荒木飛呂彦さん原作、シリーズ累計発行部数1億2,000万部を誇る世界的人気コミックシリーズを原作にした世界初のミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』。上演決定時から大きな話題を呼んだ本作の製作発表が行われ、ジョジョ(ジョナサン・ジョースター)役の松下優也さん・有澤樟太郎さんはじめとするキャスト一同と、演出・振付を務める長谷川寧さんが製作発表会見に臨みました。

ファンタジーではなく、リアルさを持ち帰ってもらえたら

製作発表記者会見では、松下優也さん、有澤樟太郎さん、宮野真守さん、清水美依紗さん、YOUNG DAISさん、東山義久さん、廣瀬友祐さん、別所哲也さんと演出・振付を務める長谷川寧さんが登場しました。

会見では、初公開となるプロモーション映像を公開。『1789 -バスティーユの恋人たち-』『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』などを手がけたドーヴ・アチアさんの音楽も流れており、本作への期待感を高めてくれます。

https://youtu.be/Ak98ilSlK10

本作で演出・振付を務めるのは、演出家・振付家・パフォーマーとして国内外で活躍し、2023年には『ピーター・パン』の新演出を手がけた長谷川寧さん。『ピーター・パン』ではパルクールを取り入れるなど、身体表現を活かした演出が魅力です。ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』の演出プランについてはまだ明かせない部分が多いと前置きしつつ、「元々ノンバーバルの作品を作ってきて、色々なジャンルをやってきたので、ミクスチャーして総合芸術として届けられたら」と思いを明かしました。

そのために衣裳の久保嘉男さん(yoshiokubo)をはじめとする、ミュージカルとは異なるジャンルで活躍するスタッフも加え、新しい化学反応が生まれるように製作をされているのだそう。また「ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』の芝居とダンスがシームレスに繋がっている感じが、フィジカルなイメージの強いジョジョに合うのではないか」と考えるなど、様々な要素を掛け合わせ、新しい芸術として本作の構築を試みていることを語りました。

また、本作について「少年漫画ということで少年向けだと思われる方もいるかもしれないのですが、今改めて読んでみると分かることが色々とあります。日本で社会的な格差が生まれていることや、オリンピック開催後に経済が落ち込む国が多いという統計もあることを踏まえて、自分たちのこの先どうなっていくかというのはすごく興味があって。その中で(本作の舞台である)産業革命のロンドンで、貴族と、ディオのような貧民街からのし上がっていく人が混ざり合う姿は、身近に感じてもらえるようになるのではと思っています。またコミックスの質感がある中で、再現というものにフォーカスを当てる場合もありますが、今回は人間味のある作品だと思いますので、ファンタジーではなく、リアルさを持ち帰ってもらえたら」と演出の核となる考えを明かしてくださいました。

「痛みも喜びに変えて」「色々な人と出会って洗練されていく様子が主人公として感情移入できる」

“ジョジョ”の愛称で世界中から愛される本作の主人公ジョナサン・ジョースター役を務めるのは、松下優也さん、有澤樟太郎さんのWキャスト。松下さんは本作の出演にあたって、「まず帝国劇場でジョジョを舞台化するんだというところで1(いち)驚きですよね。で、2(に)驚きは、ディオじゃなくてジョナサン・ジョースターなんだって。僕すっごく周りに言われるんですよ、ディオじゃなくて?って。僕そんな風に見られてたんだ」と松下さんらしいユーモアを交えて挨拶。

作品の中で好きなシーンについては、「ジョナサンが木に手を触れて花が咲くところ。衝撃でした」「ブラフォードの戦いのシーンでの“痛みがあるからこそ生を感じられて、喜びを感じられる”というセリフは、今回の舞台にも通ずるところがあるんじゃないかと。絶対に簡単な作品ではないと思っていて、新作を作る上で大変になることも出てくると思うので、その痛みも喜びに変えられたら」「他にもあるんですけどね…ラストの…」と次々に語り、本作への愛の深さが窺えます。

一方、有澤さんは「この役を演じたいと思った人が何人いただろうかと思うと、身の引き締まる思い」と緊張感を見せ、「ジョジョファンの人が周りにすごくいらっしゃって。この前共演していたなだぎ武さんもジョジョが大好きで、大事にされていたフィギュアを僕に託してくれたんです。これだけ好きなジョースターを頼むぞというメッセージ性を感じて、プレッシャーはもちろん感じますけれど、託された身として頑張りたい」とエピソードを交えて意気込みを語りました。

印象に残っているシーンについては「ディオがダニー(ジョナサンの愛犬)を蹴飛ばすところが衝撃で。こんな描写があるんだとびっくりしました」と明かしつつ、「ジョナサン・ジョースターが未熟なところからどんどん研ぎ澄まされて、色々な人と出会って洗練されていく様子が主人公として感情移入できる」とジョジョの魅力を語りました。

ジョジョの宿命のライバルであるディオ・ブランドー役の宮野真守さんは、声優としてアニメ版のオーディションを受けたこともあることを明かし、「自分の“初ジョジョ”がまさかミュージカルになると思っていなかった」という驚きがあったと言います。「僕の“初ジョジョ”を捧げました」と笑いを誘いつつ、「彼の心情を繊細に描いていけたら」と役柄への熱い思いが垣間見えました。

