7月9日(水)から東京建物 Brillia HALLにて開幕するミュージカル『ジェイミー』。初日を前に、三浦宏規さん、髙橋颯さん(WATWING)、安蘭けいさん、石川禅さん、かなでさん(3時のヒロイン)らがプレスコール・囲み取材・ゲネプロに臨みました。
プレスコール「誰も知らない」を披露
英国BBCで放送されたドキュメンタリー番組を基に制作されたミュージカル『ジェイミー』。2017年にイギリスで初演を迎え、ロンドン・ウェストエンドへ進出。英国最高峰の演劇賞であるローレンス・オリヴィエ賞に5部門でノミネートし、2021年にはAmazon Prime videoで映画版も世界配信されました。

日本では2021年に初演。学生たちのエネルギッシュなダンスナンバーと、ジェイミーを支え導いていく人々の温かな姿、ジェイミーが憧れるドラァグクイーンたちの華やかなステージが話題を呼び、コロナ禍ながら大きな感動を届けました。
そして4年ぶりの再演に、初演から引き続き髙橋颯さん、安蘭けいさん、石川 禅さんらが集結。さらに新たに三浦宏規さん、唯月ふうかさん、遥海さん、かなでさん(3時のヒロイン)らが加わります。

プレスコールでは髙橋颯さん、遥海さん、吉高志音さん、かなでさんらが出演し、オープニングナンバー「誰も知らない」を披露しました。
プレスコール前には円陣の声が聞こえ、カンパニーの団結力が伝わります。ステージでは若いエネルギーに満ちたダンスで魅了。本作の世界を誰よりもキャストが楽しむ雰囲気は、観客にも伝わっていくことでしょう。髙橋颯さんはキュートでユニークな姿はそのままに、初演より落ち着きや自信が見え、より風格漂うジェイミーに仕上がっている印象を受けました。

「皆さんを信じて」「やりがいを感じています」
囲み取材には三浦宏規さん、髙橋颯さん、安蘭けいさん、石川禅さん、かなでさんが登壇しました。

「通し稽古を稽古場で8回くらいやれたのに、それでも初日前は不安なんだなというのを学びました」と心境を明かした三浦さん。「どの作品でも初日前は胸のざわつきというのはどうしてもあるのですが、『ジェイミー』はカンパニーの絆がものすごく強いなと稽古場から感じていたので、もし何かが起きても絶対に誰かがカバーしてくれるだろうなと。そういう意味では、皆さんを信じて進んでいけば怖くないかなと思います」とカンパニーへの信頼を語りました。
髙橋颯さんは「初演より自分自身は余裕を持って、周りを見ながら取り組めているなというのは感じていて、そこでお芝居の楽しさや、みんなで一緒に楽曲を届けることの素晴らしさに気づいたので、やりがいを感じています。パワーアップしました!見てください!」と自信をのぞかせます。
安蘭けいさんは「稽古場で出来ることはやれたかなと思うので、あとはお客様の反応で、作品がどんな風に成長していくのか楽しみでワクワクしています」とコメント。

伝説のドラァグクイーン「ロコ・シャネル」を演じる石川禅さんは「めったにできないお役なので…4年ぶりの再演で、初演からご一緒させていただく皆さんと、再演で初めてご一緒する皆さんと、とにかく楽しみしかありません」と語りました。
かなでさんはミュージカル初出演。ブロードウェイやウエストエンドに観劇旅行に行くほどミュージカルがお好きだというかなでさんは、念願のミュージカル出演に「緊張しています。プレスコール前も袖で泣きそうになっちゃいました。みんなで円陣を組んだのも感動してしまって」と想いを明かします。

石川さんは「作品に向き合う姿勢が本当に素敵です、大好きです」と太鼓判。本作を機にミュージカル界へ進出?と問われ、「したいです!関係者の方、お願いします!」と叫ぶかなでさんに、石川さんは「ぜひ!」、安蘭さんは「ようこそ!」と答え、カンパニーに愛されている様子が窺えました。
最後に髙橋さんから「本当に楽しみにしてお待ち頂いているんだろうなというのをSNSなどを見て感じています。期待を裏切らないようにしたいなともちろん思いますし、一緒に作品を作っていけるんだろうなと感じて、皆様にお会いできるのが凄く楽しみです」、
三浦さんから「この作品をどう受け取って頂けるのか、感じたことをぜひ色々なところで発信したり、人に伝えたりして頂いて、この作品を盛り上げていただけたらなと思います」とメッセージが贈られ、会見が締め括られました。

