二人芝居×60分×アーバン・ポップ・ミュージカルと銘打った新作ミュージカル『NOW LOADING』。相馬光さんの脚本で、演出も務める天羽尚吾さん、作曲も務める海老原恒和さん2人が出演します。2月11日(土)から行われる公演を前に、ゲネプロ&取材会が行われました。作品についてはこちら

社会は戦場?休職中の“ジョニ”が逃げ込む、ゲーム配信の世界

“社会は戦場だ”“男なら根性出せ”とパワハラブラック企業で働く日々に疲れ、有給休暇を使い果たし、休職中の下部。彼は“ジョニ”という名前で会社の恨みつらみをトークしながらゲーム配信を行なっています。そこで出会ったのは、自分とは対照的なキャラクターに見える、スポーツ一筋・ゲーム初心者の“TAI”。戦争ゲームを通して心通わせ始めた2人でしたが、“TAI”には秘密があって…。

撮影:黒瀬友理

根性論を押し付けてくる上司に嫌気が差して、全員参加の飲み会で酔ったふりして誤魔化して、後輩にも上手く教えることができなくて。そんな色々なストレスが徐々に心と体に蓄積していく毎日の中で、帰り道や夜中に見る、なんてことない配信に一瞬現実を忘れ、心を空っぽにする…。ジョニとTAIの姿はまさに現代に生きる私たちそのもの。日常のその先にある、だけどほんの少し現実逃避できる物語となっています。

息遣いが聞こえる劇場で、等身大の物語を届けるミュージカル

本作が上演される会場は東中野・驢馬駱駝(ろまらくだ)。普段は夜景が美しい隠れ家Barで、屋根の一部は遊牧民が使うテントの一種パオとなっている幻想的な空間。中央に位置する螺旋階段も演出に上手く取り込まれており、演出を手がけた天羽さんは「この作品は外の音や街の様子の延長線上、人の息遣いが聞こえる場所が良いと思った」のだそう。

撮影:黒瀬友理

28歳の天羽さん自身、周囲に生き辛さを抱えている人が多いと感じる中で、「この作品が何かを解決できるわけではなく、ライフハック的なものは出てこないけれど、現実逃避して、誰かと話すことで少しだけ救われる。そんな身近なミュージカルが作りたかった」と語りました。

撮影:黒瀬友理

本作は今後さまざまな劇場・キャストで上演することも想定し、最低限のセットで演出されているのだとか。「今回はそのoriginを見届けてほしい」とメッセージを頂きました。

ミュージカル『NOW LOADING』は2月11日(土)から19日(日)まで、中野にある会場・驢馬駱駝(ろまらくだ)にて上演予定。公演日時の詳細は公式HPにてご確認ください。

Yurika

ミュージカルというとファンタジー性がある作品が多いですが、本作はかなり私たちの日常に近い物語。音楽もポップス的で耳馴染みがよく、終演後もスタッフの方が口ずさんでいたのが印象的でした。