また、宮野さんは帝国劇場での上演作品『王家の紋章』に出演経験があることを踏まえ、「『王家の紋章』は漫画原作で、日本オリジナルのミュージカル、主人公の宿命のライバル役。あれ…どこかで聞いたことあるな…今回も漫画原作、日本オリジナルミュージカル、主人公の宿命のライバル役…僕しかいなかったんだなと思っております!」とユーモアを交えつつ、「様々な舞台経験を経て熟してきた経験値を、今回のジョジョで全てぶつけられたら」と意気込みます。

ジョジョの想い人であるエリナ・ペンドルトン役の清水美依紗さんは小学生の頃にアニメを観ていたのだそう。「自分の中では正反対じゃないかという役で。気高く、心美しく、気丈な女性というのを自分が演じられるのか不安な部分もありましたが、キャストの皆さんの顔を見て、足を引っ張らないように頑張りたいなと思いました」とコメント。また、念願の帝国劇場出演に「すっごく楽しみなんです」「いつか帝国劇場に立ちたいなという夢を学生の頃に抱いて、こんなに早く立たせていただけるなんて」と喜びを語りました。

貧民街の悪党でのちにジョジョの仲間となるスピードワゴン役のYOUNG DAISさんは人生初のミュージカル出演。「帝国劇場のヤバさが全くわからない俺が恥ずかしい」と帝国劇場への初出演の戸惑いも明かしつつ、「熱くスピードワゴンを演じていきたい」と意気込みます。

闇の力に対抗する〈波紋法〉を“ジョジョ”に伝授するウィル・A・ツェペリ役を務めるのは、東山義久さんと廣瀬友祐さん(Wキャスト)。東山さんは大のジョジョファンで、原作・アニメ・文庫本を何度も読み、観ていたと言います。第9部まで続いているジョジョシリーズの中で、「1部のファントムブラッドならドラマを作れるし、エンタメ性に逃げるのではなく、個々の役者がそれぞれの役を通して作品を創れるのでは」という期待感を語りました。

また、東山さんは20代でトートダンサーとして『エリザベート』に出演、30代で『レ・ミゼラブル』にアンジョルラス役で出演、40代に『ミス・サイゴン』のエンジニア役として出演と、節目で大きな挑戦をしてきた場所が帝国劇場だと言います。「世界初のミュージカル、ジョジョの独特の世界を創れるということで、これまでの3作品とはまた違う景色が見られるのでは」と期待を語りました。

廣瀬さんは「恥ずかしながら、この作品が決まるまで、作品を観たことがなかったんですけれど、出演が発表された時は周りからツェペリ役は意外という反応をもらいました。どんな印象なんだろうと思いながらも実際に作品を観てみて、ツェペリは東山義久さんと廣瀬友祐にしか出来ないだろうなと…ここ笑って欲しかったんですけど(笑)」とおどけつつも意気込みをコメント。

ジョジョの父親ジョースター卿を演じるのは、別所哲也さん。「お話を頂いた時にジョジョですか?と聞いたんですけれど…ジョジョではなく父です(笑)。運命とは何か、生きるとは何か。皆さんと一緒に冒険できれば」と本作への期待を語ります。

数々のミュージカル作品で帝国劇場に立ち続けてきた別所さんだからこそ、「ブロードウェイ、ウエストエンドで創られた作品を立体化し、俳優として届けるということも素晴らしいことなんですけれども、日本から生まれる作品がミュージカルとして届けられるということを非常に嬉しく思いました」とコメント。シンガポールの作品に声優として参加した際、国際映画祭にて日本のアニメの影響力を感じ、その中でも『ジョジョの奇妙な冒険』の世界的な人気を感じていたのだそう。

初めて帝国劇場に立つキャストも多い中で、「レミゼですとね、緞帳が2000人の皆さんの熱気でグッと押されるんですよ。お客様の気迫がすごいんです、だからその想いに負けるな!」と鼓舞。立ち上がって帝国劇場について熱く語ってくださいました。

撮影:山本春花

また本作はミュージカル作品ということで音楽についても気になるところ。「めちゃくちゃかっこいいです。仮歌の英語詞を聴いていて、どうやって歌って、どうやって演出するのか凄いワクワクします。ミュージカルでありつつもライブ感もあって、楽しみ」と松下さん。有澤さんは「かっこいい洋楽の雰囲気で、難しいけれどなんとか自分のものにしたいというもどかしさと戦っている」と語ります。別所さんは「ジョジョの作品自体が持っている筆圧、ゴシックでアバンギャルドな感じや、星の輝きを持った楽曲もあれば、泥臭い楽曲もある」と表現しました。

ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』は2024年2月6日(火)から2月28日(水)まで帝国劇場にて上演。その後、札幌・兵庫の全国ツアーが行われます。チケットの詳細は公式HPをご確認ください。

Yurika

独特な効果音やバトルシーンも印象的な本作が、どのように“ミュージカル”として立ち上がるのでしょうか。まだ明かせない部分も多い中で、キャストが「かっこいい」と口を揃えた音楽も楽しみです!