9月8日から日生劇場にて開幕のミュージカル『三銃士』。坂本昌行さん、末澤誠也さん(Aぇ! group)、屋比久知奈さん、上口耕平さん、原田優一さん、上山竜治さん、シルビア・グラブさん、今井清隆さんと豪華キャストが集結し、世界で愛され続ける冒険物語を描きます。本作のゲネプロ・囲み取材リポートをお届けします。
殺陣をしながら歌、アクロバットも?!
アレクサンドル・デュマの代表作「三銃士」を原作にしたミュージカル『三銃士』。2004年にチェコで初演されたのち、2009年に韓国で脚本や楽曲を大幅リニューアルし、再演が繰り返されている人気作です。今回は演出を『THE BOY FROM OZ』のフィリップ・マッキンリーさんが手がけ、スペクタルな冒険活劇はそのままに、三銃士のリーダー格アトスに焦点を当て、登場人物たちの心理描写に深みを与えてリニューアルされています。
出演は、三銃士のリーダー格、アトス役に坂本昌行さん、銃士になることを夢見てパリへ出てきた青年ダルタニャン役に末澤誠也さん(Aぇ! group)、ダルタニャンと恋に落ちる娘コンスタンス役に屋比久知奈さん。
三銃士の一人で仲間思いのアラミス役に上口耕平さん、同じく三銃士の一人で元海賊のポルトス役に原田優一さん、銃士隊と敵対する枢機卿の親衛隊長ジュサック役に上山竜治さん、枢機卿の腹心として暗躍するミレディ役にシルビア・グラブさん、そして国王を追い出しフランスの全権を掌握しようと企てる枢機卿リシュリュー役に今井清隆さん。
盤石な豪華布陣で、殺陣・アクション満載の冒険スペクタクルが繰り広げられます。本作では本稽古の前に殺陣やフェンシングの基礎を学ぶ2週間の稽古が行われたそう。囲み取材では、坂本昌行さんが「殺陣をしながら歌う場面もあって。殺陣はダンスと違ってカウントではなく、合わせ方によってタイミングが前後してしまうので、息を合わせるのが大変でした。稽古の前に殺陣の合わせ稽古があって、今日もやりました」と明かしました。
演出のフィリップ・マッキンリーさんは、殺陣について「殺陣の最中に歌うだけでなく、アクロバットも盛り込まれています。殺陣・アクションを担当してくれた渥美博さんはとても素晴らしくて、ブロードウェイであろうと、ロサンゼルスであろうと、テレビ業界であろうと、アメリカどこに行っても成功を成し遂げるであろうと思います。彼なしにはこの成功を導くことはできませんでした」と絶賛。
坂本さんはジュニア時代に渥美さんの指導を受けていたそうで、「30年ぶりくらいに殺陣をつけて頂いて、当時が蘇りましたし、殺陣というのは一瞬一瞬に物語があるのでやっていて楽しくて、ただのチャンバラではない、本当の戦いなのだなというのを感じてやっています」としみじみと語りました。
ポルトス役の原田優一さんは元海賊の剛腕な男というキャラクター性を表すために、あまり痩せないようにという指示があったそうですが、殺陣を始めとする運動量の多い稽古で痩せてしまったそう。「演出のフィリップさんから個人的にエクレアの差し入れを頂きまして、餌付けされてキープできている状態です(笑)」と話し、会場を沸かせます。
また坂本さんと末澤誠也さんは『THE BOY FROM OZ』以来の共演。末澤さんの成長したところは?とリポーターから問われると、坂本さんは末澤さんの背丈を見やり、「そんなに変わってないですよ?」と一言。これには末澤さんも「身長は変わってないです!違うでしょ、もっと中身のことでしょ」と素早くツッコみ、坂本さんは「このツッコミの素早さが彼の成長です!」と笑顔に。
