イギリス最高峰の演劇を日本の映画館で観ることができるナショナル・シアター・ライヴ。こちらの記事でもご紹介しました。屈指の名作を海外に行くことなく楽しめる、演劇ファンにとっては非常にありがたい機会です。
日本語字幕が付くのはもちろん、インタビューなどの特別映像を含めた本格的な映像をなんと3000円(学生2500円)*で観劇できてしまうお得仕様。さらに映画館という身近な空間で、劇場よりも気軽に足を運びやすいメリットもあります。(*鑑賞料金は変動します。)
2021年7月30日(金)から8月26日(木)までは、東京都池袋のシネ・リーブル池袋にて、「ナショナル・シアター・ライヴアンコール夏祭り2021」が開催され、特に人気の高かった過去作品が期間限定で再上映されます。この機会にぜひ多くの人に知られてほしい、筆者のおすすめ作品をご紹介します!
フランケンシュタイン(2011年)
ドラマ『シャーロック』や映画『イミテーション・ゲーム』等で知られるベネディクト・カンバーバッチと、『トレインスポッティング』『ザ・クラウン』等で知られるジョニー・リー・ミラーのダブル主演作。2011年の上演当時は一日ごとに博士役と怪物役を交代で演じ、大きな話題となりました。
筆者はこの作品を観るまで、「フランケンシュタインってボルトの刺さった怪物のホラーでしょ?」というイメージだったのですが、観劇後は「なんと誤った認識だったのだろう」と頭を抱えました。
ここで描かれているのは、一つの生命の歪な誕生と、無垢な魂が知性を獲得するまでの軌跡、そして人間の身勝手さ。特に冒頭数分の美しくも不気味な誕生シーンは、今でも忘れることができません。「夏祭り2021」では、カンバーバッチ怪物版とミラー怪物版、どちらも上映されます。ぜひ見比べてみてください。
リーマン・トリロジー(2019年)
以前の記事でもご紹介した通り、大手投資銀行リーマン・ブラザーズの創業から破産までを描いた壮大な三人芝居。2021年9月にはブロードウェイでの再演が予定されています。
三人の俳優は創業者のリーマン兄弟、その妻、息子、孫、部下と、目まぐるしく役を変えていきます。木箱のようなシンプルなセットで、一切衣装を変えないまま進んでいくため、こちらも想像力をぐんぐん掻き立てられます。上演時間は休憩込みで約3時間半と長いのですが、体感では1時間程度に思えてしまうほど引き込まれました。動作や台詞の一つ一つが考え抜かれており、「これが世界のトップレベルの演劇か」と感動した作品です。
「ナショナル・シアター・ライヴ夏祭り2021」のスケジュールは公式サイトで確認できます。(上映時間は決定次第発表となります)粒ぞろいの傑作ばかりの「夏祭り」、楽しみましょう!