PARCO PRODUCE『粛々と運針』や、まつむらしんご監督によって映画化された『あつい胸さわぎ』の戯曲を手掛けた横山拓也さん。そんな横山さんの演劇ユニットiakuの新作公演『モモンバのくくり罠』が11月24日にシアタートラムにて幕を開けます。

iakuの2年ぶりの新作公演。「家族価値」と子の生き方の関係性に迫る

「iaku」は、劇作家・演出家の横山拓也さんによる演劇ユニット。丁寧に作られた脚本と、鋭い観察眼と綿密な取材を元に立ち上げられている緻密な会話劇が特徴です。

代表作に、第15回日本劇作家協会新人戯曲賞を受賞した『エダニク』、第65回岸田國士戯曲賞にノミネートされた『The last night recipe』、PARCO PRODUCE『粛々と運針』。そして、まつむらしんご監督によって映画化された『あつい胸さわぎ』などがあります。

iakuの2年ぶりの新作公演『モモンバのくくり罠』は、親が形成した「家族価値」と、それに縛られた娘の生き方を見つめる現代劇です。

妻が罠猟や農作などを行う自給自足の生活を望み、結婚を機に山の中に住居を構えたある夫婦。夫は妻の望む生活を成り立たせるために別宅で暮らし、一般企業での勤務を続けて経済的な支えとなります。

2人の間に生まれた娘は、幼い頃から母親と一緒に、山での暮らしを当たり前に過ごしていました。しかし、小学校に通いだすと、同級生の生活との違いに違和感を持ち始めます。山暮らしに馴染んだ母が周囲から「モモンバ」と呼ばれることにも嫌悪感を抱き、徐々に母に反発していきます。

“ニュースにはならない”親子の苦悩

横山さんは旧統一教会の「祝福二世」の問題に触れつつ、「ニュースにはならない、親からの締め付けによる苦悩を抱えている人はたくさんいます。親側にも正義があり、信念があって、立場が変われば見え方や感じ方は変わります。ですが、圧倒的に受け身の環境からスタートする子の側に、ハンディキャップはあります。そういう子どもたちは、自身の過去や、親をどのように見つめることができるのか、そして自立心や自尊心を獲得するためには何が必要なのか。 逆に、親はどうやって子どもの人格を認めるのか」と問題を投げかけます。

本作の上演について「シビアな問題ですが、ユーモアのある関西弁の会話 と、謎を追いかける構成、視覚的にも楽しめる山の暮らしを描写しながら、「家族価値」と子の生き方の関係に迫るドラマを創作します。 こうやって言語化してみて、ふと、親子間のすれ違いをテーマにした作品を何度もつくっていることに 気づき、不思議に感じています。親であり、子でもあった私自身が、人生の折り返しを過ぎた今、一体何にこだわっているのか、作劇を通して探し出すことが出来たらとも思っています」とコメントしました。

母親役を演じるのは、舞台 こまつ座『闇に咲く花』や『貧乏物語』、パルコプロデュース『エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男〜』、iaku『あつい胸さわぎ』、山田洋次監督の映画『こんにちは、母さん』などに出演している枝元萌さん。

娘を演じるのは、祷キララさん。映画『サマーフィルムにのって』や、ドラマ『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』、日本ガイシの企業CMでもお馴染み。舞台ではヨーロッパ企画『ギョエー!旧校舎の77不思議』や、玉田企画『夏の砂の上』『ヨン』などに出演しています。

そのほか、緒方晋さん、橋爪未萠里さん、八頭司悠友さん、永滝元太郎さんが出演します。

iaku『モモンバのくくり罠』は、11月24日(金)〜12月3日(日) シアタートラムにて上演。その後、12月8日(金)〜12月10日(日) に大阪・ABCホールにて上演を予定しています。詳細は公式HPをご確認下さい。

ミワ

不思議な関係性の登場人物たちから、家族の在り方、他人との境界など、様々なことを考えさせられそうですね。