アメリカ演劇を代表する劇作家テネシー・ウィリアムズの名作『欲望という名の電車』。鄭義信(チョン・ウィシン)さん演出の元、舞台初出演・初主演を果たす沢尻エリカさん、『橋からの眺め』で13年ぶりの舞台出演を果たした伊藤英明さんらが集結しました。

数々の名女優が演じたブランチに、沢尻エリカが挑む

劇作家テネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』は、1947年にブロードウェイで初演を迎え、ピューリッツア賞を受賞。1951年に映画化され、アカデミー賞を受賞した名作です。日本では1953年に初演を迎え、以降、秋山菜津子さん、大竹しのぶさんら数々の名女優が主人公ブランチを演じてきました。

そして、2024年2月、新国立劇場 中劇場・森ノ宮ピロティホールにて、鄭義信(チョン・ウィシン)さん演出版『欲望という名の電車』が上演決定。マイノリティ社会の中にある“希望”を描き続けてきた鄭義信さんは、本作をいかに演出するのでしょうか。

主演のブランチ役には、本作が舞台初出演にして初主演となる沢尻エリカさん。約4年ぶりの芸能活動再開ということで、期待が高まります。ブランチと反発し合うスタンリー役には、『橋からの眺め』で13年ぶりの舞台出演を果たした伊藤英明さん。

ブランチの妹・ステラ役には清水葉月さん、ブランチに好意を抱くミッチ役に高橋努さんが務めます。

そのほか、ステラの大家ユーニス役に青木さやかさん、ユーニスの夫のスティーブ役に福田転球さん、スタンリーのポーカー仲間でもあるパブロ役に中村まことさん、医師役に久保酎吉さん、看護師役にうらじぬのさん、コワルスキー家にやってくる集金人の若者役に青木瞭さんが出演します。

舞台はアメリカ南部、ニューオーリンズ。「欲望」という名の電車に乗って、「墓場」という電車に乗り換えて、「天国」と呼ばれる猥雑な下町に降り立ったブランチ・デュボアは、妹のステラ・コワルスキーを訪ねます。

二人は南部の地主の家に生まれ、裕福な少女時代を過ごした姉妹でした。しかしブランチは、実家のベル・レーヴ(美しい夢)という名の大農園を失ったことをステラに告げ、妹とその夫スタンリー・コワルスキーが暮らす質素な部屋に身を寄せます。

ポーランド系労働者である義弟の野蛮な言動を嫌悪するブランチと、彼女の上流階級然とした振る舞いに我慢がならないスタンリー。二人の軋轢が高まるなか、ブランチはスタンリーの友人ハロルド・ミッチェル(ミッチ)との出会いに最後の幸福をつかもうとします。しかし愛は非情な終わりを迎え、ブランチの精神は壊れてゆくことに…。

演出を務める鄭義信さんは、劇団黒テントを経て、1987年に新宿梁山泊の旗揚げに参加。2021年3月には、浅草九劇をホームグラウンドとした新劇団ヒトハダを旗揚げしています。2023年6月にはTHEATER MILANO-Zaのオープニングシリーズとして舞台『パラサイト』の脚本・演出を務めました。

鄭義信さんは本作について下記のようにコメントを寄せています。

「ついに手を出してしまった!大名作である!テネシー・ウィリアムズである!「欲望という名の電車」である!これまで、数々の名演出家が挑んできた。僕のようなものが、しゃしゃり出てくる作品ではないのだ。それでも、冒頭のブランチの「「欲望」という名の電車に乗って、「墓場」という電車に乗り換えて、六つ目の角で降りるように言われたんだけど……そこが、「天国」だよって」という台詞に、心がグラグラしてしまう。磁石のように惹きつけられてしまう。そして、最後の台詞も……。

 あらためて読みかえしてみると、テネシー・ウィリアムズが劇中に散りばめた台詞のどれもが、蛇のようにまとわりついてくる。夢の中までも、追いかけてきそうである。この魅惑的で、危険な台詞とどう対峙していくのか、そして、ニューオリンズの蒸し暑く、湿った街の匂いをどう再現すればいいのか……課題は山積みだ。

 高慢な中に孤独の影を感じさせる沢尻エリカさんと、柔らかな心を硬い肉体で包み隠そうとしているかのような伊藤英明さんをはじめとする、心強い俳優たちと、深い密林をかき分けるかのように、テネシー・ウィリアムズの台詞と格闘しようと思う」

舞台『欲望という名の電車』は 2024年2月10日(土)から2月18日(日)まで新国立劇場 中劇場にて、2月22日(木)から2月25日(日)まで森ノ宮ピロティホールにて上演。チケットは、11月2日(木)12:00から先行販売、12月17日(日)10:00から一般販売開始予定。詳細は公式HPをご確認ください。

Yurika

豪華キャストが集結、また鄭義信さんの演出ということで、『欲望という名の電車』に新たな色が加わりそうです。