演劇集団キャラメルボックスによる、恒例の年末公演「クリスマスツアー」。2023年に上演されるのは、2000年に上演された『クローズ・ユア・アイズ』。23年ぶりの再演となる作品のテーマは、「生と死」です。
たとえ「死んでも」会いに行く
舞台は大正時代。大正12年12月22日の早朝、マルセイユ発横浜行きの客船の中で、新進画家の香取武三が息を引き取りました。
1年前からパリに留学していた武三は、関東大震災の報を受け、震災で行方不明になった恋人の幸代を探すため、急いで帰国の途へ。しかし、急な帰国のために不眠不休で帰りの旅費を稼ごうとしたため、武三は無理がたたって肺炎をこじらせてしまい、死に至ってしまったのです。
死に至ってしまった……のですが、心臓が止まった直後、何故か武三は目を開けました。武三を迎えに来た天使のプロキオンは、武三に「死」を告げるのですが、目を覚ましてしまったばかりに信じません。
日本に到着して、いとこの医者に診てもらって「死亡」を確認しても、信じません。プロキオンの再三の呼びかけにも、応じません。こうして、やがて朽ちていく体をもったまま、武三の幸代探しが始まります。
『クローズ・ユア・アイズ』は、1923年9月1日に発生した未曾有の大災害である「関東大震災」を題材にした物語。現在9月1日は「防災の日」として制定されていますが、2023年は「関東大震災」から100年の節目の年となります。そんな節目の年に23年ぶりに再演されるのは、この作品と震災に対しての思いを感じます。
3度目の主演に挑む鍛治本大樹と名プレイヤー畑中智行がタッグを組む
主演をつとめるのは、外部作品にも多く出演しているほか、アニメや映画の吹き替えなど声優としても活動している鍛治本大樹さん。2018年のクリスマスツアー『リトル・ドラマー・ボーイ』以来の主演で、同劇団で3度目の主演作となります。
プロキオンを演じるのは、畑中智行さん。2000年に入団後、同劇団では何度も主演をつとめ、外部作品にも多数出演している名プレイヤーです。
本作で、唯一の初演キャストとなる岡田さつきさんは、初演時とは別の役である長塚米子・香取はつを演じることになり、初演を知る人にはまた新たな発見になるかもしれません。
また、2023年版では、一部Wキャスト制を採用。早海亜衣理さんと南澤さくらさんのWキャストで島木茜・伊藤雅美を演じます。公式発表によると、南澤さくらさんは本作で劇団本公演に初出演とのこと。一体どんなお芝居を見せてくれるのか注目です。
本作は、Wキャストを含めて全17名の大所帯。公式サイトで公開されている鍛治本さん・畑中さんのコメント動画では「(作中に)次から次へと、うるさいな人が出てくる」「(稽古場が)にぎやかで、うるさいです(笑)」と、ほほえましいエピソードが明かされています。
『クローズ・ユア・アイズ』は、12月9日から12月10日まで、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。12月20日〜12月25日にはサンシャイン劇場にて東京公演が上演されます。チケットの詳細はこちら。
キャラメルボックスのクリスマスツアーを見ないと年が越せない!という方も多いのではないでしょうか。 キャスト一新ということで、初演時とはガラッと雰囲気が変わると思いますので、その辺りも楽しみなポイントの1つですね。