村上春樹さんの長編小説『ねじまき鳥クロニクル』。イスラエルを拠点に世界で活躍する振付家・演出家、インバル・ピントさんを筆頭に様々なジャンルの鬼才が集結し、2020年に初めて舞台化されました。しかし、コロナ禍で無念の公演期間短縮。そんな大きな話題を集めた舞台がついに今秋再演されます。

穏やかな日々が猫の失踪をきっかけにバランスが崩れ始める

世界的に評価の高い村上春樹さんの長編小説『ねじまき鳥クロニクル』。舞台は世田谷の閑静な住宅街から始まります。主人公のトオルは姿を消した猫を探しに行った近所の空き家で、女子高生の笠原メイと出会います。トオルを「ねじまき鳥さん」と呼ぶメイとは何故か不思議な絆が生まれていきます。

また、赤いビニール帽子をかぶった“水の霊媒師”加納マルタが現れ、満州外蒙古で起きたノモンハン事件の壮絶な戦争の体験談が語られます。

ある日、妻のクミコが失踪してしまいます。そこにクミコの兄、綿谷ノボルから連絡があり、一方的にクミコと別れるように告げられます。不審に思ったトオルは綿谷ノボルがクミコの失踪に関係しているのではないかと疑念を抱きます。その疑念が次第に確信に変わっていくと同時に、何か得体の知れない大きな流れにトオル自身が巻き込まれていることに気付き始めます。

何かに導かれるように、隣家の枯れた井戸へ入るトオル。トオルは、はたしてクミコを探し出すことができるのでしょうか。

世界的なトップクリエイターが集結!村上ワールドを舞台で表現

演出・振付・美術を担当するのは、イスラエルを拠点に世界的に活躍し、日本ではミュージカル『100万回生きたねこ』などを手掛け、高い評価を受けているインバル・ピントさん。脚本・作詞は、演劇団体「マームとジプシー」を主宰し、幅広いジャンルを横断してコラボレーションされている藤田貴大さん。今回もインバルさんや、脚本・演出のアミール・クリガーさんとともに打ち合わせを重ねながら執筆。国境を超えた共同脚本となっています。

また、音楽は藤田さんが絶対的信頼を置き、映画『花束みたいな恋をした』やNHK『あまちゃん』などの作品でも活躍する即興演奏家の大友良英さん。

世界的に活躍するクリエイターたちが集結し、村上春樹さんの謎多き世界を芝居・コンテンポラリーダンス・音楽とジャンルを超えて表現します。

出演者もクリエイターたちと同じく、ジャンルを超えて活躍している豪華な表現者たちが集結!

初演に引き続いて、主人公のトオル役に、成河さんと渡辺大知さんが二人で一人の人間の多面性を演じます。そして、物語へと誘う謎の女子高生、笠原メイ役は門脇麦さんが演じます。

さらに、物語で圧倒的な悪として登場する綿谷ノボル役には、大河ドラマ『どうする家康』への出演や、舞台『ハリーポッターと呪いの子』で8月よりハリーポッター役を務めるなど、活躍の幅を広げ続けているダンサー・俳優の大貫勇輔さん。(Audienceでも以前インタビューに答えてくださいました!最後に希望を渡せる作品に。『ハリー・ポッターと呪いの子』大貫勇輔インタビュー

Wキャストには、15歳で東京バレエ団に入団後、主役デビューを飾った『眠れる森の美女』をはじめ多数の作品で活躍。現在はバレエだけでなく演出や振付など様々な表現活動を行っている首藤康之さんが務めます。

トオルを不思議な世界へ誘う謎めいた姉妹・加納マルタ・クレタ役には、宝塚歌劇団・花組娘役トップスターとして活躍。昨年9月の退団後も、ミュージカルコメディ『ファースト・デート』や、ダンスエンターテイメント集団「梅棒」の本公演への出演など精力的に活躍される、音くり寿さん。

本作は、2023年11月7日(火)~26日(日)まで東京・東京芸術劇場プレイハウスで上演。その後、12月1日(金)〜3日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、12月16日(土)・17日(日)愛知・刈谷市総合文化センター大ホールで行われます。東京公演の一般前売は7月26日(水)11時から。公式HPはこちら

チケットぴあ
おむ

『ねじまき鳥クロニクル』は原作でも考えさせられる部分が多く、読む方によって解釈が変わる作品の印象があります。物語に「空白」があると感じるのですが、その「空白」を表現するのに舞台という表現方法は凄くマッチするのではないかと感じます。トップクリエイターが集結して作り上げられる本作。観ればきっと今後の刺激になると確信しています。