2026年3月9日(月)からシアタークリエにて開幕するミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。生き別れた双子の数奇な運命を描いた本作は1983年のイギリス初演以降、世界中で愛されてきました。東宝製作作品としてはおよそ17年ぶりの上演となる本作の上演に向けて製作発表会見が行われ、出演者の小林亮太さん、渡邉蒼さん、山田健登さん、島太星さん、瀬奈じゅんさん、安蘭けいさんと、演出の日澤雄介さんが登壇しました。
大人が子どもを演じる「大きな必然」を感じながら
ウィリー・ラッセル氏が脚本・音楽・歌詞を手掛け、ローレンス・オリヴィエ賞で最優秀新作ミュージカル賞を受賞したミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。ウエストエンド・ブロードウェイ・ドイツ・オーストラリア・韓国など世界中で上演され、日本でも1991年以来、繰り返し上演されています。

ジャンストン家の8番目の子として生まれた双子のミッキーとエディが、生活の困窮からエディのみ裕福なライオンズ家に引き取られたのちに再会し、社会の格差と運命に翻弄されていく物語です。
2026年の上演では、ミッキーを小林亮太さん、エディを山田健登さんが演じるペアと、ミッキーを渡邉蒼さん、エディを島太星さんが演じるペアに分かれ、Wキャストで上演されます。

エディを引き取るミセス・ライオンズを演じるのは瀬奈じゅんさん、ミッキーとエディの実母であり苦渋の選択を迫られるミセス・ジョンストンを演じるのは安蘭けいさん。演出を手がけるのは、劇団チョコレートケーキ主宰で、シアタークリエでは2022年に『アルキメデスの大戦』の演出を務めた日澤雄介さんです。

ミッキー役の小林亮太さんは「7歳の子ども時代から演じるので、普段僕らは大人の目線で子どもを見ていますけれども、(ミッキーは)大人の色々なしがらみを排除できて、生活が苦しい中でもめげずに人生に立ち向かっていく姿が、1人の人間として魅力的」と役柄の印象を語り、エディとの関係性については「自分が笑えないときに笑ってくれていたり、言葉にしなくても目と目で通じ合って一緒に生きてくれて凄く救われるし、最高の友達なんじゃないかと思います」と語ります。

渡邉蒼さんは「子どもを演じるというのは、子どもの時を思い出すことなんじゃないかと日澤さんとお話をしていました。ミッキーってよく思い出すと、皆さんの頭の中に1人はいたんじゃないかと思うんです。楽しくて明るい子で、かっこいいとか面白いに対してストイックに向き合っていく。可愛くて、僕自身もそういう部分を持ち続けていたいなと思うような子」と役の魅力を語ります。エディについては「血のつながり、それ以上でも以下でもないのかもしれないけれど、脚本を読んでいるとミッキーが持っていないものをエディが運んできてくれる感じがあるし、エディにとってもそうだったかもしれない。絶対に一緒にいるべき存在なんだろうなと感じます」と語りました。

エディを演じる山田健登さんは、島太星さんとは同じグループで音楽活動をしていた仲であることを明かし、「太ちゃんが音楽をしている瞬間は見たことがあったんですけれど、お芝居は初めてなのでどんな感じなんだろうなと思ったら本当に良くて。人柄がお芝居に出ていて、独特の空気感は狙って出せるものではないので、凄く良いなと日々の稽古で感じています。年齢としては先輩なんですけれども、もうちょっとフレッシュにいかないといけないなと思っています」と稽古場での印象を語ります。

一方、島さんは山田さんがマリウス役で出演した『レ・ミゼラブル』を観劇したことを明かし、「本当に凄く素敵だったので、今回も楽しみにしていました。そうしたら、本当にすごいです、楽しいですし、健登って…言ってもいいのかな?めちゃくちゃ優しんですよ!びっくりするほど裏表がなくて、健登から“悪”の話を聞いたことがない!(会場笑い)。こんなに優しくて完璧な人っているのかなと思って、でもお芝居をしたら優しい裏には葛藤、暗い部分も存在していて、健登って優しいだけじゃなくて本当に人間だなって思いました。(2人の)共通点としては僕たち同じ人間なんだなって」と島さん節全開で語り、「ぜひ両ペアをご観劇いただきたい」とアピールしました。
瀬奈じゅんさんと安蘭けいさんは宝塚歌劇団を同じ年に卒業し、本作が初共演。在団中も共演はなかったとのことで、芝居で向き合うことが「不思議な感じ」と語りつつも、「初めてとは思えないような、意思疎通ができる感じがする」と語った安蘭さん。

瀬奈さんは「芝居だけでなく、お稽古に向かう姿勢も、とうこさん(安蘭さん)の背中を見て、私も頑張らなきゃと思っている毎日です。ただ、何か面白いことがあるとすぐに私の顔を見て反応をチェックされているんです(笑)」と仲睦まじい様子を明かし、演出の日澤さんからも「いつもケラケラ笑いながら、ちょっと目を離すと2人で喋っている」とタレコミが。安蘭さんは「役として向き合えるか実は心配。でも2幕は格闘(笑)があるので、しっかり倒したい」と意気込みました。

