約45年もの間、優れた君主としてイギリスを統治し続けたエリザベス1世。彼女の半生を大胆な解釈で描き出したミュージカル『レイディ・ベス』が、2026年2月9日(月)から日生劇場にて上演されます。
2014年、日本で世界初上演を迎えた本作は『エリザベート』や『モーツァルト!』などの名作を生んだミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイの黄金コンビによる歴史ロマン大作です。今回は2017年の再演からキャストを一新し、8年ぶりに生まれ変わります。
『レイディ・ベス』のあらすじは?エリザベス1世の青春を描く歴史ロマン
舞台は16世紀のイギリス。
ヘンリー8世の娘・ベスは、国王の血を引く存在でありながら、片田舎でひっそりと暮らしていました。ベスの母アン・ブーリンが反逆罪の汚名を着せられ、処刑されてしまったからです。
つつましい生活の中でも勉学に励むベスは、吟遊詩人のロビンと出会います。
ベスは彼の自由奔放さに反発を覚えながらも、次第に惹かれていくのでした。
そんな中、母親違いの姉である現国王・メアリーへの反逆罪の疑いをかけられてしまったベス。ロビンとも引き離され、ロンドン塔へと収監されてしまいます。
彼女の運命は、一体どうなってしまうのでしょうか。
新生ベスは、奥田いろは(乃木坂46)&小南満佑子
日本国内では、今回が3度目の上演となる『レイディ・ベス』。前回の2017年版では、主人公ベスを花總まりさん・平野綾さんが、吟遊詩人ロビンを山崎育三郎さん、加藤和樹さんがそれぞれWキャストで演じました。
今回の公演では、2025年には『1789-バスティーユの恋人たち-』にオランプ役で出演した乃木坂46の奥田いろはさんと、ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』のメグ・ジリー役などで知られる小南満佑子さんがベス役を務めます。
また、ベスの恋の相手であるロビンを演じるのは、ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』のチャーリー・プライス役を好演した有澤樟太郎さんと、『1789-バスティーユの恋人たち-』ロナン・マズリエ役が記憶に新しい手島章斗さんです。
新しいキャストで生まれ変わる『レイディ・ベス』は、どんな進化を遂げて観客を楽しませてくれるのでしょうか。非常に楽しみです。
エリザベス1世とは?生涯独身を貫いたイギリスの女王
主人公・ベスのモデルになったエリザベス1世とは、どんな人物だったのでしょうか。
エリザベス1世(1533-1603)は、国王ヘンリー8世と、彼の2番目の妻アン・ブーリンの娘として生まれました。1558年、異母姉である女王メアリー1世が亡くなると、わずか25歳の若さで即位し、女王となりました。
高い水準の教育を受け、5ヶ国語に精通するなどの豊かな知性を持っていたエリザベス1世は、45年間にわたり女王の座に君臨。また、フランシス・ドレイクやウォルター・ローリーなど、優秀な航海者をアメリカ大陸に航海させ、植民地や貿易事業を拡大、1599年には女王みずから東インド会社を設立するなど、国内に多くの富をもたらした偉業で知られています。
劇作家ウィリアム・シェイクスピアの活躍などをはじめ、エリザベス1世の在位中には芸術の世界も栄えました。この時代の演劇は「エリザベス朝演劇」と定義づけられています。
当時は国と国の結びつきのために政略結婚をするのが一般的でしたが、エリザベス1世は生涯、誰とも結婚しませんでした。独身を貫くことで、イギリスの王位を狙う諸外国の要人から国を守り、また自身との結婚の可能性を外交や内政の政治的手段として利用したといいます。「私はイギリスと結婚した」という言葉でも知られています。
1588年には、「無敵艦隊」と呼ばれていたスペインの約130隻の艦隊に対し、イギリス海軍が大勝利を収めました。これらのことから、エリザベス1世の在位期間は「史上最も輝かしい時代の一つ」とされています。
『レイディ・ベス』では、偉大な君主になる前、不遇な境遇ながらも強く生きていくエリザベス(ベス)の姿が描かれています。エリザベス1世を取り巻く歴史的背景を知ることで、ミュージカルを観劇する際により深い人間ドラマを感じられるでしょう。
ミュージカル『レイディ・ベス』は、2026年2月9日(月)から3月27日(金)まで、日生劇場で上演されます。2026年1月10日(土)より、チケット一般発売開始です。詳しくは公式ホームページをご覧ください。
前回の2017年版では、初演をブラッシュアップし、ベスとロビンの切ないデュエットやベスの力強いソロナンバーが追加されました。今回の公演では、そこからさらに進化した『レイディ・ベス』が鑑賞できるかもしれませんね。 クンツェ&リーヴァイの生み出すヒロインには魅力的なキャラクターが多いため、新しくなって帰ってきた本作にも大いに期待できます!


















