2025年3月20日(木・祝)より全国公開中の映画『白雪姫』。プレミアム吹替版で女王役を務めているのは、元宝塚歌劇団月組トップスターで、2024年7月に卒業したばかりの月城かなとさんです。夢だったというディズニー作品に挑んだ心境、女王役に込めた想いを伺いました。
ディズニー作品の一員に加われた喜びが大きかった

−映画『白雪姫』プレミアム吹替版への出演が決まった時の心境はいかがでしたか。
「ディズニー作品にいつか挑戦できたら幸せだなとずっと思っていたので、それが叶ったということ、そして自分が小さい頃から見てきた『白雪姫』という作品に参加できることに凄く幸せを感じました。女王役を演じられたガル・ガドットさんも凄く好きな女優さんでしたし、ディズニー作品の一員に加われた喜びが大きかったです」

−ご自身にとって、ディズニー作品はどんな存在でしたか。
「子供の頃から家にビデオがあって、そこで観たものは大人になっても消えないものだと思うんです。だからこそ今でもディズニーランドに行ったりして楽しめるのだと思いますし、子どもから大人まで楽しめるというのが一番の魅力だと思います。お仕事をさせて頂く立場としては、もしかしたら小さい子が喜んでくれるかもしれないし、小さい頃にこの『白雪姫』を観て大人になっても覚えていてくれるかもしれないと思うと、とても夢のあるお仕事だなと思います。私と同じように小さい頃にディズニー、『白雪姫』を観た方も、大人になってもう一度観ると凄く色々な発見があると思います」
−映画では新たに描かれた部分もあるかと思います。本作の魅力はどういったところに感じられますか。
「私個人としては、アニメーションの時は恐ろしい存在だった女王の弱さや、悪になりきる前の心情の揺れ動きを描いているように感じたので、ヴィラン好きの方にとっても胸熱な映画になっていると思いますし、私もこの映画を観てより女王を好きになりました。女王の人間らしさに触れて、少し切なくもなりました」
−『白雪姫』の女王は、ディズニー・ヴィランズの中でも人気の高いキャラクターだと思います。なぜ彼女が愛されていると思われますか。
「自分が美しくあることに固執しているキャラクターですが、そのポリシーを貫いているのがかっこいいと私は思います。美しさを手に入れるためなら老婆にも変身するほど、どのヴィランズより美しさに固執していているところが、演じた身からすると憎めないんです。彼女がなぜここまで美しさに固執しなければならなかったのか、明確な理由は描かれていないかもしれませんが、ところどころに弱さや片鱗が見える気がします。これまでは女王に感情移入したことがなかった方も、彼女に共感していただけるのではないかと思います」
「老婆の高笑い」を聞き逃さないで

−劇中の新曲は『ラ・ラ・ランド』『グレイテスト・ショーマン』を手がけたパセク&ポールが担当していますが、音楽の魅力はいかがですか。
「女王の歌は時代感を意識した3拍子調で、美しいドレスを着て、召使たちを従えながら歌う姿は、アニメーション版の女王ファンが観たかった女王のミュージカルシーンになっていると思うので、喜んでいただけるのではないかと思います。女王が地下牢に降りていって老婆に変身するシーンはアニメーションでも印象的だと思うのですが、そこも素敵なミュージカルシーンになっているので、楽しみに観てもらえたら嬉しいです」
−声だけで表現するというのは新しい挑戦だったかと思います。
「演じるということや、仕事に向かう姿勢は今までと変わらないのですが、どうやったら感情が声に上手く乗るのだろう、女王の気持ちを見えるようにするには、どんな響きで、どんな声を出したらベストなんだろうというのはもの凄く試行錯誤しました。今後この経験を活かして次に挑戦した時に、気づくことも多いのだろうと思いますし、声の勉強というのは改めて新たに挑戦したいことだなと思うくらい、難しかったです」

−さらに女王と老婆の演じ分けが必要でしたよね。
「ところが意外に、老婆の声はすんなりと出たんです。老婆の方が強烈なキャラクター性があったからでしょうか。今まで役になりきるというお仕事をしてきたので、入り込みやすかったのかもしれません。ぜひ老婆の高笑いに注目して頂きたいです。老婆に変身する歌が終わった後の一瞬なので、聞き逃さないようにしていただけたら。老婆の高笑いというのはもちろん初めてだったのですが、なぜか一番上手く出来たので、気に入っているシーンです」
−自分の声が映像に入っているのを観て、どう感じられましたか。
「効果音や他の方の声と、自分の声が一緒になった映像を観させて頂いた時は、この感動はもう二度と味わえないものだと思うと凄く感動しました。自分の声が本当にディズニー作品に参加できたのだと実感してうるっときましたし、今感じた気持ちを大事に、これからの仕事もひとつひとつ頑張りたいなと思いました」
−本国のスタッフからも絶賛の声があったそうですね。
「自分の声を女王に合うと思ってくださった、それだけで今まで自分がこういう仕事をやってきたことへのご褒美だなと思いますし、自分の中で大事にしまっておきたい、大きな自信になりました」
新しいことにどんどん挑戦している姿を応援して頂けたら

−2024年7月に宝塚歌劇団を卒業後、声優業という新たな挑戦となりましたが、そこにはどういった思いがありましたか。
「宝塚を卒業した後の自分の人生をどう生きていくかによって、どれだけ宝塚で学んだことが自分にとって大事だったかを皆さんに分かっていただけるのではないかと思うんです。私としては、人としてもっと成長して、新しいことにどんどん挑戦している姿をまた応援して頂けたらいいなと思いますし、今は私もそれを楽しんでやらせて頂いています」
−ファンの皆さんも本作が決まって、新しい一面が観られることを楽しみにされていらっしゃいましたよね。
「そうですね。一緒に楽しんでくださっている感じがするので、とてもありがたいなと思っています」

−映画『白雪姫』を通してどのようなメッセージを届けたいですか。
「近年、ヴィランズが人気になってきているのは、少女時代にディズニープリンセスを観てきた方たちが大人になって、自分の中にもヴィランズのような要素があるのではないかと気付き始めるからだと思うんです。それが突き抜けているヴィランズはかっこいいと共感するのだと思います。今回の『白雪姫』でも女王は継母として白雪姫と上手くいかない関係や、自分の周りに味方がいないと感じているような細かい心情をガル・ガドットさんが演じているように感じました。誰もが知っているストーリーですが、今一度観てみると色々な人に感情移入ができるし、新しい側面から『白雪姫』を観られるんじゃないかなと思います。お子さんは『ハイ・ホー』の華やかなシーンに喜んで頂けると思いますし、それぞれの世代が色々なことを感じて頂けたら素敵だと思います。大人の女性の方は、きっと女王にグッときていただけるのではないかと思います」

実写映画『白雪姫』は3月20日(木・祝)より全国公開中。公式HPはこちら

撮影では、妖艶な表情を瞬時に魅せてくださった月城かなとさん。その美しさに思わず現場からは「美しい…!」というスタッフの声が漏れていました。インタビューでは「どうしても女王推しになっちゃう」と女王への想いをたくさん語っていただきました!