日澤さんは「双子の息子が生き別れたのちに出会ってしまい、運命の歯車が回っていくというおとぎ話のような作品の背骨は大切にしつつも、運命としてだけで片付けたくはないなと思っています。生々しく表現したい。初めて脚本を読んだ時、シンプルな筋の中にグイグイ惹きこまれるような感触があり、それは何なのかと思ったら、運命という言葉では片付けられない、1人1人が自分で選択をしていくということだと思うんです。自分で決めて、葛藤して、悩んで決めていった先にある結末という作り自体がとても面白い。1人1人の選択、決断、そこに絡んでくる人間の欲や愛、憎しみ、悲しみ、喜びといった、人間が持っているそもそものところを深く掘って演出できれば」と語りました。

そして会見では小林さん、山田さん、渡邉さん、島さん4名によって作中のナンバー「あいつに」が披露されました。ミッキーが幼なじみのリンダに好意を寄せられるものの、コンプレックスからその想いに応えられず、「エディだったら洒落たことを言えるのに」と羨む一方、エディもミッキーに対して同じような想いを抱いていることが見える楽曲。

日澤さんは「14〜15歳くらいの思春期で、自分の全部が嫌いで、相手の全部がかっこいいと感じるような時期。憎しみではなく、 “あいつみたいになりたいな”と悶々としながら歌う青々しい楽曲です」と解説します。

今回は4人がアイコンタクトを取りながら和やかに歌唱が行われましたが、作中ではミッキーとエディの心情が滲むナンバーとなりそうです。


結びのメッセージとして、安蘭さんは「2003年にこの作品を観た時は“なんて悲惨なお話なんだろう”という印象が強かったのですが、今回出演することになり、台本を読んだり稽古をしたりしながら、運命なのか、宿命なのか、動かすことで運命は変えられるのか…といったことを考えています。最近では映画『国宝』でも生まれ、血や宿命といったことを感じて。令和のこの時代に、皆様がどう受け止めてくださるのか分からないですけれども、何か素敵なものを持って帰っていただけるよう稽古を重ねて本番に臨みたい」とコメント。

瀬奈さんは「私事ではありますが、特別養子縁組で2人子どもを授かっており、血とは何か、血が繋がっているということに直面する機会が多々ありました。1回目に特別養子縁組をした時は皆さんから“すごいね”とか“えらいね”という反応をもらったのですが、5年後に2人目を授かった時は“おめでとう”という言葉に変わったんです。この変化は凄く大きいなと思っています。5年経つと、世間の常識や感覚は変わっていく。そんな中でこの作品が長いこと受け継がれていて、受け取り側の感情はどんどん変化していると思います。今、私たちがこの作品をやる意味がきっとあると思う」と想いを語ります。
島さんは「ただただ幸せです。苦しい結末を迎えるけれど、瀬奈さんは勝手に本当のお母さんのように思えるし。もっとしっかりしないといけないところはたくさんあるけれど、物語を通して、人に優しくしていきたいと感じるし、何も知らなかった子ども時代を思い出して、毎日が新鮮で楽しいです」と稽古での充実ぶりを語ります。
山田さんは「稽古を重ねるたびに、この作品が長く続いてきた理由を感じる瞬間がたくさんあります。僕たちにしかできない表現で、皆さんにお届けできるように、誠実に。そして日澤さんの言葉をお借りするなら“生々しく”、届けていきたい」と意気込みを。
渡邉さんは「長い間、さまざまな場所で、様々な人によって上演されてきた作品ですが、社会は変わっても、一貫して人間の心というのは複雑で面白いということは変わらないんだろうなと。その時々で、これこそが良い未来に繋がるだろうと信じて選択しているのに、上手くいかないことがすごくあって。近くで見たら凄く悲劇的だけれど、一歩引いて俯瞰してみると喜劇的に思えると思うんです。生き別れた双子という、現実ではあまり出会わないテーマではあるけれども、人間全員が持っている人間の可笑しさ、哀れさが色濃く宿されている作品だと思うので、リアルな人間の物語を演じる自覚を持ってやっていけたら」と語ります。

小林さんは「作中に「キッズゲーム」という楽曲があるんですけれど、演劇というのはどこまでも遊びの延長線上だと思っていて、僕らが真剣に遊ぶことによって、日常を頑張っているお客様に、心のゆとりを持っても良いんだと感じたり、遊び心を思い出したりしていただきたい。苦しい結末が待っている作品ではありますが、そこまでの僕らの道のりを凄く豊かに観ていただける作品になっているんじゃないかと思います。ぜひ“あおしま”と“こばやま”で皆様に楽しんでいただければ」とアピール。
日澤さんは「脚本のウィリー・ラッセルさんは、なぜ大人が子どもを演じる形にしたのかというのを考えた時、そこに大きな必然があると思います。翻訳の伊藤美代子さんにも聞いて、これを子役でやったら意味がない、大人がやるから意味があるのだと。我々は一度は子どもを経験していて、子どもを経て大人になっている。大人になった時に、自分の子ども時代ってどうだったのか。子どもから大人になるのはどういうことなのか、というのを二幕構成で見せることで、お客様にはどこか刺さる、今まで生きてきた時間とリンクする瞬間というのがあると思います。ダブルキャストということではなく、2本の作品を創っているような感覚で今、演出をさせていただいております。是非とも両作品、劇場で観ていただければ」とメッセージが送られました。

ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』は2026年3月9日(月)から4月2日(木)までシアタークリエ、4月10日(金)から12日(日)までサンケイホールブリーゼにて上演。公式HPはこちら
ペアごとに全く異なる雰囲気を持つWキャストですが、お互いをリスペクトし合いながら、そして和気藹々と!共に作品創りを進めている様子が伝わりました!



















