昭和20年の旧満州国大連市に暮らす日本人の様子を描いたこまつ座『連鎖街のひとびと』。11月9日(木)に紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMYAにて幕を開けます。

「芝居が荒廃した現実を、再生させる手掛かりになるのか…」

こまつ座は、1983年に劇作家の井上ひさしさんが座付作家として立ち上げ、翌年『頭痛肩こり樋口一葉』で旗揚げされました。以降は、井上ひさしさんに関わる舞台を専門に上演しています。今回上演される『連鎖街のひとびと』は、2000年に初演された作品です。

舞台となるのは、昭和20年の旧満州国大連市。国家のスローガンにより移住したものの、ロシア軍が満州に侵攻し、関東軍は逃亡。日本に帰れずに取り残された劇作家2人に課せられた使命は、通訳将校歓迎会の台本作りでした。

どの地でも必死で生きようとする人々の物語は、現代の私たちに生きる力を与えてくれます。笑いと軽やかな音楽、そして演劇賛歌に包んで届けられる作品です。

演出を手掛けるのは文学座の鵜山仁さん。2000年の初演でも演出を手がけていました。言葉から着想されるイメージをあらゆる表現・素材を使って劇空間に現す力に定評があります。2020年に紫綬褒章を受章。こまつ座では過去に『父と暮せば』や『円生と志ん生』『雪やこんこん』などの演出を手掛けています。

鵜山さんは上演にあたり「もしかしたら演劇は、そのために、何かの役に立つのか…芝居なんてものが、荒廃した現実を、再生させる手掛かりになるのか…これはいつの世にも共通する、われわれ演劇人に対する、大事な問いかけです。初演以来23年を経て、「連鎖街」に連なる志を、もう一度手繰り寄せたいと思っています」とコメントしています。

「念願の“こまつ座”」初出演のメンバーも

出演者は、塩見利英役に高橋和也さん。
片倉研介役に演劇企画集団THE・ガジラの看板俳優の千葉哲也さん。

陳鎮中役に劇団花組芝居の主宰でもある加納幸和さん。
今西錬吉役に、文学座の鍛治直人さん。

石谷一彦役に、俳優活動だけでなく、クリエイター、演出家、自身のYouTubeチャンネル「クロネコチャンネル」でも活動を行なっている西川大貴さん。

崔明林役に初演から続投の朴勝哲さん。
市川新太郎役に文学座の石橋徹郎さん。
ハルビン・ジェニィ役に「満州の女優を演じるのは3度目」という霧矢大夢さんです。

加納さん、鍛治さん、西川さん、霧矢さんは本作がこまつ座に初出演となります。

こまつ座『連鎖街のひとびと』は、11月9日(木)〜 12月3日(日)に紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演です。チケットの詳細は公式HPをご確認下さい。

一部公演終演後には、スペシャルトークショーが予定されています。トークショーには、開催日以外のチケットをお持ちの方も入場が可能です。

登壇者は、11月16日(木)13時公演後には演出の鵜山仁さん。11月20日(月)13時公演後には高橋和也さん・千葉哲也さん・加納幸和さん・鍛治直人さん。11月26日(日)13時公演後には霧矢大夢さん・石橋徹郎さん・朴勝哲さん・西川大貴さんが登場します。(※出演者は都合により変更の可能性があります)

ミワ

どんな場所でも一生懸命に生きる登場人物たちが愛おしい作品です。21年ぶりの再再演に期待が高まります。