抜群のコンビネーションを見せつつも、「彼の性格なんでしょうけれど、凄く真面目で負けず嫌いというところがあるので、難しい役ほど頑張ってそれを乗り越えようとするし、成長が著しいと僕は感じました」と愛のある先輩の言葉をくれた坂本さんでした。
正義は必ず生きている
17世紀、フランス。政治の実権を握るリシュリュー枢機卿は国王ルイ13世の座を狙っており、国王に仕える近衛銃士隊と、リシュリュー枢機卿直属の親衛隊は争い合っていました。
そんな中、田舎町からパリへとやってきたダルタニャン。亡き父と同じ銃士になることを夢見てやってきた彼は、無謀にも三銃士のアトス、アラミス、ポルトスに次々と決闘を申し込みます。ダルタニャンを演じる末澤さんは銃士に憧れる純粋無垢さが印象的な、愛らしいキャラクター。歌声には安定感があり、澄み切った歌声を響かせます。
街の人々との騒ぎの中、倒れてしまったダルタニャンを美しいコンスタンスが助け出し、2人は一目で恋に落ちます。コンスタンス演じる屋比久知奈さんは、ダルタニャンが天使だ!とすぐに惹かれていく姿も頷ける、愛らしさと歌声で、本作の癒しの存在となってくれます。
いざ決闘の時、リシュリュー卿の親衛隊長ジュサックが彼らを逮捕しようとやってきたことをきっかけに、三銃士とダルタニャンは力を合わせます。ジュサックと親衛隊に打ち勝った彼らは祝杯を挙げますが、コンスタンスは、彼女が匿っていた謎の仮面をつけた男と共に連れ去られてしまいます。
2人を連れ去ったのは、リシュリュー卿の手下であるミレディ。彼女はかつてアトスと恋人関係にあり、アトスは複雑な面持ちです。
一方、三銃士は狩りに出かけたまま戻らない国王の身を案じます。リシュリュー卿は、国王を拉致し、国家を揺るがす陰謀を企てているのでした…。
本作の見どころは、なんといっても圧巻の殺陣のシーンの数々。躍動感あふれる殺陣と、耳に残るキャッチーな歌が混ざり合った本作は、独特の面白さを生み出しています。情緒あふれるシーンの数々、スピーディな場面展開、華やかな衣装とメイク…韓国で大幅リニューアルされた本作ならではの要素も盛りだくさんです。
三銃士は近衛銃士隊の中でもトップの腕を誇り、正義感溢れるかっこよさはありながらも、原田優一さんを筆頭にコミカルな掛け合いも多々あり、絆の深さを感じさせる3人のハーモニーも必聴。上口耕平さん演じる色男のアラミスは戦いの最中でも優雅な手捌きで、リーダー格のアトスを演じる坂本昌行さんは流石のカリスマ性でチームを率います。
彼らと対立するリシュリュー卿を演じる今井清隆さんは、圧巻の存在感で悪役のボスとして君臨。ジュサック演じる上山竜治さんは常に戦い続けなければいけず、ハードなシーンが続きますが、軽やかに、楽しげに悪役を演じていきます。
そしてシルビア・グラブさんは、賢く強い、かっこいい悪役女性であるミレディを熱演。彼女の壮絶な過去と心情がしっかりと掘り下げられており、ミレディは多くの人を惹きつけるキャラクターとなることでしょう。
どんな世の中でも、「正義は生きている」。彼らの中にある信念は、時代を超えて私たちの心を響かせます。
ミュージカル『三銃士』は9月8日(日)から28日(土)まで日生劇場にて上演。10月4日(金)から6日まで広島文化学園HBGホール、10月18日(金)から27日(日)までSkyシアターM B Sにて上演されます。公式HPはこちら
「グループでリーダーという立場をやっていましたが実情は違いまして、ニックネームという形でやっておりましたが(笑)、今回は舞台上、役としてリーダーをやらせて頂いております」とお茶目に挨拶された坂本さん。三銃士とダルタニャンを率いるリーダーとして、カリスマ的な存在感を放っていました。