ミュージカル『エリザベート』『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』『キンキーブーツ』などに出演し、2026年は『ミス・サイゴン』にクリス役で出演するなど、活躍の続く甲斐翔真さん。2026年2月にはデビュー10周年を記念し、ライブ「KAI SHOUMA Anniversary 10 YEARS」がヒューリックホール東京で開催されます。10周年を迎えた心境とライブへの想いを伺いました。
音楽との縁が繋がって歩んだ10年

−ライブ「KAI SHOUMA Anniversary 10 YEARS」のコンセプトはどのように決められましたか?
「今回はコンサートではなく、バンドでのライブをやりたいと思っています。デビューから10年が経つのですが、ミュージカルに出るようになったのは2020年から。それまではドラマや映画に出演していました。10年間の俳優人生を知っていただける内容にしたいなと考えています。
やはりミュージカルをやる前から応援してくださっている方々もいますし、むしろその方々は長く応援してくださっているわけなので、そういった方々にもしっかりと感謝を伝えられるライブにしたいなと思っています。
楽曲はバンドでやるからにはバンド映えする曲を選びたいし、バンドをやっている僕が好きという方も結構いると風の噂で聞いたので(笑)、バンド姿を皆さんにお届けできたらなと思います。みんなで盛り上がれるライブにしたいです」
−セットリストもそういった歴史が感じられるものになりそうですね。
「ミュージカルソングもそうですし、出演したドラマや映画の主題歌や、10年間の間で僕が好きだった曲、自分がよくカラオケで歌った曲もあるかもしれません(笑)。僕の10年の歴史の中で出会ってきた曲たちになるはずです」
−ご自身ではこれまでの10年をどう振り返っていますか。
「僕が約10年前に出演した映画『写真甲子園 0.5秒の夏』主題歌を歌われていたのが大黒摩季さんで、挿入歌ではキャスト4人もコーラスとして参加させていただきました。人生で初めてレコーディングというものを経験して、その時に大黒さんに“歌やった方が良いよ”と言っていただいたのを凄くよく覚えています。
2018年に出演したドラマ『花にけだもの』ではDa-iCEが主題歌を歌っていて、その後2020年にミュージカル『RENT』で花村想太くんとご一緒しました。実はミュージカルをやる前から音楽には縁があったなという気がしますね。
ミュージカル作品で言うと、凄く幅広い作品に出演させてもらっているなと思います。『マリー・アントワネット』『エリザベート』のような作品もあれば、『RENT』や『next to normal』など、歌い方が全く変わる作品をやらせていただいています。そういう振り幅を楽しめているのは良いことなのかなと思います」
−バンドで歌うと印象の変わる楽曲もありそうです。
「役ではなく自分自身で歌うというのもまた違って見えると思います。バンドでライブをするというのは高校時代も夢見ていたことだったので、楽しみですね。高校生の時はスポーツ推進校だったので部活ごとに文化祭の出し物をやるのですが、僕はどうしても有志のバンドがやりたくて、特例で認めていただきました(笑)。体育館で照明にも凄くこだわった思い出があります。当時を思うと10年経ってプロとしてライブができるなんて、頑張ってきてよかったなと思いますし、まだまだファンの皆さんと一緒に夢を叶えていきたいなと思います」
ベトナムの現地で感じた空気を糧にクリス役に挑む

−2025年も『next to normal』『キンキーブーツ』『マタ・ハリ』とご活躍の1年でした。振り返ってみていかがですか?
「今年も生き抜いたな、という感じはしますね。ここ5年、猪突猛進でやってきましたが、今年は仕事の向き合い方が変わってきて、より1作品1作品、深く向かい合えるようになってきたと思います。表現においても1年前の自分では考え付かなかったようなことを舞台上で閃いたり、余白を楽しみながら演じられるようになったと思います。それはきっと年齢や経験が積み重なってきたから。来年の『ミス・サイゴン』も楽しみです」
−そういうタイミングで『ミス・サイゴン』に出演するというのも運命的ですね。
「そうですね。きっと一筋縄では行かない役だと思います。でもだからこそ、クリスのことを理解して頂けるように演じたいです。ベトナム戦争という大きなものがあった時代、今とは“当たり前”が違う。目の前で仲間が撃たれて死んだり、自分が人を殺してしまったり、それを平気でやってしまっている自分にふと気がついたり。そういう状況下であることはもちろん皆さんご存知だと思いますが、実際にその時代にタイムスリップしてもらえるくらいの説得力を僕は持ちたいと思っています。しょうがないという言葉では片付けられない、大きなものを感じ取ってもらえたら嬉しいです。そのための準備をしっかりしたいと思います」

