イギリスの劇作家サイモン・スティーヴンスが書いた2作品を、同じ演出家・出演者による同時上演が決定しました。演出を担当するのは、桐山知也さん。珍しい上演プランとなる今作、どんな作品となるのでしょうか。
社会性の強い衝撃作2作品を上演
イギリスの劇作家サイモン・スティーヴンスの作品の中でも社会性が強く、欧米の演劇界に鮮烈な衝撃を与えた『ポルノグラフィ』『レイジ』。
都市で生きる人々の生活や人間関係を『ポルノグラフィ』では2005年にロンドンで発生した地下鉄・バス連続爆破事件を通じて、『レイジ』では2015年から16年に移り変わる大みそかの模様を捉えたジョエル・グッドマンの写真から、それぞれ構想を経て、描かれた作品です。
特に『ポルノグラフィ』の題材となっているロンドン同時爆破事件は、当時大きく報道されていたこともあり記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。都市を生きる人々に起きる1つの出来事を通して、現代社会で浮き彫りとなってくるさまざまな事柄を描いた両作品となっています。
今回演出を手がけるのは桐山知也さん。本作でシアタートラムでの初演出を果たします。演出助手として白井晃さん、野村萬斎さん、蜷川幸雄さん、サイモン・マクバーニーさんといった演出家の元で演出助手などを務めたのち、演出家として古典劇から新作まで幅広い戯曲を取り上げ、演出を手がけるなど活動の幅を広げています。2021年にKAAT神奈川芸術劇場でリーディング公演として『ポルノグラフィ』を上演し好評を得た桐山さん。今回は世田谷パブリックシアターの主催公演として、『ポルノグラフィ』『レイジ』の2作同時上演に挑みます。
11人の実力派キャストが挑むダブルヒル上演
今回の挑戦的な試みに、11人の実力派キャストが集結しました。
数々の舞台において、存在感のある演技で印象を残す亀田佳明さん。映画・ドラマ・舞台と多くの作品で活躍する竹下景子さん。近年、話題作に多く出演し好演が光る土井ケイトさん。映像作品はもちろん、近年は舞台にも精力的に出演している岡本玲さん。デビュー以降、快進撃が止まらないsaraさん。他にも田中亨さん、古谷陸さん、加茂智里さん、森永友基さん、斉藤淳さん、吉見一豊さんと今の舞台には欠かせない実力のある俳優陣がそろいました。
今回、2作品連続で上演するにあたり亀田佳明さんは、「2作品連続上演として執筆された脚本ではないのに、並べてみると不思議な繋がりを感じます。 語られる言葉は、市井に生きる人々の日常でありながらも詩的な暗喩も入り混じり世界が広がっていくようです」とコメントされています。
また竹下景子さんは、「桐山知也 meets Simon Stephens。しかもダブルビル!これだけで身体が震えます。歪な脆い今の(もしかして、もう壊れてる?)社会を切り取った演劇。亀田佳明さんをはじめ共演の皆様とも初めての出会いです。新しい扉の向こうに何が待ち受けているのか。(大谷翔平さんじゃないけど)ヒリヒリする来春です。どうぞよろしくお願いします」とコメントされており、この舞台出演、そして初共演のみなさんとの出会いををとても楽しみにされてることがうかがえます。
『ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE』は、2月15日(土)〜3月2日(日)まで東京・シアタートラムにて上演されます。一部公演日では、演出の桐山さんや出演者、世田谷パブリックシアターの芸術監督の白井晃さんによりポストトークも予定されています。詳しくはホームページをご覧ください。
ポスターに描かれている黄色の線がとても印象的だなぁと思いました。二つの作品ともに“境界線”という言葉がキーとなってるのではないかと想像します。なぜこの2つの作品を並べて上演するに至ったのか、そして2作品並べることで見る側はどんなことを得ることができるのかがとても楽しみです。