都内から離れた特設会場にて上演される『ゲマニョ幽霊』。観客は呪法劇で知った情報は口外しないという誓約を結びます。1月に試演公演を行なった本作品の本公演が2月9日(木)〜26日(日)に上演されます。
絵本のような独創的な世界観に引き込まれる劇団おぼんろ
劇団おぼんろは「大人のための寓話」を紡ぎ出すことを特徴とし、普遍性の高い物語と独特な演出技法によって注目されています。絵本のようなおぼんろ特有の世界観に、観客は日常を忘れて物語の世界へと没入します。
主宰の末原拓馬さんの路上独り芝居をはじめ、廃工場や屋形船、オリジナルの特設テントなど様々な場所でも公演を行ってきました。2019年にはサーカスパフォーマンスとの融合にも挑戦。老若男女、国内外の観客から人気を誇っている劇団です。
劇団おぼんろ主催の末原拓馬さんは劇団公演全ての作品の脚本・演出・出演を担いながら、舞台、映像などの企画や脚本・演出、アートディレクションを行っています。
17世紀の「呪法劇」を現代に。参加者は口外禁止…!
そんな劇団おぼんろ初の翻訳劇は、17世紀の東欧で活躍したとされる劇作家ラマエ・ダバースクの「呪法劇」。
原始の頃、世界中のほとんどの国で政治の基盤はまじないや儀式、占い、予言、によって行われており、その中に、神々の前で演劇を捧げる「呪法劇」もありました。上演という儀式によって、霊的なるものを地上に降臨させ超常的な力を借りるというものです。
ラマエ・ダバースクは呪法劇が最も盛り上がりを見せていた1600年代に東欧で活躍していた呪法劇の名手でした。
『ゲマニョ幽霊』はロシア・ポーランド戦争が行われた頃にラマエが描いた物語とされています。どのようなことを成し遂げるために描かれたのか、本当に世界に「呪法」の影響をもたらしたのか、正しいことはわかっていないのだそうです。
末原さんがラマエの物語に出会ったのは、大学の文化人類学の授業の時。授業で配られた数ページの資料は、戯曲というよりも、儀式の説明書のようなものだったと言います。その後、気になって文献を調べようとしてもどこにも見つけられなかったというラマエの文献。
執筆活動もしている末原さんは、出版社との仕事の中で、ようやく昨年の冬にその文献にたどり着きました。末原さんは『ゲマニョ幽霊』の上演を「一体なんのために演劇をやるのかということの1つの答え」と話します。
特設の芝居小屋での上演というのは、様々な作法や制約があるため、一般的な劇場では上演できないという判断から。ウォークスルー形式で観劇する箇所もあるようで、防寒のできる動きやすい格好での観劇を推奨します。
劇団おぼんろ第22回本公演『ゲマニョ幽霊』は2月9日(木)〜2月26日(日)にゲマニョの芝居小屋にて上演です。公式HPはこちら。
1月の試演公演に参加された方々も、口外禁止の誓約なので、何が行われているのか分からない。そして、どうやら都心から離れた場所での公演ということもあり、少しハードルは高いかもしれませんが、特設の芝居小屋に足を運び、観劇した人にしか分からない秘密を共有してみては…!