『アラジン』『美女と野獣』誕生へ続くきっかけとなった金字塔『リトル・マーメイド』が実写映画化。プレミアム吹替版声優としてアリエル役を豊原江理佳さん、エリック役を海宝直人さん、セバスチャン役を木村昴さんが務めています。『美女と野獣』のチップ役で舞台デビューを果たしたのち、『ライオンキング』初代ヤングシンバ役・大人シンバ役、『アラジン』アラジン役、『ノートルダムの鐘』カジモド役など様々なディズニーミュージカルに出演してきた海宝直人さんに、本作で描かれるエリックの魅力について伺いました。

アラン・メンケンさんがいなければ今の自分はここにいない

撮影:山本春花

−ディズニーミュージカルと縁の深い海宝直人さん。キャスト発表時には“エリックにピッタリ”という声も多かったですが、本作への出演が決まった時はどのように思われましたか?
「嬉しかったですね。アニメーション版の『リトル・マーメイド』はディズニー・ルネサンスの幕開け、転換点になった作品ですし、僕自身アラン・メンケンさんがいなければ今の自分はここにいないだろうなと思います。初舞台も『美女と野獣』(チップ役)ですし、飛躍するきっかけを頂いたのも『アラジン』(アラジン役)に合格させて頂いたのが大きかったので、アラン・メンケンさんの初のディズニー作品である『リトル・マーメイド』の実写版、なおかつディズニー100周年の節目に関われるということは光栄だなと思いますね」

−実写化にあたり、エリックの人物像が深く描かれています。海宝さんから見て、エリックはどのような人物だと解釈されましたか?
「アニメーション版とは変わって(元々は)王家の出身ではないということで、自分のアイデンティティに悩んでいて、凄く現代人に通じる悩みを持っています。周りから求められるものと自分の感じるもののギャップに苦しんでいる。でもアリエルに出会うことで、自分の思いのままに進んで良いと思えます。アリエル自身も実写ではより強く、世界に出ていきたいという思いが描かれているので、エネルギーがとても満ちていて、現代の人も共感できる2人です。またエリックは凄くピュアだし、純粋で真っ直ぐ。飾らない人なのが魅力的だなと思いましたね」

−アリエルがエリックに惹かれたシーンでも、エリックの魅力がとても描かれていますね。
「自分の意思で進みたいという思いを吐露するエリックには凄く共感するし、この人は素敵なものを中に秘めている人だと伝わりますよね。アリエルもそれを見ているからこそ、惹かれていきます。このシーンの丁寧な描写が、エリックの魅力を引き出しているなと思いますね」

−エリックに共感できる部分、自分と似ていると感じられた部分は?
「ひと聞き惚れは凄く分かるんですよね。美しい歌声とか、自分の心に響く歌を歌う人に、凄い“おおー!”となる気持ちは凄いわかります。共演して素敵な歌声の人に出会った時はよく興奮してます」

−エリックと異なる点は?
「船が…あんな船に乗ったらすぐ酔うだろうなと(笑)。1曲歌えないですね(笑)」

信じた夢や思いを叶えるために、前に進む事の重要性を感じさせてくれる

撮影:山本春花

−エリックの新曲「まだ見ぬ世界へ」について、初めて聞いた時、どのような印象を受けられましたか?
「凄くダイナミックな、ミュージカルソングらしいミュージカルソングだなと思いました。実写版で今まで新しく書かれてきた曲はモダンな印象を持っていたんです。例えば『アラジン』の「スピーチレス」だったり、新曲ではないですが「フレンド・ライク・ミー」もラップ調になったり、現代の価値観や音楽にマッチする新曲の追加というイメージ。それはそれで素晴らしいと感じていたんですけれど、今回のエリックは昔からあったんじゃないかと思うくらい王道のミュージカルソングだなというのが最初の感覚でしたね。オーケストレーションも華やかで豪華ですし、歌い始めから最後に向かってダイナミックに盛り上がっていく感じも、まさにミュージカルソングだなという感じがしました」

−ミュージカルファンとしては、海宝さんがリン=マニュエル・ミランダの手がけた新曲を歌うというのも嬉しいポイントです。
「ミュージカル界から見ても、映画界から見ても、音楽界から見ても、トップランナーを走っている方なので、彼とアラン・メンケンさんの作った楽曲に、吹替という形ではありますが、参加できて嬉しいですよね。(アリエルが歌う)新曲「何もかも初めて」も好きです。現代的な要素があるのに、しっかりと作品に馴染んでいるのが凄いなと思います」

撮影:山本春花

−普段のミュージカル作品とは異なり、声のみでの表現となります。声でも感情が豊かに伝わってきましたが、表現の仕方で工夫された部分、苦労された部分はありますか?
「すごくディレクションの方たちに助けられましたね。舞台とも映像とも違って、相手役の方とリアルにお芝居できるわけではないので、距離感が難しくて。クリエイターの皆さんと一緒に作り上げたエリック像だなと思っています。

歌に関しても、ミュージカルであれば自分の思いや解釈を乗せてお芝居していきますけど、今回は映像があって、表情もできていて、基本的に口に合わせていくことを求められるので、今まで全く経験したことのない感覚でした。既に出来上がっている表情から出ている声でなければいけないので、“こういうニュアンスで歩きながら歌っているから、たぶんビブラートはかからないな”とか、その場で歩いたり動いたりしながら、細かい部分までこだわって作っていきました」

−ラストは、今『リトル・マーメイド』を実写化する意義が伝わってくる感動的なシーンでした。海宝さんは、本作の魅力はどのようなところにあると感じられていますか?
「普遍的なメッセージ性がこの実写版で改めて色濃く伝わっていくなと思いました。現代に生きる人たちが凄く共感するポイントが、アリエルでもエリックでもより色濃く描かれています。エリックは母親、アリエルは父親との間にあった衝突が描かれていて、でも最後は祝福されながら自分たちの思う世界に飛び出していく姿は、凄く勇気を与えてくれますよね。自分の信じた夢や思いを、叶えていいんだ、叶えるために前に進んでいいんだと感じさせてくれる作品です。

あとはオーケストレーション、音楽の豪華さ。あれはもう劇場で聴いたら感動ですよね。エンターテイメントとしても超一級の作品になっておりますので、ぜひ劇場で見てほしいです」

撮影:山本春花

映画『リトル・マーメイド』は6月9日(金)から大ヒット公開中。上映スケジュールは各劇場のHPをご確認ください。

Yurika

海宝さんの美しい歌声と表現力が発揮される「まだ見ぬ世界へ」は必見!ぜひ音響や映像の迫力が伝わる映画館で見ていただきたい作品です。