−今すでに準備されていることはありますか?
「今年の夏にすでにベトナムに行って、夏の蒸し暑さを肌で感じることができました。現代でこれだけ暑くて大変なら、当時はドロドロで、血の臭いや人が焼けた臭いがして、外に死体が転がって…と想像を膨らませることができました。この感覚を体に浸透させたいので、上演までにもう一度行けたら嬉しいですね。やはり僕は本物の体験、見た景色から役を作っていきたいです」
−『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』で実際にフランスのムーラン・ルージュに訪れられていたので、きっと『ミス・サイゴン』でも行かれるのだろうなと思ったのですが、もう行かれていたとは、さすがです!現地でのどんな体験が役作りに繋がっていると思われますか。
「ベトナムでは戦争の資料館にも伺いましたし、何より実際に歩いてみて、そこに流れている空気を感じられるというのが大きいと思います。空気というのは想像で補えないものだと思うので。それはムーラン・ルージュに行った経験が大きかったと思います。何より自分自身が、嘘がないと安心できたし、自信がついたんです。そうすると新たなアイデアも生まれてくる。自分の変化を大きく感じたので、行けるところには行って、できることは全てやって臨みたいなと思います。もちろん作品に対するリスペクトはありますが、今までこんなクリスはいなかったと思ってもらえるような新たなクリスになりたいです。思い描いている理想は、現時点で何となくあります」
「新帝劇の0番」を夢見て

−甲斐さんは今後挑戦してみたいことなど、未来をどのように想像していますか。
「まずは新帝劇に立って、何をするか。先輩方からたすきを受け取って、ネクスト世代と呼んでいただいている世代の中で、やはり新帝劇の0番には立ってみたいです。きっと新帝劇というのは新しい時代の幕開けにもなるでしょうし、そこでしっかりと座長を務められる存在になっているというのは、1つ僕が見たい未来ですね」
−帝国劇場 CONCERT『THE BEST New HISTORY COMING』にはレギュラーキャストとして出演されていました。どんな景色が記憶に残っていますか。
「帝劇の歴史のほんの一部しか僕は関われていないですけどでも、帝劇初年度から出演されていたような方々がゲストで来られて、その歌唱を聞けたことはとても光栄でした。舞台役者は劇場と共にあるのだなと思わされました。市村正親さんなどが歌われると、帝劇が喜んでいるように感じたんです。新帝劇は今まだ誰のものでもないので、自分のものにするというくらいの勢いで、新しい時代の幕開けを一緒に盛り上げたいなと思います」
−間違いなく次の時代を築いていくお一人だと思いますが、今、日本のミュージカル界をどう捉えていらっしゃいますか。
「そんな大層なことは言えないですが、日本ではミュージカルというのが一つの文化として根付いてきていると思います。きっと『エリザベート』初演の時と、今ではミュージカル界は大きく違うはず。『デスノート THE MUSICAL』など日本の作品が世界に行くことも増えています。そうやって変化していく中で、その変化の1つの理由になりたいです。そのためには僕自身が止まらずに動き続けることだと思います。
日本のミュージカル界は良い場所だし、夢がある場所だと思います。今までミュージカル界を作ってきてくださった先輩方を見てもそう思いますし、僕自身、帝劇の0番に立たせていただいたり、夢のある経験をさせてもらってきました。これからミュージカル界をどうやって盛り上げていけるか楽しみですし、僕と同世代の方にも、もっと若い方にも、実力を持った方々はたくさんいます。僕もあぐらをかいてはいられないし、かいているつもりもありません。ミュージカルファンの皆さんと一緒に、日本のミュージカル界を育てていけたら良いなと思います」

ライブ「KAI SHOUMA Anniversary 10 YEARS」は2026年2月27日(金)から3月1日(日)までヒューリックホール東京にて開催されます。詳細はこちら
「KAI SHOUMA Anniversary 10 YEARS」
2026年2月27日(金)
開場:17:15 開演:18:00
2026年2月28日(土)
開場:12:45 開演:13:30
開場:16:45 開演:17:30
2026年3月1日(日)
開場:12:45開場 開演:13:30
会場:ヒューリックホール東京
チケット料金:全席指定 9,900円(税込)
*入場時別途1ドリンク代(税込600円)必要
*未就学児入場不可
▽Amuse+先行 [抽選]
https://amuseplus.jp/kai10years/
受付期間:2025年12月25日(木)13:00~1月6日(日)23:59 *一般発売は1月中旬ごろを予定しております。
冷静に鍛錬を重ね、自信を持って歩み続ける甲斐さんは、いつも「ミュージカル界をよろしくお願いします!」と言いたくなるような頼もしい存在。お話するとこちらまでポジティブな気持ちにさせていただいています。


















