ヒトラー独裁の進む1940年代ドイツを舞台に、善良で知的なジョン・ハルダー教授が徐々にナチスに取り込まれていく様子を描いたポリティカルスリラー『GOOD』‐善き人‐。ナショナル・シアター・ライブでの上映でも日本の観客を惹きつけた話題作が、2024年4月、世田谷パブリックシアターにて上演されます!演出は長塚圭史さん、主演は佐藤隆太さんです。
長塚圭史 演出×佐藤隆太 主演、実力派キャストが集結する『GOOD』‐善き人‐
1981年にロンドンで初演を迎え、翌年にはブロードウェイで上演された劇作家C・P・テイラーの代表作『GOOD』。2008年には映画化され、2022年にローレンス・オリヴィエ賞受賞演出家のドミニク・クックがリバイバル上演したことで話題となりました。ドミニク・クック演出版の『GOOD(善き人)』はナショナル・シアター・ライブにて2023年から日本でも映画館にて上映されています。
1940年代ドイツを舞台に、善良で知的なジョン・ハルダー教授が徐々にナチスに取り込まれていく様子を描いたポリティカルスリラーとなっており、時代の荒波に揉まれた時、本当に“善き人”でいられるのか、人間の本質を問う作品です。2024年4月、世田谷パブリックシアターにて上演が決定した『GOOD』‐善き人‐では、演出を劇作家・演出家で劇団・阿佐ヶ谷スパイダースを主宰、KAAT神奈川芸術劇場の芸術監督を務める長塚圭史さんが手がけます。
主人公のジョン・ハルダーを務めるのは、NHK大河ドラマ『どうする家康』や一人芝居『エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~』、映画『シャイロックの子供たち』などの俳優業はもちろん、「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」などバラエティ番組のMCなどでも活躍を見せる佐藤隆太さん。
共演に、映画・ドラマはもちろん、KERA・MAPやナイロン100℃作品に数多く出演する萩原聖人さん、2023年は舞台『After Life』での好演が印象的な野波麻帆さん、映画『ソロモンの偽証』で主演デビューし2023年には高杉真宙さんと舞台『ロミオとジュリエット』に挑んだ藤野涼子さん、少年忍者のメンバーで舞台『ドン・カルロス』、MUSICAL SHOW『日劇前で逢いましょう〜昭和みたいな恋をしよう〜』などに出演した北川拓実さん。
そして、『リチャード三世』『THAT FACE その顔』にて、第47回紀伊國屋演劇賞受賞個人賞受賞を受賞、近年では『ザ・ウェルキン』『エンジェルス・イン・アメリカ』などに出演する那須佐代子さんのほか、佐々木春香さん、金子 岳憲さん、片岡正二郎さん、大堀こういちさんが出演します。
「独裁政権下の善良な市民たちの心理を生々しく描く追想劇」
本作の舞台は、ヒトラーが台頭し始めた1930年代のドイツ・フランクフルト。大学でドイツ文学を教えるジョン・ハルダーは、妻や3人の子供たち、認知症の母親の面倒をみながら暮らす良き家庭人でした。しかし妻との問題や認知症が進行し続ける母の介護に追われる中で、幻の楽団と歌手が登場して状況に合わせた音楽を演奏するという妄想に悩まされるようになります。
これを唯一打ち明けることができたのが、ただ一人の親友でありユダヤ人の精神科医モーリス。モーリスはナチスの反ユダヤ主義が浸透していく最中、故郷のドイツにいられなくなるのではないかという大きな不安を抱えていました。
ハルダーは、反ユダヤ主義は一時的なものだとモーリスを宥めながら、自身の教授としての立場を守るため、ナチス党に入党します。すると彼の書いた論文や小説がヒトラーの目に留まり、自分の意思とは反してナチス党内の地位を向上させていくことに。
そんなある日、ハルダーは自分の講義を受ける女子学生アンから、このままでは単位が取れないと相談を受け、その夜自宅に彼女を呼んでしまいます。夜遅く雨でずぶ濡れになって現れたアンに、彼は好意を寄せ、関係を持ち始めてしまい・・・。
演出を務める長塚圭史さんは、「善悪の見極めは難しい。時代や歴史によって更新されていくからです。それでも見誤ってはならないものがあります。けれどわかっていても、見誤ってしまうことがあります。抗い難き人間の弱さによるものかもしれませんし、それこそが身を守る手段なのかもしれません。ヒトラー政権下のドイツで、善良で理知的な中年男ハルダーと彼を取り囲む人々の行方を前に、私たちは「もしも自分ならどうしていただろう」と問い続けずにはいられません。独裁政権下の善良な市民たちの心理を生々しく描く追想劇を、素晴らしいキャスト・ミュージシャン、スタッフの皆様とお送りします。劇場でお待ちしております。」とコメント。
佐藤隆太さんは俳優歴25年を迎える本年、「みなさんと直接繋がることができる舞台に対して、今まで以上に豊かさを感じ、そこに立ち続けたいという欲が強くなっています」と舞台への想いを語りながら、「独裁政権下において、一人一人がそれぞれの状況で何を守ろうとして生きるのか。正義とは?そしてその先には何があるのか。自分にも問いながら台本を読みました。ひとつひとつの台詞を落とし込むことも一筋縄ではいかない難解な戯曲です。ですが、覚悟を持って飛び込みたいと思います。」と意気込みを語りました。
『GOOD』‐善き人-は2024年4月6日(土)から21日(日)まで世田谷パブリックシアター、4月27日(土)から28日(日)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演されます。東京公演の一般発売は2月23日(金祝)から。チケットの詳細は公式HPをご確認ください。
ドミニク・クック演出版の『GOOD(善き人)』は主人公以外の2人の役者によって複数役が演じられていましたが、本作では複数名で演じられるようです。社会の中で生きている人間が、どんな状況においても「善き人」でいられるのか。他人事ではなく、今の日本に問いかける作品になるはずです。