2023年、東急歌舞伎町タワーにオープンした東京・THEATER MILANO-Zaのオープニングシリーズラストとなる作品Bunkamura Production 2024『ハザカイキ』の上演が決定しました。脚本家・演出家・映画監督として活躍の続く三浦大輔さんの3年ぶりの新作で、芸能界を舞台に“時代の価値観の変容に踊らされる人々”を描きます。主演はアーティストとしての活躍はもちろん、俳優としても精力的に活動している丸山隆平さんです。

時代に振り回されながら葛藤し続ける人間たちを描いた“問題作”

過去3回シアターコクーンで演出を手がけ、THEATER MILANO-Zaに初登場となる三浦大輔さん。劇団「ポツドール」として上演した舞台『愛の渦』で岸田國士戯曲賞を受賞。2014年に自ら監督・脚本で映画化し、Bunkamuraシアターコクーンには、2015年にブラジルの作家ネルソン・ロドリゲスの代表作『禁断の裸体』の演出で初登場。2016年に朝井リョウさんの第148回直木賞受賞作『何者』の映画化で監督を務め、舞台『そして僕は途方に暮れる』『物語なき、この世界。』でもリアルな人間描写が話題となりました。『そして僕は途方に暮れる』は2023年1月、藤ヶ谷太輔さん主演にて映画化されています。

3年ぶりの新作『ハザカイキ』は、6年以上前から構想があったという三浦さん念願のテーマである、“時代に振り回されながら葛藤し続ける人間たち”を描きます。芸能界を舞台に、マスコミとタレントという関係性の中で見えてくる人間たちの会話劇です。

三浦さんは本作について「昨今、人は自分が犯した罪に対して、本来は謝る対象ではない世の中に向けてその意を伝えなければいけません。得体の知れない“世間”の顔色を常にうかがいながら生きる時代――このテーマ自体は6年以上前から考え続けてきましたが、いろいろな時期を経て、独自の視点も見つかり、やっと実現化するタイミングがやってきました。ただ構想を思いついた時よりも、ここまで時代にフィットしてしまう展開は、正直、予想外でしたが、これは生である演劇にとって「強み」と捉えています。
タイトルの『ハザカイキ(端境期)』は、物事の入れ替わりの時期を表す言葉です。人間関係において、早急なアップデートが求められる過渡期だからこその新鮮なアングル、新感覚の人間ドラマを浮かび上がらせたい……何かを問題提起する気も、自分の価値観を押し付けるつもりもなく、この「変容」に揺れ動いている人間模様をありのままに描きたい」とコメント。

また演出については「肉体的な動きを重視していたこれまでの作風から抜けて、会話劇に重点を置くことになりそうです。対話で浮き彫りになる価値観のズレ、すり合わせ、そこにこそ、まさに今の“人間”が見えてくるはず」とのこと。そして「“問題作”と銘打った本作は、人が人に謝り、人が人を赦すことに関しての物語」というコメントが、本作のキーワードとなりそうです。

丸山隆平、勝地涼、恒松祐里、風間杜夫ら豪華キャストが集結

本作で主演を務めるのは、2022年にミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』、赤堀雅秋さんの最新作『パラダイス』と舞台俳優として新たな一面を魅せ続ける丸山隆平さん。丸山さんは『娼年』『愛の渦』『何者』『そして僕は途方に暮れる』『物語なき、この世界。』など三浦さんが手がけた作品の数々に魅了されてきたと言い、三浦さんの作品を「一人の人物の心の揺れや動きをこれでもかと生々しく切り取り、人間同士のリアルな関係性を浮かび上がらせ、かつエンターテインメントである」と表現。「いつか挑戦してみたい」と願っていた三浦作品への出演に、「身が引き締まる思い」と語ります。

「今回僕が演じる役は “芸能記者”。人間という不安定な生き物がどうこの役に息づいていくのか、そして自分がどう構築していくのかまだ予想もついていません。ですが、大変興味深く、掘り下げ甲斐のある物語になる予感が既にしています」と作品への期待をコメントしました。

そして共演は、『世界は笑う』『ビートルジュース』などの舞台作品や映画『マスカレード・ホテル』、ドラマ『ネメシス』などに出演する実力派・勝地涼さん、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』・Netflix『全裸監督season2』など話題作への出演が続く恒松祐里さん、ミュージカルからアングラまで幅広い作品に出演する演劇界の重鎮・風間杜夫さん。

さらに、ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』丸山さんと共演経験のあるさとうほなみさん、ピン芸人として活動する九条ジョーさん、三浦作品には欠かせない米村亮太朗さん、AKB48の2代目総監督を務め卒業後は俳優として活動する横山由依さん、元宝塚歌劇団トップスターで退団後も多彩な存在感を放つ大空ゆうひさんと様々なジャンルで活躍する豪華俳優陣が集結しました。

【あらすじ】
芸能記者である菅原裕一(丸山隆平)が担当することになった、国民的人気タレントの橋本香(恒松祐里)と人気アーティスト・加藤勇(九条ジョー)の熱愛疑惑。リークしたのは、香の友人・野口裕子(横山由依)。
香の父・橋本浩二(風間杜夫)は人気俳優であったが、芸能事務所の社長となり、いまは香のマネージャーの田村修(米村亮太朗)とともにマネージメントをしている。香がまだ幼い頃に、不倫をスクープされ芸能界から姿を消した自身の経験を元に、香にはスキャンダルを起こさないよう諭している。勇のマンションから出てきた香を追い、菅原が入ったスナックには浩二と離婚した香の母・智子(大空ゆうひ)がいた。
菅原には同棲している恋人・鈴木里美(さとうほなみ)と、親友・今井伸二(勝地涼)がいる。菅原は里美との生活に安らぎを得、今井と会うときには仕事の愚痴を話したり、ごく普通に過ごし、そんな生活が今後も続くと信じていたが、実は二人は菅原の仕事を快く思ってはいなかった。
ある日勇がとある不祥事で芸能界を追放され、事態が急変する。勇との熱愛をスクープされた香にも芸能人としての存続の危機が訪れる。
そんな中、香は菅原に対面し、ある難題を投げつける……。

Bunkamura Production 2024『ハザカイキ』は2024年3月31日(日)~4月22日(月)まで東京・THEATER MILANO-Za、4月27日(土)~5月6日(月・休)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演されます。東京公演のチケット発売日は2024年2月25日(日)10:00から。