2024年2月4日より世田谷パブリックシアターで上演の舞台『エウリディケ』。アメリカの人気劇作家サラ・ルールさんが、ギリシャ神話を現代を舞台に再構築した戯曲で、世田谷パブリックシアター芸術監督の白井晃さんの演出で日本初演が実現しました。エウリディケ役に水嶋凜さん、オルフェ役に和田雅成さんという新進の主演コンビを中心に、ギリシャ神話の悲劇を現代感覚で描いた舞台です。

新解釈でふくらむギリシャ神話の黄泉の世界。崎山つばさの1人二役にも注目

『エウリディケ』のモチーフとなったギリシャ神話といえば、竪琴弾きのオルフェウスと妻のエウリディケのエピソードです。亡くなった妻のエウリディケを愛するあまり、オルフェウスは冥界に赴いて冥界の王ハデスに妻を返して欲しいと懇願します。ハデスは「冥界から抜け出すまでの間、決して後ろを振りむいてはならない」と条件をつけてエウリディケを連れて行くことを許しますが、オルフェウスは我慢できずに振り返ってしまい…という“見るなのタブー”で知られています。

この悲劇をサラ・ルールさんが戯曲化し、2007年に米ニューヨークで初演。ニューヨークタイムズ誌では「神秘的で素晴らしい前衛的な作品」とも評された芝居を、『オーランドー』でもサラさん作品の演出を手がけた白井さんが演出。現代を舞台にしたラブ・ストーリーが日本初初演です。

原典のギリシャ神話からアレンジされて、主人公はオルフェウスからエウリディケに。エウリディケ役の水嶋凜さんは2021年に女優デビュー、母は斉藤由貴さんで、舞台出演は3作目になります。エウリディケの夫で音楽家のオルフェ役には和田雅成さん。20歳で俳優デビューすると、舞台『刀剣乱舞』など多くの2.5次元作品に出演してきた他、ミュージカル『ヴィンチェンツォ』などにも出演の若手俳優です。

この作品は、生者と死者の間の愛をテーマにしています。エウリディケはオルフェウスと結婚式を挙げるその日に、危険でおもしろい男に見初められて、「亡くなった父からの手紙を渡してもらえる」という言葉につられ、手紙を手に入れたもののはずみで転び落ちて死んでしまいます。そして死者の国で栗原英雄さん演じる父親と再会し、冥界に来るときに失った記憶を取り戻して行きます。

エウリディケを探し続け、地獄の門まで辿り着いたオルフェ。エウリディケを取り戻せる可能性を掴みますが、冥界を支配する地下の国の王から「振り返って決して彼女を見てはいけない」という約束をさせられ…。危険でおもしろい男と地下の国の王は崎山つばささんが演じます。

恋人同士の愛、父と娘の愛、地下の国の王の奇妙な愛…と、エウリディケの周囲には様々な形の愛が描かれます。ギリシャ神話をモチーフに、キャストたちが現代を舞台にどんな愛を見せてくれるのでしょうか。

『エウリディケ』は2024年2月4日(日)から18日(日)まで世田谷パブリックシアターにて、2月24日(土)と25日(日)には大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演されます。チケットの詳細は公式HPをご確認ください。

オルフェウスとエウリディケの悲劇が現代にどんな解釈で舞台になるのか。原典から大きくアレンジされた世界観に注目のお芝居です。