ウェストエンド発、現代に生きる2組の夫婦を描き、日本でも上演されたミュージカル『トゥモロー・モーニング』。豪華ミュージカルスターが出演する映画版が2022年12月、日本での上映が決定しました。
ほろにがい愛と人生を描く、全ての大人のためのミュージカル
2006年にロンドンで上演されたミュージカル『トゥモロー・モーニング』。2組の夫婦を描き、出演者は4人だけ。一方は結婚前夜でラブラブ、もう一方は別居中という対極にある夫婦像を示し、物語が進むうちに、実は2組は同じ夫婦の過去と現在であるということが分かっていきます。歌で聴かせるシンプルな作品ながら、誰かと生きていくすべての人に語りかける普遍的なミュージカルとして好評を得た作品です。
日本では2013年にシアタークリエで上演され、石井一孝さん、島田歌穂さん、田代万里生さん、新妻聖子さんが出演。夫婦間に生まれるさまざまな感情をドラマチックに彩るミュージカルナンバーを、日本ミュージカル界を牽引する実力者が歌い上げました。
幸せな結婚を迎えるハッピーエンドのラブストーリーもいいけれど、現実の結婚はゴールとはほど遠いもの。誰かと歩む人生も思い通りにはならなくて、幸せな記憶をプリザーブドフラワーのようにいつまでも鮮やかなまま心に留めて、ぶつかり合いながらさまざまな難局をどうにか乗り越えていく。そんな現実を生きる全ての大人に響くミュージカル『トゥモロー・モーニング』が豪華キャストで映画化され、日本でも公開されることになりました。
映画版では作品構成をアレンジ。とある夫婦の現在と過去にフォーカス
『トゥモロー・モーニング』の映画化を手掛けたのは、ニック・ウィンストン監督。バレエダンサーから演出家に転身し、クイーンの名曲でつづるジューク・ボックス・ミュージカル『ウィー・ウィル・ロック・ユー』などロンドンを拠点に舞台演出家として活躍しています。
映画化にあたっては、登場人物にアレンジが加わりました。舞台版では、2組が実は同じ夫婦の過去と現在だった、というタネ明かしが作品のカギを握りますが、ニック・ウィンストン監督はミュージカルナンバーを活かしつつ、夫婦が過去を回想する、というかたちをとりました。過去からの変化に重点を置くことで、変わってしまった夫婦の姿に一層共感してしまいそうです。また、舞台版にはいない家族や友人も登場させ、さまざまな人間関係のひとつとして夫婦関係を描きます。
離婚することになったビルとキャサリン。離婚の前夜、口論するなかで10歳の息子が姿を消してしまいます。手放すはずの夫婦関係と手放せるはずがない息子の存在を通して、2人の脳裏に浮かんだのは、10年前、結婚前夜の愛おしい記憶。ウィルとキャットと呼び合っていた過去の2人の姿。タイトルの通り、「明日の朝」には関係が終わる現在の2人は、どんな結末を選ぶのでしょうか。
世界をかけるミュージカルスター、サマンサ・バークスとラミン・カリムルーで映画化!
映画版『トゥモロー・モーニング』で主演を務めるのは、数々のミュージカルに主演し、世界中の舞台に出演するミュージカルスター、サマンサ・バークスとラミン・カリムルー。『レ・ミゼラブル』のエポニーヌや、『プリティ・ウーマン』のビビアンも記憶に新しいサマンサは現在、大人気ディズニーミュージカル『アナと雪の女王』ロンドン公演にて主人公エルサ役で出演中。
『オペラ座の怪人25周年記念公演inロンドン』の怪人役で有名なラミンは『エビータ』ワールドツアーやミュージカルコンサートでの来日経験も豊富で、日本にもファンが多いミュージカルスターです。
ニック・ウィンストン監督が演出し、日本で上演された『CHESS THE MUSICAL』でも共演した2人。力強さと繊細さを兼ねそなえた厚みのある歌声で、過去と現在、それぞれの複雑な感情を歌います。
その他キャスト陣には、キャサリンの母親役に映画や舞台で活躍してきたハリエット・ソープ、祖母役に大女優ジョーン・コリンズらが登場。コメディアンのオミド・ジャリリもビルの父親役でカメオ出演します。加えて、大勢のアンサンブルが出演し、ミュージカルナンバーを盛り上げます。
現代ロンドンを舞台に、今どき夫婦の葛藤と美しい思い出が映し出される、映画『トゥモロー・モーニング』は12月16日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開。詳細は『トゥモローモーニング』公式サイトをチェックしてみてくださいね。
永遠に変わらないものなんてない世の中だからこそ、変わってしまった夫婦の姿に共感してしまうところが、この作品の魅力になっているのだと思います。現代ドラマらしさもありながら、前に進むためのちからを歌で届けてくれる、大人にこそ見てほしい新たなミュージカル映画です。