1900年に児童文学として発表されてから、映画、舞台と世界中で愛されてきた『オズの魔法使い』。2022年、大人のためのミュージカル『DOROTHY〜オズの魔法使い〜』として生まれ変わります。100年以上経ってもなお愛され続ける名作が、どのような変貌を遂げるのでしょうか。
「音楽の国」での旅が始まる
世界中で親しまれている『オズの魔法使い』の物語。主人公の少女ドロシーは、大きな竜巻に飲み込まれ、オズの王国に飛ばされてしまいます。王国で、それぞれに悩みや弱さを抱えた、ライオン、かかし、ブリキに出会い、自分にはないものを求めて旅をする成長と発見の物語です。
今回の『DOROTHY〜オズの魔法使い〜』は、私たちの知っている物語をベースに大きく設定を変更。魔法の国オズは、現代のアメリカが舞台の、音楽でコミュニケーションが交わされる「音楽の国」に。そして主人公のドロシーは、ヴァイオリニストを目指すオーケストラ部の大学生へと書き換えられます。
『オズの魔法使い』は児童文学のため、子供向けのイメージがありますが、『DOROTHY〜オズの魔法使い〜』は多くの人が経験したことのある大学生という設定だからこそ、より大人たちに響く作品になるのではないでしょうか。
ものづくりの困難はエメラルドシティーを目指すドロシー達そっくり
困難を乗り越えながら進んでいく作品作りを、「自分にもうちょっと勇気と賢さと優しさがあったらと思いながら、発見と確信の旅を続けている」と、ドロシーたちの旅に重ね合わせたのは、今回作曲・音楽監督を務める宮川彬良さん。蜷川幸雄作品や劇団四季の舞台音楽から、NHK Eテレ「クインテット」や「マツケンサンバ」を生み出す音楽の魔術師とも言える人物です。
今回、演出を務める田尾下哲さんの翻案により、設定は大きく書き換えられますが、物語の持つメッセージは変わりません。田尾下さんは、オペラ、ミュージカル、ストレートプレイ、映像作品とジャンルを問わず活躍されている演出家です。
田尾下さんは本作について、「欲しいと願ったものは、実は初めから持っている」というメッセージはそのままに、「失敗をしたら終わり、ではなく、失敗を取り返すチャンスを旅の中で求めていく物語でもある。現代を生きる全ての大人たちに向けて伝えたい物語を、心を込めてお届けしたい」と語っています。
お二人のタッグにより、生まれ変わる『オズの魔法使い』。わたしたちの知らない新たな物語が展開されていくことが、今から楽しみです。
物語を彩る豪華キャスト陣にも注目
高い歌唱力とダンススキルを併せ持ち、乃木坂46として活躍されていた桜井玲香さん。19年に卒業されてからは、特にミュージカルの舞台を中心に活躍されています。舞台『ダンス・オブ・ヴァンパイア』や『ゴースト』といった、複数人キャストでの主演経験で力を蓄え、今回は単独初主演。「緊張しつつ、このような経験をさせていただけることがとても嬉しい。素敵なキャスト、スタッフの皆様と楽しく夢のある世界を作っていければ」とコメントされました。
声優やアーティスト、そして俳優と幅広く活躍されている蒼井翔太さんと、様々なジャンルの舞台に加えてTVドラマや映画にも出演されている鈴木勝吾さんがWキャスト。さらに元宝塚歌劇団トップスターで退団後も活躍されている凰稀かなめさん、ミュージカル界に欠かせない俳優の鈴木壮麻さんが名を連ねます。
『DOROTHY〜オズの魔法使い〜』は8月に東京公演、9月に大阪公演、10月以降全国での上演が予定されています。作品の詳細・チケット購入はこちら。
子供の頃ドロシーのキラキラ光る靴に憧れて、運動靴の踵を3回コンコンと合わせて、オズの王国に行こうとしていたことを思い出しました。今回「音楽の国」ではどんな旅になるのか。8月までに映画を見返して、舞台の上演を楽しみに待ちます!