19世紀フランスを代表する作家、アレクサンドル・デュマ。彼の代表作である『三銃士』は、世界各国でミュージカル化されてきた人気作品です。そんな本作が2024年、日本で上演されることになりました。この記事では、あらすじやキャスティングについてご紹介します。

不朽の名作が新しいミュージカルへと生まれ変わる

アレクサンドル・デュマの『三銃士』は、スリリングなストーリー性が世界中で愛されてきた名作です。本作は、2004年にチェコでミュージカル化された後、2009年に韓国で脚本や楽曲を大幅にリニューアルしました。

ここで、意外と知らない方が多いかもしれない『三銃士』のあらすじをご紹介します。

舞台は17世紀のフランス。 国王ルイ13世を守る近衛銃士隊と、政治の実権を握るリシュリュー枢機卿直属の親衛隊との間で争いが絶えず、アトスは、国王を守る銃士の一人としてその渦中にいました。

 亡き父と同じ銃士になることを夢見て、田舎町からパリへと出てきたダルタニャンは、三銃士を率いるアトスに続き、アラミス、ポルトスと次々に出会います。そして、ガキとからかわれたことに腹を立て、それぞれに決闘を申し込むことに。その騒ぎの中、目の前に美しいコンスタンスが現れ、ダルタニャンは一目で恋に落ちます。

いざ決闘の時、リシュリュー卿の親衛隊長ジュサックが法律違反を名目に、4人を逮捕しにやってきます。三銃士とダルタニャンは親衛隊相手に共に戦い、見事に勝利し、コンスタンスの宿屋で祝杯をあげます。仲も深まる中、アトスはダルタニャンの父が自分の師であることに気づくのでした。

しかし、宴の最中、突然コンスタンスが何者かにさらわれてしまいます。さらったのは国王と対立するリシュリュー卿の腹心となり暗躍するミレディ。かつて恋人であったアトスは複雑な心境でいました。

 一方、国王が行方不明になったことが発覚。リシュリュー卿が、国家を揺るがす陰謀を企てていたのです。果たして、アトスとミレディの行く末は?ダルタニャンと三銃士はコンスタンスと国王を連れ戻すことができるのでしょうか。

『三銃士』お馴染み、ダルタニャンの成長と恋の物語だけでなく、アトスにも焦点を当てることで、かつての恋人との間で揺れる愛憎や、ダルタニャンの亡き父を通じたアトスとダルタニャンの絆を描き出します。 冒険活劇の魅力はそのままに、心理描写に深みが加わった新しいミュージカルになることでしょう。

演出は、『THE BOY FROM OZ』や日本版『ロックオペラ モーツァルト』で知られるフィリップ・マッキンリーさんが手がけます。

坂本昌行×末澤誠也 時代を超えて息づく人間ドラマに挑戦する

本作では、三銃士のリーダー格であるアトス役に坂本昌行さん、銃士を夢見るダルタニャン役にはAぇ! groupの末澤誠也さんがキャスティングされています。坂本さんと末澤さんはともに、『THE BOY FROM OZ』でフィリップ・マッキンリー作品に参加しており、息の合ったコラボレーションが期待できます。

またコンスタンス役に屋比久知奈さん、アラミス役に上口耕平さん、ポルトス役に原田優一さん、ジュサック役に上山竜治さん、ミレディ役にシルビア・グラブさん、リシュリュー役に今井清隆さんと超実力派が集結しました。

私が個人的に注目しているのは末澤さん。2024年5月にAぇ! groupとしてデビューした末澤さんは、リーディングシアター『キオスク』やドラマ『彼女と彼氏の明るい未来』での高い演技力が評価されている、今注目の俳優のお1人です。末澤さん版ダルタニャンがどのような冒険を繰り広げるのか、今からとても楽しみです。

「正義のために」を伝える不変の冒険物語

最後に、フィリップ・マッキンリーさんと坂本昌行さんのコメントをご紹介したいと思います。

フィリップ・マッキンリーさんは「今回『三銃士』の演出家としてまた来日することができ、大変光栄です。作品に対する私のクリエイティブなビジョンを、情熱を持って受け入れそして支えてくださる製作陣に恵まれたことは、本当に幸運です。
愛、名誉、そして「正義のために」を伝える不変の冒険物語に私は深く共鳴しており、この作品を素晴らしいキャスト、クリエイター、スタッフ達と作れる機会は格別です。
私が思い描く『三銃士』をお届けするために、日本はいつもクリエイティブな情熱とコラボレーションに敬意を表してくれ、理想的な環境を与えてくれています。
この冒険物語をお楽しみください!」とコメントを寄せています。

また、アトス役を演じる坂本昌行さんは、次のように述べています。

「日本で何度も上演されている名作『三銃士』に参加出来る事を心から嬉しく思います。
また『THE BOY FROM OZ』でお世話になった演出家のフィリップさんを始め、今井さん・シルビアさん・末澤君など共演した事のある方々で、お互いに刺激し合いながら楽しい稽古になると思いますし、新たな『三銃士』を創りあげていきたいと思います。
それを大好きな日生劇場で公演出来る事も喜びの一つです。
さて、どんな作品に仕上がるのか今から僕自身も非常に楽しみです。」

アトスとダルタニャンを軸に、成長と愛、冒険と絆がどう描かれるのか。その答えは、ぜひ劇場でお確かめください!

ミュージカル『三銃士』は、9月8日(日)〜28日(土)に日生劇場で上演されます。また、10月4日(金)〜6日(日)は広島文化学園HBGホール、10月18日(金)〜27日(日)にはSkyシアターMBSにて、地方公演が実施されます。詳しい情報は公式サイトをご覧ください。

さよ

古典が原作のミュージカルと聞くと何だか敷居が高く感じますが、ミュージカル『三銃士』はあらすじを読むだけでワクワクしてきますね。フィリップ・マッキンリーさんとキャストの方々が生み出す新しい冒険物語に、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。