストキス作戦を試みるエヴァンに、パトリスは呆れ顔。果たしてエヴァンのバル・ミツバーは、無事に成功するのでしょうか?

Alan Markfield/Netflix

作品のタイトルにある「13」は、ユダヤ教において男の子が成人式を迎える年齢。13歳になった男子は、ユダヤ教会で聖書を朗読します。儀式に備えて「ラビ」と呼ばれるユダヤ教の指導者から正式な聖書の読み方を教わる様子が作中に登場し、ラビがエヴァンを応援する大人の一人として描かれているのが興味深いです。

儀式後のバル・ミツバーの披露宴は、まるで結婚式のように盛大に開かれるのだそう。家族と大勢の友達の前で大人になった姿を披露するパーティーなので、エヴァンが張り切るのも納得できます。

登場人物が全員ティーンのブロードウェイミュージカルを映画化

Alan Markfield/Netflix

『13:ザ・ ミュージカル』は、2008年にブロードウェイに進出したミュージカル『13』を映画化したものです。舞台版はキャストもバンドもすべてティーンエイジャーで構成された史上初のミュージカルで、今をときめく歌手のアリアナ・グランデと女優のエリザベス・ギリースが若かりし頃に共演したことでも知られています。

アメリカではスクール・プレイ(高校演劇)の人気作品となっている『13』。映画版はエヴァンの両親役にデブラ・メッシングとピーター・ハーマン、祖母役にリー・パールマン、ラビ役にジョシュ・ペックの実力派4名が大人の主要キャストとして脇を固め、ファミリーで楽しめる作品になっています。

脚本を執筆したのは、オリジナル版と同じくトニー賞受賞歴のあるロバート・ホーンとダン・エリッシュ。楽曲もオリジナル版の作詞・作曲を務めたジェイソン・ロバート・ブラウンが担当し、映画のオリジナルソングも3曲追加されています。

そして監督は、『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』のエピソード監督であるタムラ・ディヴィス。ブロードウェイミュージカルの映画化にふさわしい製作スタッフが勢揃いです。

世界中から集まったティーンエイジャーたちの圧倒的なパフォーマンス

本作に出演するのは世界中から集まった、歌って踊れるティーン・エイジャー。主人公エヴァン役のイーライ・ゴールデンをはじめ、中学生を演じる若い俳優たちの安定感のあるパフォーマンスに心が踊ります。

映画館でのファーストキス作戦を歌う「Bloodmaster」、ルーシーがチアを踊るアップテンポなナンバー「Opportunity」、それぞれが大切な恋人や友人に本音を伝え合う「Tell her」など、バラエティ豊かなミュージカルナンバーを見事に歌いこなすキャスト達を見れば、きっと舌を巻くことでしょう。次世代のスターになり得る子役たちがたくさん出演しているのも、見どころの一つです。

本作で描かれているのは、中学生の青春物語。子供の目線で描かれている友情や恋模様はどこか可愛らしく、等身大の10代のキャストたちによる演技は思春期ならではの甘酸っぱさを感じさせます。お気に入りのキャラクター、お気に入りのキャストを見つけながら鑑賞するのも楽しいです。若き才能から目が離せないミュージカル映画『13:ザ・ ミュージカル』は、Netflixで配信中です。

さきこ

筆者お気に入りのキャラクターは、ブラットとケンドラの恋路を邪魔するルーシー。ちょっぴり意地悪ですが、どこか憎めない性格とキャストのフランキー・ マクネリスのプロ級の歌声に痺れました!