「そのままのあなただけの魅力」こそ「ビューティフル」
ジェイミー役:三浦宏規さん、プリティ役:唯月ふうかさん、ディーン役:神里優希さん、ミス・ヘッジ役:かなでさんのゲネプロの様子をお届けします。

ティーンエイジャーの賑やかな声が飛び交う教室で、おとなしく、心ここに在らずのジェイミー。彼はドラァグクイーンになることを密かに夢見ています。ミス・ヘッジは生徒たちに、夢を見るのではなく、現実的な職業を考えるよう伝えます。

16歳の誕生日、ジェイミーは母親のマーガレット(安蘭けいさん)からずっと欲しかったゴージャスな赤いハイヒールをプレゼントされます。大喜びのジェイミーは、親友のプリティに教室でこっそりハイヒールを見せ、同級生ディーンからの侮辱的な言葉にも初めて抵抗。その姿を見たプリティは、高校生活の最大のイベントであるプロムにハイヒールと共にドレスを着て出るよう勧めます。

ドレスを買いに出かけたジェイミーは、店の店主であり伝説のドラァグクイーン「ロコ・シャネル」でもあるヒューゴ(石川 禅さん)と出会います。プロムに挑む前に、ドラァグクイーンとしてデビューすることを提案され、夢に向かって進んでいく決意をしたジェイミーでしたが…。

本作のエネルギッシュさが感じられるオープニングナンバー「誰も知らない」はもちろん、ジェイミーが父親から投げつけられたショッキングな言葉を超えて進んでいこうと自らを鼓舞する「頭の中の壁」、マーガレットが息子ジェイミーへの愛を歌う「我が子〜He’s my boy」、プリティがジェイミーにありのままの美しさを歌う「ビューティフル」など心を打つ名曲が揃う本作。

三浦宏規さんはその身体能力を存分に活かし、足上げやアクロバティックな動きでジェイミーを表現。ポージングを美しく決め、ダンスではどんどんと生き生きした表情になっていくのが印象的でした。

ジェイミーの味方であり続けながら、時にジェイミーを諭し、助言者となるプリティを演じるのは、唯月ふうかさん。ピュアで知的でおとなしい女性ながら、芯を感じさせるプリティの魅力を丁寧に表現し、その卓越した歌唱力を「ビューティフル」で存分に堪能することができます。

安蘭けいさんは初演から引き続き、ジェイミーを深く包み込む愛情深いマーガレットを好演。ジェイミーとまっすぐ向き合い続け、彼を理解しようとするマーガレットがいたからこそ、ジェイミーはユニークで時に無鉄砲なほど前進力を持った青年に育ったのでしょう。

石川 禅さん演じるヒューゴは、「ドレスは鎧」だとジェイミーに教えます。様々なものに立ち向かうために、恐れられる存在になるために、ドラァグクイーンはカツラをつけてドレスを着るのだと。彼らの強くて美しい生き様に胸を打たれる人も多いのではないでしょうか。

実話をもとに作られた『ジェイミー』は、偏見や差別も嘘なく描きます。ジェイミーが父から浴びせられた言葉を思うと胸が締め付けられますが、その言葉と向き合い成長していくジェイミーの姿が感動を呼ぶのはもちろん、彼を理解し支える温かな人々が数多くいるのが印象的です。誰にでも自分が輝ける居場所がある。そう教えてくれる本作は、生きづらさを感じる現代に大きな光を与えてくれるはずです。

ミュージカル『ジェイミー』は2025年7月9日(水)から7月27日(日)まで東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて上演。その後、8月1日(金)から3日(日)まで大阪・新歌舞伎座、8月9日(土)から11日(月祝)まで愛知県芸術劇場 大ホールにて上演が行われます。公式HPはこちら

名曲揃いの『ジェイミー』!初演を観た時、コロナ禍での暗い気持ちを吹き飛ばしてくれたのを覚えています。再演ではより多くの人にこの作品が届きますように。